セフォラは、セフォラサウンズ(Sephora Sounds)という新しいイニシアチブを通じて音楽に注力している。
TikTokコンテンツ用の音楽を手に入れる方法
セフォラにとって初めてとなるこのミュージックコレクティブは、55人を超える新進気鋭のアーティストとさまざまなジャンルの500曲で構成されている。セフォラはこれらのアーティストの作品を、主にTikTokでのソーシャルコンテンツやキャンペーンに使用する予定だ。TikTokでは音楽が制作と成功の重要な要素となっている。商業権の関係で企業にはソーシャルメディア上での曲やオーディオミームの使用が制限されており、それゆえにオンライン会話にタイムリーに参加するのに不利だと考えられている。一方、ブランドではないユーザーはTikTokライブラリにある曲やサウンドを好きなように使うことができる。
その制限について、セフォラのソーシャルメディア・インフルエンサー担当副社長のブレント・ミッチェル氏は次のように述べている。「これは(ネガティブな状況から良い手段を見つけるという)レモンをレモネードに変えるアプローチだ。(制限は)当社にとって、価値としての(アーティストへの)サポートを反映できるユニークな方法で音楽を使う手段を考える機会となった」。
セフォラは、セフォラサウンズ(Sephora Sounds)という新しいイニシアチブを通じて音楽に注力している。
TikTokコンテンツ用の音楽を手に入れる方法
セフォラにとって初めてとなるこのミュージックコレクティブは、55人を超える新進気鋭のアーティストとさまざまなジャンルの500曲で構成されている。セフォラはこれらのアーティストの作品を、主にTikTokでのソーシャルコンテンツやキャンペーンに使用する予定だ。TikTokでは音楽が制作と成功の重要な要素となっている。商業権の関係で企業にはソーシャルメディア上での曲やオーディオミームの使用が制限されており、それゆえにオンライン会話にタイムリーに参加するのに不利だと考えられている。一方、ブランドではないユーザーはTikTokライブラリにある曲やサウンドを好きなように使うことができる。
その制限について、セフォラのソーシャルメディア・インフルエンサー担当副社長のブレント・ミッチェル氏は次のように述べている。「これは(ネガティブな状況から良い手段を見つけるという)レモンをレモネードに変えるアプローチだ。(制限は)当社にとって、価値としての(アーティストへの)サポートを反映できるユニークな方法で音楽を使う手段を考える機会となった」。
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セフォラサウンズの使用状況とアーティストへのメリット
セフォラは今年の初めにセフォラサウンズの作成を開始し、第1四半期の終わりにセフォラサウンズの音楽をソーシャル投稿に使い始めた。あるアーティストの曲は、セフォラのキャンペーンに活用されてから1カ月以内にSpotifyのオーディエンス数が3万人に増え、アーティストの露出を向上させるセフォラの能力が示されている。セフォラはセフォラサウンドの曲を使った投稿のソーシャルメディアエンゲージメント数を共有していない。同社はセフォラサウンズのアーティストの発掘と精査のために、音楽エージェンシー、シックスティフォー(SixtyFour)を採用。小売業者のインフルエンサープログラムであるセフォラスクワッド(Sephora Squad)のように特定の単一のグループと比較して、セフォラサウンズはローリングベースで運営されている。つまり、55人のアーティストリストには新しいアーティストが追加されるということだ。既存のセフォラサウンズアーティストが新しい音楽を制作するたびに、それをセフォラの音楽ライブラリに追加するかどうかが評価される。アーティストは、セフォラサウンズへの参加に対して一定額と、曲がソーシャルコンテンツで使用されるたびに使用料を受け取る。
参加アーティストには、エイントアフレイド(Aint Afraid)として活躍する音楽デュオ、イナー氏とヤージー氏、韓国系アメリカ人のトランスジェンダーミュージシャン、エリー・キム氏、ナイジェリア系アメリカ人のポップシンガー、プレシャス氏らがいる。セフォラによると、参加アーティストの70%以上がこれまでブランドの有償機会を経験したことがなく、セフォラサウンズ内のアーティストの60%は自分たちのまわりのミュージシャンでブランドからアプローチされた人はいないと述べているという。
業績好調のセフォラ、英国にも進出
LVMH(LVMH モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)傘下のセフォラの業績は好調だ。LVMHが7月25日に発表した第2四半期決算によると、今年上半期のセレクティブリテーリング部門のオーガニックな収益は前年同期比26%増の84億ユーロ(92億4000万ドル、約1.3兆円)となった。この決算報告で、LVMHの財務コミュニケーション担当ディレクター、クリストファー・ホリス氏は、セフォラは特に北米、欧州、中東の市場全体で「傑出した業績」を上げたと述べた。セフォラは3月に英国初の店舗をオープンした。
美容業界の広告における音楽の影響力
マドンナなどのアーティストが美容とファッションの感性に影響を与えてきたように、長年音楽と美容は関連し合っている。ミッチェル氏は、音楽がTikTokの会話やコンテンツ制作を推進しており、音声を通じてコンテンツが検索されるようになっていると述べている。イプソス(Ipsos)の2020年の調査によると、TikTok広告で音のキューを使用しているブランドはわずか6%、音楽を使用しているブランドはわずか3%であることが判明している。しかし、音楽を使用したブランド広告は、使用しないブランド広告と比較して8倍のパフォーマンスが示されている。
10代やZ世代のあいだでのTikTokの人気を過小評価はできず、音楽とサウンドを活用することの価値が浮き彫りになっている。半年ごとにパイパー・サンドラー(Piper Sandler)が発表している「テイキング・ストック・ウィズ・ティーン(Taking Stock with Teens)」レポートでは、ソーシャルメディアアプリのNo.1としてTikTokが挙げられており、回答者の37%がお気に入りとしてTikTokを挙げ、次いでSnapchatとインスタグラムが続いている。美容ブランドのなかには、TikTokで音楽を使用するメリットをすでに活用しているところもある。その例には、ソーシャルで使うためにオリジナルソングを制作したファーストエイドビューティ(First Aid Beauty)やE.l.f.コスメティクス(E.l.f. Cosmetics)がある。
「音楽は通常のビジュアル資産とは異なる。繰り返しのある『記憶に残りやすい』音楽は重要だ。その繰り返しによって、音楽は忘れられないようになる」と述べているのは、ソングキャンディメディア(Song Candy Media)の創業者、クリスティーン・ハント氏だ。ソングキャンディメディアは、イケア(Ikea)やK18ヘアケアなどのブランドと協働してソーシャルメディア用音楽を制作している。「サウンドはTikTokにおける強力なストーリーテリング資産であり、ブランドエクイティ、広告想起、ブランド認知度を高めるものだ」。
[原文:Beauty & Wellness Briefing: Sephora taps into the power of music with Sephora Sounds]
EMMA SANDLER(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)