現在、ビューティテクノロジーのプラットフォームとブランドはファンデーションにフォーカスしている。そして、そのテクノロジーがついに完成したという意見もある。シャーロットティルベリービューティは、1月6日、「完璧なマッチ」を保証するオンラインのファンデーションファインダー ツールの4.0バージョンをリリースした。
この記事は、DIGIDAY[日本版]のバーティカルサイト、ビューティ、ファッション業界の未来を探るメディア「Glossy+」の記事です。
色味の完璧なマッチングが重要なビューティ製品といえば、ファンデーションである。しかし、そのサンプリングプロセスをデジタルで再現するのは、とても困難だった。
パンデミックによってビューティのAR/AIテスター技術の需要が高まったが、ファンデーションは依然技術的にむずかしい課題だ。デジタルトライオン(お試し)機能をローンチしている主なテクノロジープラットフォームは、アイメイク製品、リップ製品、チーク製品に長い間尽力してきた。しかし、現在、ビューティテクノロジーのプラットフォームとブランドはファンデーションにフォーカスしている。そして、そのテクノロジーがついに完成したという意見もある。
Advertisement
返金保証つきシャーロットティルベリーのマッチングツール
シャーロットティルベリービューティ(Charlotte Tilbury Beauty)は、1月6日、「完璧なマッチ」を保証するオンラインのファンデーションファインダー(Foundation Finder)ツールの4.0バージョンをリリースした。これには返金保証もある。ユーザーはまず簡単なアンケートに答え、自分の全体的な肌色とベースの色味を特定、そしてAIマッチング用の写真をアップロードする。
「我々の最新の仮想ツールであるファンデーションファインダーは重要だ。これまでファンデーションはオンラインで購入するのが難しく、無理だと言われていた。だが、我が社の新しいイノベーションによって状況は変わりつつある」と述べているのは、シャーロットティルベリービューティの最高技術責任者のコリンヌ・スーヒー氏である。
ファンデーションマッチングテクノロジーのむずかしさ
ファンデーションマッチングのテクノロジーには、肌の色味だけではなく、マッチングプロセス中の顔の照明や影、ハイライトなど考慮すべき複雑な要素が多々ある。
「照明条件はどれも異なっているため、カメラの色合わせは限りなく困難だ」と、クリス・マーケル氏は述べている。同氏は、創業5年になるデジタルファンデーションマッチングスタートアップ、マイム(MIME)のCEO兼創業者だ。それゆえ、マイムの研究開発は様々な照明環境と色味にフォーカスしているという。
「肌の色だけでなく、暖色系、ニュートラル、寒色系というベースの色味も考慮しなければならない。今ではそのような微妙な違いをすべて説明できる。もちろん主な色味にはずっと注目していたが、『照明条件を標準化したら、肌は赤みのある明るい色になるのか、それともピーチやイエローがかった色味になるのか』というところまで考えることができるようになった」。
9万色の肌色を検知できるツールも登場
ファンデーションマッチングについて楽観視しているプラットフォームはマイムだけではない。今年のCESにおいて、パーフェクトコープ(Perfect Corp)はファンデーションマッチングツールのさらなる開発を発表した。同社によると、そのツールはスマートフォンのカメラで約9万もの肌色を検知できるということである。
パーフェクトコープの創業者でCEOのアリス・チャン氏は次のように述べている。「AIの進化によってビューティブランドはそれぞれのニーズに合ったファンデーションの色を顧客に提供できる」。
ブランドの様々な対応策
照明の問題は、デジタルファンデーションマッチングツールを提供するブランドや小売業者にとって長い間悩みの種となっている。ルックファンタスティック(Lookfantastic)やブーツ(Boots)のように、正確なホワイトバランスのために顔に当てて写真撮影する物理的なカードを顧客に提供している企業もある。
しかし、これにはロジスティック上の難点がある。たとえば、ルックファンタスティックでは、カードを郵送してもらえるのはすでにファンデーションを購入した人であり、また、注文時にファンデーションのサンプルがもらえる設定になっている。一方、ブーツではカードは実店舗で受け取らなければならない。
AI以外にも、ブランドはファンデーションマッチングのためにさまざまなデジタルツールを試している。コサス(Kosas)のように物理的なサンプルを送ることに注力している企業もある。
また、イルマキアージュ(Il Makiage)は詳しいオンラインアンケートだけを基準にした完全なマッチングを保証している。
インクルーシビティの要素
肌色のデジタルマッチングに関する会話においては、インクルーシビティも重要な要素となっている。セフォラ(Sephora)は、2021年8月、さまざまな肌色に確実に対応するように設計されたAIテクノロジーを採用して、カラーIQ(ColorIQ)シェードマッチングをオンラインで再ローンチする計画を発表。
また、ザ・リップバー(The Lip Bar)とフェンティビューティ(Fenty Beauty)はパーフェクトコープのテクノロジーを使ったファンデーション関連製品のARトライオン機能をローンチしている。
マイムのマーケル氏は次のように述べている。「長いあいだ、肌色のマッチングツールの多くはあまり優れていなかった。我が社は当時のテクノロジーでできるかぎりのことはしてきたが。だが、今ではテクノロジーのおかげで、自分の肌色とマッチする製品をオンラインで購入することができるという信用度と信頼を築くことができている」。
[原文:Beauty & Wellness Briefing: Is this the year AI foundation matching is perfected?]
LIZ FLORA(翻訳:ぬえよしこ、編集:黒田千聖)