セレブリティプロデュースのビューティーブランドが乱立するなか、Z世代に絶大な人気を誇るペイトン・リスト氏が生み出した「Pley」はクリーンをテーマに他のブランドとは一線を画すプロダクトが揃う。Glossyは独占取材で、ブランドローンチまでの道のりや製品に込められた思いを氏に聞いた。
この記事は、DIGIDAY[日本版]のバーティカルサイト、ビューティ、ファッション業界の未来を探るメディア「Glossy+」の記事です。
ペイトン・リスト氏は、かつてないほど頻繁にセレブリティのビューティブランドが誕生していることを重々承知している。だが、2年以上前に「プレイビューティ(Pley Beauty)」に取り組み始めたころはこんなに多くなかったと彼女は言う。1月26日、リスト氏はクリエイティブビューティ(Creative Beauty)とともにこのD2Cブランドをローンチした。クリエイティブビューティは、タレントエージェンシーのCAAとのパートナーシップによって設立された新しいインキュベーターである。セレブリティブランドの立ち上げは、Zoomのグループでメディアマシンを操作し、インタビューもほとんど行わないことで評判が悪いのだが、リスト氏は45分間のインタビューに応じ、新しいブランドについて、そして俳優から起業家への道のりや1920万人いるInstagramのフォロワーを含むファンに対して感じている責任について話してくれた。
Z世代とともに成長したペイトン・リスト氏
ミレニアル世代や子どものいないX世代は、リスト氏のことを知らないかもしれないが、2011年から2015年にかけて幼少期を過ごしたZ世代にとって、リスト氏はディズニー(Disney)のドラマ『ジェシー!(Jessie)』で大人気のキャラクター、エマ・ロスだった。彼女は2015年から2021年まで放送されたスピンオフドラマ『キャンプ・キキワカ(Bunk’d)』でもこの役を続けて演じていた。さらに2019年からは、Netflixのヒットシリーズ『コブラ会(Cobra Kai)』に出演している。プレイビューティはそのようなデモグラフィックを対象としており、価格帯は16ドル(約1800円)から36ドル(約4000円)だ。さらに特徴的なのはそのカラフルなパッケージと、「プレイらしい」メイクのために作られたパレットである。また、リパーパスグローバル(rePurpose Global)との提携によって、プラスチックニュートラルな製品となっている。
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「セレブリティブランド」が乱立している現状を鑑み、今回のリリースに抵抗を感じたかどうかリスト氏に尋ねてみた。「それはまさに自分が抱えていた疑問だ」と彼女は答えた。「だが私はこのブランドに心血を注ぎ、開発のすべての段階に関わってきた」。
本当に自分のものだと言えるブランドに
その過程で、リスト氏は多くのセレブリティブランドがデビューするのを目の当たりにし、その魅力の背後にあるものは何か、そしてなぜそれがこんなありふれたものになってしまっているのかを自問したという。「誰もがそのブランドの顔になっていると気づいた。そしてある時点で、言いたいことをきちんと発言したいと思うようになった。何かの顔になるつもりなら、実際にその一部となり、その何かを身をもって表す存在になりたいと考えた」。
しかし、とくに世間の目にさらされて育った人間にしてみれば、「何か間違った方向に行ったらどうしよう」という問いは常に付きまとう。彼女はそう指摘し、次のように話した。「何かトラブルが起きたり、厄介なことになれば、責められるのは自分だ。さらに多くの問題が絡んでくる。間違いなく神経がすり減るし、だからこそ私は『OK、何かをするなら、ただ自分の名前を付けただけのものにするのではなく、本当に自分のものだと言えるようにしよう』という気持ちだった」。
プレイビューティの開発の一部は、リスト氏が『コブラ会』の撮影に参加している時期に行われている。「アトランタで撮影しているときに(クリエイティブ・ビューティのチームが)すべてのフォーミュラを持って飛行機で私の元にやってきて、その辺の会議室で私が具体的な指示を出した」とプロセスについてリスト氏は語っている。LAにある工場にも何度も通ったという。
環境に配慮した低価格でクリーンな製品
このブランドは「クリーン」であることを売りにしている。アンジェリーナ・ジョリー氏がクリーンな製品を使用していることを撮影現場のメイクアップアーティストから聞き、「クリーン」ビューティというコンセプトを知ったとリスト氏は振り返る。プレイビューティを築く過程で、彼女はそれが実際には何を意味するのかを掘り下げていった。その結果、このブランドは動物実験を行わず、リーピングバニー(Leaping Bunny)認証を受け、1350種の「潜在的に有害な」成分を含まない、セフォラ(Sephora)とアルタビューティ(Ulta Beauty)の「クリーン」基準を満たす処方となった。また彼女は、美容業界が環境に与える厄介な影響について探り、詰め替え可能なパッケージを優先すると決定した。「何か持続可能なことをするには、多くの犠牲を払わねばならないことをすぐに学んだ。たとえば、いくつかのほしい色は選べないといったことだ」と彼女は言う。「自動的にリサイクルできないので、中に鏡を入れることもできない。多くのブランドはパッケージにただリサイクルのマークをつけているだけで、本当にリサイクルできるわけではない。創造しながら破壊しないことが私にとって大切だった」。
