ガイ・オセアリー氏やアシュトン・カッチャー氏といった有名な芸能人たちから400万ドル(約4億6000万円)の出資を受けて2月16日にローンチしたユニは、クローズド・ループ・システム(資源循環システム)を特徴とするジェンダーニュートラルなブランドである。
この記事は、DIGIDAY[日本版]のバーティカルサイト、ビューティ、ファッション業界の未来を探るメディア「Glossy+」の記事です。
元テック系の創業者アレクサンドラ・キーティング氏がボディケア会社ユニ(Uni)の構想を練っていたとき、彼女が着想を得たのはどうみてもローテクなビジネスモデルだった。そう、牛乳配達人である。
ガイ・オセアリー氏やアシュトン・カッチャー氏といった有名な芸能人たちから400万ドル(約4億6000万円)の出資を受けて2月16日にローンチしたユニは、クローズド・ループ・システム(資源循環システム)を特徴とするジェンダーニュートラルなブランドである。ブランドのD2Cサイトでは、顧客は再利用可能なポンプが付いたアルミボトル入りのシャンプーやコンディショナー、ハンドソープ、ボディソープ、ボディセラムを購入できる。ボトルの中身がなくなったら、顧客がブランドに送り返すと、補充してもらえる。ユニのチームには、エスティローダー(Estée Lauder)やドランクエレファント(Drunk Elephant)の元社員たちもおり、優秀なクリエイティブの才能ある人々がデザインとプロモーションをサポートしている。
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ホスピタリティ業界は使い捨ての包装に頼りすぎている
「基本的に、牛乳配達人に近い存在になろうとしている」とキーティング氏は、ユニのクローズド・ループ・システムについて語った。「業界の偉い人たちは、私のことを頭がおかしいと思ったようだ。だがサプライチェーンの問題を抱えるいま、そうした人たちもこれが最善の解決策だと考えている」。
オセアリー氏とカッチャー氏からの投資は、ふたりが共同設立した投資会社サウンドベンチャーズ(Sound Ventures)に属する、サステナビリティに特化したESG投資ビークルのサウンドウェイブ(SOUNDWaves)を通じて行われた。
「再利用可能、詰め替え可能、海に安全なソリューションへのシフトは、業界のすべての関係者によって採用されるべきである」と、カッチャー氏は声明で述べている。「ホスピタリティ業界は、使い捨ての包装にあまりに頼りすぎている」。同ブランドでは、使い捨てのパッケージに代わる製品をホテルに導入することを計画中だ。
サステナビリティと同様に優先したのはデザイン
マーク・アトラン氏をクリエイティブ・ディレクターに迎えた同ブランドにとって、デザインはサステナビリティと同じくらい優先されるものだった。アトラン氏は、ケアーウィス(Kjaer Weis)の詰め替え可能なメイク用容器や、コム・デ・ギャルソン(Commes des Garçons)の有名なコンクリート製フレグランスボトルのデザインなどを手がけている。また彼は、メゾン・マルジェラ(Maison Margiela)との仕事でも知られている。
アトラン氏については「私が彼を追っかけて捕まえた」とキーティング氏は語っている。
ブランドのキャンペーンを撮影するために、キーティング氏はエンターテインメント界で才能を誇る主要人物を引き入れており、そのメンバーには、カニエ・ウェスト氏との仕事で知られるフォトグラファーのナビル・エルダーキン氏、ファッション&ビューティ・フォトグラファーのアマンダ・チャーチアン氏、マイリー・サイラス氏のメイクアップアーティストであるジェームズ・カリアルドス氏といった面々がいる。また、NFTのアーティストであるパク・テフン氏に製品の(NFTではない)デジタルレンダリングの制作を依頼している。
サステナブルの次はゼロウェイスト
ブランドによれば、バイオレジン製の詰め替え可能ポンプは2年間使用でき、その後は分解してリサイクルするために送り返してもらう必要がある。返送の際には、ブランドは「カーボンニュートラル」な配送モデルを採用するとしている。アルミの詰め替え用ボトルも、送り返さない場合はリサイクルすることが可能だ。
ユニは、オリーブオイル業界の廃棄物から作られたアップサイクル成分やサンゴ礁に安全な成分に言及するなど、処方におけるサステナビリティを強調している。また、倫理的に調達されているという海洋由来成分も含まれている。同ブランドは売上の1%をサンゴ礁の保護・修復を行う団体コーラルガーデナーズ(Coral Gardeners)に寄付しており、国連の「クライメイト・ニュートラル・ナウ(Climate Neutral Now)」イニシアティブに参加している。
「明らかにクリーンなブランドにしたかったが、いまではクリーンは汚い言葉であることもわかっている。だからこそ、その次の世代は何だろう(と自問した)。私たちはその次の世代はゼロウェイストだと信じている」と、製品の処方についてキーティング氏は述べている。
それぞれのボトルの価格は、1本25ドル(約2880円)から、または179ドル(約2万600円)でブランドの製品のフルセットを購入できる。
ユニはD2Cからスタートしたが、キーティング氏は、このブランドが最終的には小売店で扱われるようになってユーザーが店頭でボトルを返却できるようになることを期待しており、現在小売業者と交渉中だという。
未来への約束よりも今日の解決策を
クローズド・ループ・モデルは、美容とパーソナルケアの分野でますます注目を集めている。プロクター・アンド・ギャンブル(Procter & Gamble)と提携したテラサイクル(TerraCycle)のループ(Loop)プログラムでは、クローズド・ループのパッケージを採用したさまざまなブランドや製品を提供している。アルタ(Ulta)を通じて販売されているループ提携ブランドは、近々ウォルグリーン(Walgreens)やクローガー(Kroger’s)でも販売される予定である。
いまのところユニは、顧客のことを直接知るためにD2Cに注力している。
「誰がユニを好きになってくれるのか、誰が仲間になってくれるのか、実際のところまだよくわからないし、そういったことが有機的にわかってくるといいと思っている」とキーティング氏は言う。「消費者分野の投資家の多くは、投資に関するリスクを軽減するだけのために小売業者を求めている。だからこそ、そうしたことがないのに、みんなが私たちを支援してくれるのはすばらしい」。
彼女の考えでは、いまこそ業界は使い捨てのプラスチックをなくすべきときだ。
「多くのグリーンウォッシングが存在している。2025年までに使い捨てプラスチックを減らすと誓ったブランドのやり方は、私は好きではない。将来の約束で見返りを得るべきではない。ユニは今日の解決策なのだ」。
[原文:Body-care brand Uni launches with backing from Ashton Kutcher and Guy Oseary]
LIZ FLORA(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)