海外旅行のメリットのひとつが免税ショッピングだが、英国では2020年12月にEUを離脱したタイミングで一時停止された。この特典は以前、EU非加盟国の観光客が利用できたが、いまではこれらの観光客は英国で購入した商品に対して20%の税金を支払うことが必要となった。
その結果、ブランド各社は苦境に立たされている。多くの英国ブランド、特にラグジュアリー商品カテゴリのブランドは売上が減少し、現地店舗を閉鎖している。9月7日に議会で行われる旅行者への税金に関する討論で、現在の小売業界が抱える課題が継続するかどうかが決まるだろう。
英国経済にもたらす損害は多大
英国のラグジュアリーブランドであるマルベリー(Mulberry)は、50年以上にわたって同国で事業を展開してきた。1月には、免税制度廃止の直接的な影響として、ロンドンの本店を閉鎖せざるを得なくなった。マルベリーのCEO、ティエリー・アンドレッタ氏は、ロンドンにもう1店舗出店するのは「商業的に不可能」であると述べた。
アンドレッタ氏によれば、観光客に対する免税ショッピング制度が廃止されたことによって英国のブランドや小売業者、ホスピタリティ企業が被る損害は大きい。「英国経済を再び成長させるには、欧州と対等な競争条件が必要だ。現状では、パリ、ベルリン、ミラノが我々の犠牲の上に利益を得ているため、我々は単に太刀打ちできない」。
小売コンソーシアム、ニューウエストエンドカンパニー(New West End Company)の8月14日のデータによると、米国からロンドンへのフライト予約は2023年6月までの3カ月間で2019件と比べて17%増加したが、ウエストエンドのショッピング街で米国人観光客が消費した総額は1%減少した。一方、湾岸諸国からロンドンへの渡航は4年前と比較して四半期で7%増加したが、消費額は17%減少している。
「これはショッピング・ツーリズムに限ったことではなく、レストラン、ホテル、ライブ・エンターテインメント、ミュージアム、そして雇用創出にも関わることだ」とアンドレッタ氏は指摘している。「政府は、観光が英国経済に及ぼす広範な影響を示すデータに目を向け、観光客に対する免税ショッピングを復活させることを優先課題とする必要がある」。
海外旅行のメリットのひとつが免税ショッピングだが、英国では2020年12月にEUを離脱したタイミングで一時停止された。この特典は以前、EU非加盟国の観光客が利用できたが、いまではこれらの観光客は英国で購入した商品に対して20%の税金を支払うことが必要となった。
その結果、ブランド各社は苦境に立たされている。多くの英国ブランド、特にラグジュアリー商品カテゴリのブランドは売上が減少し、現地店舗を閉鎖している。9月7日に議会で行われる旅行者への税金に関する討論で、現在の小売業界が抱える課題が継続するかどうかが決まるだろう。
英国経済にもたらす損害は多大
英国のラグジュアリーブランドであるマルベリー(Mulberry)は、50年以上にわたって同国で事業を展開してきた。1月には、免税制度廃止の直接的な影響として、ロンドンの本店を閉鎖せざるを得なくなった。マルベリーのCEO、ティエリー・アンドレッタ氏は、ロンドンにもう1店舗出店するのは「商業的に不可能」であると述べた。
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アンドレッタ氏によれば、観光客に対する免税ショッピング制度が廃止されたことによって英国のブランドや小売業者、ホスピタリティ企業が被る損害は大きい。「英国経済を再び成長させるには、欧州と対等な競争条件が必要だ。現状では、パリ、ベルリン、ミラノが我々の犠牲の上に利益を得ているため、我々は単に太刀打ちできない」。
小売コンソーシアム、ニューウエストエンドカンパニー(New West End Company)の8月14日のデータによると、米国からロンドンへのフライト予約は2023年6月までの3カ月間で2019件と比べて17%増加したが、ウエストエンドのショッピング街で米国人観光客が消費した総額は1%減少した。一方、湾岸諸国からロンドンへの渡航は4年前と比較して四半期で7%増加したが、消費額は17%減少している。
「これはショッピング・ツーリズムに限ったことではなく、レストラン、ホテル、ライブ・エンターテインメント、ミュージアム、そして雇用創出にも関わることだ」とアンドレッタ氏は指摘している。「政府は、観光が英国経済に及ぼす広範な影響を示すデータに目を向け、観光客に対する免税ショッピングを復活させることを優先課題とする必要がある」。
観光客数に対して消費額が伸びないロンドン
4月、英国のラグジュアリーブランド、バーバリー(Burberry)のジェリー・マーフィー会長は、リシ・スナク首相とのビジネスカンファレンスでの会話のなかで、免税制度廃止の決定によって英国は「ヨーロッパでもっとも魅力のない買い物先」になってしまったと述べた。また、5月18日に行われたバーバリーの第1四半期決算発表では、同社CEOのジョナサン・アケロイド氏が、「(バーバリーの)ロンドンを再訪する観光客は19%増加したが、ヨーロッパの他の地域と比べると見劣りする」と語った。パリでは買い物をする観光客は3桁の伸びを示しており、ミラノは43%増だった。「政府が(観光客への付加価値税還付の)廃止を選択したことに失望している。英国は競争上不利な立場に置かれる」と同氏は述べている。バーバリーはロンドンだけで13の店舗とショップ・イン・ショップを展開している。
バーバリーはまた、観光支出の不足が英国全体の売上に影響していると報告した。決算説明会でチーフファイナンシャルオフィサーのイアン・ブリミコム氏は、英国人の買い物客でさえ、いまでは英国内ではなく欧州本土での消費を好むようになっていると述べた。また、アケロイド氏は、欧州での英国からの観光客の支出が急増していることにも言及し、「かなり顕著だ」と指摘している。
ニューウエストエンドカンパニーのチーフエグゼクティブであるディー・コルシ氏は、免税ショッピングの問題を認識し、ロンドン以外のヨーロッパの都市で金を使うことを選ぶ観光客が増えていることは明白だと述べた。「首都ロンドンが海外からの観光客を惹きつける魅力を失っていない点は心強いが、第2四半期における観光客数と消費額の差の拡大は、英国議会に警鐘を鳴らすことになるだろう」とコルシ氏は述べている。
[原文:Brands call for end to UK’s shopping ‘travel tax,’ as tourists choose Europe]
ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)