価格設定も同様にリスト氏にとって重要で、彼女のファンの多くが社会人になったばかりの世代であることを認識しており、「できるだけ低価格にしたいとずっと考えていた」と話す。
今回、同ブランドが発売した7つの製品に加えて、5つのアイテムからなるリミテッドエディションの『コブラ会』コレクションも発売された。「テレビ番組とのコラボレーションやリミテッドエディションの製品にはいつもワクワクする」と彼女は言う。「『コブラ会』の件について話し合いを始めたころ、私は『ワンダヴィジョン(WandaVision)』にハマっていた。『ワンダヴィジョン』パレット(アルタビューティとのコラボレーション)を見て、これはすごい、『コブラ会』とのコラボレーションも間違いない、と思った」。リミテッドエディションには、同ブランドのリップティントのスペシャルカラー、フェイスシール、アイシャドウパレットに加え、当初のコレクションには存在しないハイライターとフェイスミストも含まれている。
Glossyポップに対しリスト氏が同ブランドのデビュー製品について説明してくれたので、以下に詳細を紹介する。
◆ ◆ ◆
Pleyer Palettes(プレイヤーパレット)
ひとつしか買えないというファンには、リサイクルと詰め替えが可能な9色入りアイシャドウパレット4種の中から好きなものを選ぶことをリスト氏は勧めている。「どれも本当にきれいな色がそろっていて、それを使って実にさまざまなルックを作り出せる」と彼女は言う。パレットにはヌーディ(Nudie)、ラブチャイルド(Love Child)、モダンミューズ(Modern Muse)、ゴールデンガール(Golden Girl)の4種のカラーバリエーションがある。「ラブチャイルドは、ヴィンテージな60年代のカリフォルニアドリーム」とのこと。「顔料が軽いのが気に入っている。最初は薄いけれどしっかり色を重ねられる。私は色をぼかしたような目のルックが好き。自分だけのルックを求めているファンのためのホットなヒントだと考えてみて」。
Pley Date(プレイデイト)
今回のデビューコレクションの中でリスト氏が個人的にいちばん気に入っているのが、ハイライタースティックのプレイデイトだ。「大好き。毎日使ってる」と彼女は言う。このキラキラしたラメ入りのスティックには8種類のカラーバリエーションがあるが、リスト氏のイチオシはプレイピンク。
Let It Linger(レットイットリンガー)
12時間持続するジェルアイライナーで、8色の鮮やかなカラーバリエーションがあり、まさしくこのブランドの遊び心を反映した製品。「私は、目の下に赤(チリペッパー/Chili Pepper)を使うのが大好き。アイライナーはとてもよく使うので、迷わず製品ラインに入れた。私自身がたくさんのクレイジーな色を目につけるから、みんなもいろいろ研究して楽しんでほしい。黒や茶色のようなベーシックな色ももちろんある」。
Lip Habit(リップハビット)
リップハビットが生まれたきっかけについて、「『コブラ会』の撮影現場で毎日つけるものだから、保湿力のあるティントのリップバームが作りたかった」とリスト氏は語る。「ほとんどの仕事の際にこの製品を使っている。私は多くのいろんなリップ製品にアレルギーがあるし、おまけにカリフォルニアの気候はとても乾燥しているから。それにマスクの下でもいい感じの製品を作りたかった。拭き取った後も、少し色と色素が残る」。リップハビットは5色展開で、リスト氏が一番気に入っているのはストロベリージャム(Strawberry Jam)。
Lust + Found(ラスト+ファウンド)
「私はグロスが大好き。昼間はキラキラさせるために単独でグロスを塗る、夜はリップハビットの上に重ねて大胆な唇にするのがお気に入り」。グロスは10色展開で、彼女のチョイスはアヴァ(Ava)。
One-Stop-POP(ワン・ストップ・ポップ)
5色の詰め替え可能なパウダーチーク。リスト氏のお気に入りはピュアブリス(Pure Bliss)だが、「エクスタシー(Ecstasy)が本当に濃いけど、混ぜて使っている。すべての色やあらゆるシェードを混ぜるのが好き」。
Pley Things(プレイシングス)
いま注目のアイシールは4つのバリエーションが揃う。ほかの美容製品のような「処方」は必要なかったものの、リスト氏いわく、試作を何度も繰り返して完成までに時間がかかった製品だ。「私たちは顔中に装飾を施した状態で座って『もはや何がいいのかわからない』『これ使えるの?』『これやるべきなの?』という気持ちだった。私たちのうち何人かはこれを気に入ってたけど、そうじゃない人もいた。クリエイティブディレクターは本当に売り込もうとしていて、でも私は『気に入らないし、うまくいかないんじゃないか』と思った。でも彼女がとてもクールな方法でシールを着けてみせたので(最終的に)私は『OK、納得』となった」。
[原文:Exclusive: Peyton List launches Pley Beauty]
SARA SPRUCH-FEINER(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)