ビューティブランドはDiscordがもはやゲーマーだけのものではないことに気づいており、Discordに進出しつつある。ビューティインフルエンサーもDiscordで活動しており、ベイリー・サリアン氏、ブレットマン・ロック氏、マイ・ファム氏は自分のDiscordグループを運営している。
この記事は、DIGIDAY[日本版]のバーティカルサイト、ビューティ、ファッション業界の未来を探るメディア「Glossy+」の記事です。
ビューティブランドはDiscord(ディスコード)がもはやゲーマーだけのものではないことに気づいており、Discordに進出しつつある。
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ゲーム以外の会話も増えているDiscord
かつてはゲームコミュニティだけに利用されていたDiscordだが、いまでは幅広いテーマのコミュニティを惹きつけている。同社によれば、アクティブなユーザーの78%がゲーム以外の話題に使用しているか、またはゲームとそのほかの目的に同じほど使用していると述べているそうだ。音声、動画、チャット機能での会話テーマにはビューティが含まれており、eガールメイクやネイルなどあらゆるテーマに特化したコミュニティが存在している。また、ビューティブランドの中には自社のファンコミュニティを運営し始めているところもある。現時点では、そのようなグループは小規模だが有機的であり、個人所有のDiscordには現在は広告がない。
Discordの戦略的コミュニティ責任者、アンバー・アザートン氏は次のように述べている。「Discordは2015〜2016年以降大進化を遂げたが、ゲーマーの集う場所であるだけではなく、誰もが集いコミュニティを築くことができる場所になっている。そのようなコミュニティの多くは有機的に集まってきており、ビューティファンダムといったところだ」。
ビューティ分野のニッチに対するさまざまなビューティグループがDiscordに生まれている。たとえば、レディット(Reddit)グループのスピンオフであるエイジアンビューティ(Asian Beauty)では、メンバーらはお気に入りのKビューティ製品やJビューティ製品の情報交換をしている。ネイルズガロア(Nails Galore)はネイルアートが中心だ。メンバー数は少ないものの、活発に活動している。エイジアンビューティには140万人のレディットメンバーがいるが、Discordに参加しているのはそのうち1771人である。しかし、Discordのサーバーの95%は100人未満なので、同社の基準ではこれは大規模と言える。
ビューティインフルエンサーもDiscordで活動しており、ベイリー・サリアン氏、ブレットマン・ロック氏、マイ・ファム氏は自分のDiscordグループを運営している。
「Discordで成功しているビューティのサブカルチャーコミュニティは多い」とアザートン氏は述べている。
スターフェイスのDiscord利用例
ファッションなど複数の業界の消費者ブランドはDiscordがマーケティングの機会になることに気づいており、ビューティブランドの中には独自のチャネルを開始したところもある。
その一例はZ世代向けのにきびパッチのブランド、スターフェイス(Starface)で、2021年初めに公式Discordサーバーを立ち上げた。それは、同ブランドのインスタグラムアカウントで宣伝され、また、サイトからもリンクしている。従業員がモデレートする約480人のメンバーから成るこのサーバーでは、製品の発売ニュースを共有したり、顧客からの質問に答えたり、製品のプレゼントなどを行っている。また、スキンケアに加えて、ユーザーがメンタルヘルスや占い、ミーム、音楽などの話題を話し合えるチャネルを作成した。
「メンバーが直接、そして誠実に交流できるプラットフォームはほとんどない」と述べているのは、スターフェイスの社長兼ゼネラルマネージャーであるカラ・ブラザーズ氏だ。「Discordはコミュニティ構築の素晴らしいツールだと思う。そのおかげで、親密なレベルのやりとりが可能になり、顧客と「対面で」交流できる。もっと一般的なプラットフォームでは普通そのようなことはできない」。
Discordが推進する学びのチャンス
ブランドは、パンデミック中にオーディエンスが急増したDiscordに注目している。Discordの月間アクティブユーザー数は1億5000万人を超え、週ごとのアクティブサーバー数は1900万で、Z世代に人気がある。Discordによると、18〜24歳のブランド認知度は68%である。Discordがますます主流になるにつれ、そこに集っていることが判明しているヘイトスピーチグループの排除に同社は2017年以来尽力している。
Discordに参入するのはインディーズのスタートアップだけではない。ナーズ(NARS)はDiscordの自社チャネルでも活発に活動している。ナーズは、チャットチャネル、ブランド告知、特製絵文字のほかに、Discord上で教育コンテンツも売り込んでいる。2021年9月、ディスコードで10週間の「マスターズ・イン・コンプレクション(Masters in Complexion)(肌のマスター)」コースを宣伝したが、これはYouTubeと自社サイトとインスタグラム全体でリンクしてライブストリームされたものだ。このイベントのためのDiscordチャネルでは、ユーザーたちにチャットで自分の作品画像を披露するように呼びかけられた。
学びにフォーカスすることは、ユーザーのDiscordの活用方法に基づいたコミュニティ構築に役立っていると、アザートン氏は述べている。
「これはDiscordで生まれているネイティブな動きだ」とアザートン氏は言い、外国語の学習やPhotoshopなどのテーマに関するチュートリアル中心のサーバーが多く存在していることを指摘している。「ブランドがネイティブの行動を活用すれば、それがユーザーらのバーティカル内ではなくても実にうまく機能する」。
拡大が期待されるディスコードの役割
Discordでは、そこに正式に進出していないブランドも取り上げられている。たとえば、セフォラ(Sephora)の顧客は、非公式のセフォラファングループを作って製品のお勧めやお買い得情報などを共有している。アザートン氏によると、成功しているブランド戦略のひとつには、すでに存在する有機的なグループとの提携があるという。たとえば、ネットフリックス(Netflix)はさまざまな番組のファングループと協力してQ&Aセッションやイベントを主催している。
Discordのチームは、ビューティブランドにとってDiscordの果たす役割は将来拡大するだろうと考えている。
「コミュニティを大切にするビューティブランドはDiscord戦略を立てるべきだ」とアザートン氏。「ほかのソーシャルメディアプラットフォームはDiscordと共存できる。ほかのプラットフォームのフォーカスは美しい画像だが、Discordの強みは会話とコミュニティなのだから」。
[原文:Beauty & Wellness Briefing: Discord’s beauty scene is attracting brands]
LIZ FLORA(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)