シャワールームに新たなヘアケア製品がひそかに忍び込もうとしている。それはシャンプーに代わる新たな製品だ。その製品とは、コーウォッシュ、あるいはコーコンディショナーやクレンジングコンディショナーなどと呼ばれているものだ。
シャワールームに新たなヘアケア製品がひそかに忍び込もうとしている。というよりも、むしろそれはシャンプーに代わる新たな製品だ。
その製品とは、コーウォッシュ、あるいはコーコンディショナーやクレンジングコンディショナーなどと呼ばれているものだ。シャンプーの代わりに頭皮や髪の毛を洗うための専用コンディショナーである。コーウォッシュはカーリーヘアやかなり乾燥した髪質の人に人気があり、髪にうるおいを与え、よりしなやかに健康に保つことができる。
オーセンティックビューティコンセプト(Authentic Beauty Concept)は、9月16日木曜日にアルタビューティ(Ulta Beauty)で独占的にコーウォッシュを発売し、一方でファンクション・オブ・ビューティ(Function of Beauty)とドランクエレファント(Drunk Elephant)は、どちらも8月にコーウォッシュをローンチした。後者の製品名はライニ・ラザーレス(Laini Latherless)である。2020年、クリスティン・エス(Kristin Ess)とラッシュ(Lush)、オーストラリアのブランドのイーヴォ(Evo)とオージー(Aussie)などが、それぞれ独自のコーウォッシュ製品をローンチしている。
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Z世代を中心に購買層の多様化が影響
コーウォッシュはかなり前から存在はしていたが、そのほとんどが、シアモイスチャー(SheaMoisture)やディーヴァカール(DevaCurl)、パンテーン(Pantene)など、カーリーヘアやアフロスタイル、あるいはミックステクスチャーの髪に特化したブランドのみでの販売だった。
ファンクション・オブ・ビューティは、アミナ・マリー氏(@AminaMarie、インスタグラムのフォロワー数3万7400人)、セレブリティ専門ヘアスタイリストのミルナ・ホセ氏(@MirnaJose、インスタグラムのフォロワー数2万600人)、ユーチューバーのシモーヌ・ニコール氏(チャンネル登録者数2万4400人)という3人のカーリヘアやコイリーヘアのインフルエンサーと共同で自社のコーウォッシュを開発している。ファンクション・オブ・ビューティの研究開発部門バイスプレジデントのリンダ・フォルティス氏によると、ウェーブ、カーリー、コイリーの髪質は同ブランドの顧客層の50%以上を占めている。
メインストリームの美容界における黒人文化の歴史的な影響(およびその盗用)は言うまでもなく、コーウォッシュが増加している背景にはほかの影響も大いにある。シンクタンクのピュー・リサーチ(Pew Research)によると米国の人種および民族構成の変化をもっとも如実に表しているのがZ世代で、それが髪型や肌の色といった要素にも影響を与えている。Z世代のおよそ52%近くが非ヒスパニック系白人だが、2002年に非ヒスパニック系白人と回答したミレニアル世代の61%よりも大幅に減少している。8月にP&GがZ世代ブランドのノウ(Nou)をウォルマートとともにインキュベートした際、75%のZ世代が自分の髪に「テクスチャー」があると答えており、こうしたデモグラフィックの変化が動機付け要因として挙げられている。
「ライニをとくに(コイリーな)4Cの髪質に合わせて作ったわけではないが、我々のココミノ(Cocomino)シャンプーとコンディショナーでは対応できなかったあらゆる点に配慮して作っている」と説明するのは、ドランクエレファントの創業者でチーフクリエイティブオフィサーのティファニー・マスターソン氏だ。「我々はすべての人に対応したい。そしてライニは多くの異なる髪質に働きかける」。
ライニ・ラザーレスは、セフォラ(Sephora)とアルタビューティの両方で販売されており、アルタビューティは今月からドランクエレファントの新たなリテールパートナーとなった。
目新しい製品が一般に定着するまでの課題
注目すべきは、コーウォッシュに関する教育は、通常のシャンプーとコンディショナーに比べると高度で難しいという点だ。教育を阻む理由としては、複数の異なる名称があること、メインストリームの美容界ではまだ馴染みがないこと、使用事例が多様であることなどが挙げられる。ドランクエレファントの教育のほとんどは、インスタグラムや公式ウェブサイトが中心だとマスターソン氏は言う。彼女の戦略は、市場にはこれまで存在しなかった、いままで聞いたことがない製品として紹介するというものだ。
「人々が美容業界のことを何から何まで知っているわけではないのは当然だ」と彼女は言う。「コークレンザーをよく知っている人に対しても、異なる使い方があるということや、その成分やなぜ効果があるのかという点をきちんと説明したい。こうした重要な細かい点を消費者がすべて知っているとは思えないので、情報を提供することで消費者の体験をよりよいものに変えることができる」。
たとえばドランクエレファントのココミノのシャンプーとコンディショナーには2種類のサイズがあり、750ミリリットルが55ドル(約6000円)、240ミリリットルが25ドル(約2700円)となっている。だがライニはいまのところ55ドルの大きいサイズしかない。マスターソン氏によると、比較的多くの量を使用しなくてはならないのが理由だという。ただし時期は未定だが、小さいサイズも発売する予定だ。髪の毛を洗う頻度にもよるが、人によっては頭皮が慣れるまでに時間がかかることがあり、コーウォッシュを3日に1度の使用からスタートしたほうがよい場合もあるとマスターソン氏は述べた。
カギは製品に関する教育
ファンクション・オブ・ビューティは、アーティストのケンドラ・ダンディ氏と提携し、コーウォッシュの発売を記念して限定版のスカーフとステッカーのセットをデザインした。同社では8オンス(約240ミリリットル)と16オンス(約470ミリリットル)の製品をそれぞれ17ドル(約1900円)と30ドル(約3300円)で販売している。発売に関してはファンクション・オブ・ビューティのD2Cのeコマースサイト、メールマガジン、ソーシャルチャネル、ブログなど自社のチャネルで紹介した。同ブランドではインフルエンサーとの有料のパートナーシップを通じたプロモーションも行っている。
ファンクション・オブ・ビューティのコーウォッシュに関する教育は、それぞれの髪質によって異なるとフォルティス氏は説明する。たとえば、カーリー、ドライ、カラーリングした髪の場合、数回の洗髪ごとに、コンディショナーとシャンプーと一緒にコーウォッシュを使用することが推奨されている。一方でストレートヘア、ウェーブヘア、細い髪の人は、コーウォッシュをコンディショナーの代わりにシャンプーと一緒に使用するか、またはモイスチャライジングトリートメントとして、数回に一度使用することを勧めている。いうまでもなく、コーウォッシュは複雑なサブカテゴリーとなり得る。
「私たちの製品のローンチすべてにおいて重要な要素となるのが教育だ」とフォルティス氏は言う。「コーウォッシュはシャンプーの代わりにはならないが、シャンプーと交互に使うことを意図して作られている。使用頻度は完全にその人の髪の状態によって変わる」。
[原文:What are co-washes and why are they suddenly so popular?]
EMMA SANDLER(翻訳:Maya Kishida、編集:山岸祐加子)