新しいソーシャルコマースチャネルは、ブランドに収益をもたらす新しい手段を提供している。その中には、9月に米国でローンチされたTikTok Shopがあるが、偽造品との関連性がその普及に影を落としているようだ。
ラグジュアリー再販のマイジェマ、TikTok Shopで売上成長
昨年、3000万ドル(約45億円)を売り上げた米国のラグジュアリーマーケットプレイス、マイジェマ(MyGemma)にとって、TikTok Shopは自社ウェブサイトに次いで2番目に大きな収益源となっている。マイジェマは自社D2CサイトやTikTokを通じてハンドバッグや時計などの高級品を再販しており、TikTokには1.5万人のフォロワーがいる。同社は、2023年の総収益の15%が、TikTok、インスタグラム、Whatnotのライブストリームから得られると予想している。
新しいソーシャルコマースチャネルは、ブランドに収益をもたらす新しい手段を提供している。その中には、9月に米国でローンチされたTikTok Shopがあるが、偽造品との関連性がその普及に影を落としているようだ。
ラグジュアリー再販のマイジェマ、TikTok Shopで売上成長
昨年、3000万ドル(約45億円)を売り上げた米国のラグジュアリーマーケットプレイス、マイジェマ(MyGemma)にとって、TikTok Shopは自社ウェブサイトに次いで2番目に大きな収益源となっている。マイジェマは自社D2CサイトやTikTokを通じてハンドバッグや時計などの高級品を再販しており、TikTokには1.5万人のフォロワーがいる。同社は、2023年の総収益の15%が、TikTok、インスタグラム、Whatnotのライブストリームから得られると予想している。
マイジェマのCEO、アンドリュー・ブラウン氏は、「TikTokは、TikTok Shopをローンチする約6カ月前にShopify経由の別のプラットフォームで稼働していた」と述べている。「当社はそこである程度の成功を収め、Shopのローンチに関与する前に素晴らしいフォロワーを築き上げていた。クリエイターたちと協力して、現時点ではおそらく週に20本のライブを行っている」。ライブストリームの長さは平均60~90分で、マイジェマはアイテムが販売されるたびにクリエイターに5~10%の手数料を支払う。
Advertisement
ブラウン氏によると、TikTokでのマイジェマのライブストリームは数十人から数百人に視聴されているという。コンバージョン率は「高い」と同氏は言うものの、詳細は共有されなかった。現在、マイジェマのライブストリームの売上の67%がハンドバッグ、20%がジュエリー、13%が時計であるが、ブラウン氏は今後数カ月のうちにそれらの割合は同程度になると予想している。もっとも売れているブランドにはシャネル(Chanel)やルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)、またカルティエ(Cartier)のジュエリーもあるという。
マイジェマは、自分たちのアカウントでライブストリームを行う多くのTikTokerと協力している。ブラウン氏は次のように述べている。「TikTokが示してくれたTikTokerや既存の再販他社と協力している。彼らは世界中のオーディエンスを惹きつけて当社製品を販売している」。
マイジェマ製品をオーディエンスに販売している既存の企業に対して、マイジェマは製品を卸売価格で販売している。マイジェマからは提携企業については開示されなかった。現在、ヴェスティエール・コレクティブ(Vestiaire Collective)とザ・リアルリアル(The Real Real)はTikTok Shopを利用していない。
現在では、マスブランドのザラ(Zara)でさえ自社サイトでUGCコンテンツを活用しており、TikTokに定評があるピアレコメンデーションの重要性が示されている。「パンデミック後のeコマース時代の新しい格言は、すべてのeコマースはソーシャルコマースである、というものだ」と述べるのは、インフルエンサーエージェンシー、オープンインフルエンス(Open Influence)のCEO兼共同創業者のエリック・ダーハン氏だ。「本当のソーシャルコマースの成功というのは、顧客を理解し、信頼と検証のためにインフルエンサーとの関係を活用し、新興ネットワーク、特にTikTokで実験する意欲を持つことから生まれる」。
AI活用で製品の認証を行うエントルピーを利用
ただし、どんなブランドでもマイジェマのようなレベルの信頼をTikTok Shopにもたらせるわけではない。創業5年のマイジェマの顧客の40%がリピート客だ。9月のTikTokデータによると、TikTok Shopでは20万人以上の登録セラーと10万人以上のクリエイターがライブストリームショッピング機能を利用している。各セラーは販売するために審査に合格しなければならないが、審査では偽造品の販売は禁止されてはいない。
その結果、TikTok Shopは現在、エルメス(Hermès)などの高価な再販商品を販売する際に必須である認証面の習得に注力している。10月18日に発表されたように、TikTok Shopは、AIを活用したラグジュアリー認証システムのエントルピー(Entrupy)と提携している。
エントルピーはAIテクノロジーを使用して、TikTok動画に投稿されたバッグを評価する。同社によると、その正確度は99.1%だという。マイジェマはニューヨークで専門家により全製品を直接認証しているため、製品の認証にエントルピーを利用する必要がない唯一のラグジュアリー再販業者であるとブラウン氏は述べている。
エントルピーのデータでは、2022年に10億ドル(約1513億円)以上の在庫が認証されたという。そして、その調査結果によると、米国の消費者が知らないうちに世界の偽造品の20%を購入していることが示されている。エントルピーは、ほとんどの場合、ルイ・ヴィトン、シャネル、グッチ(Gucci)の製品を評価している。
「TikTokはできる限りのことを行っており、真正性を高めることに注力している」とブラウン氏は言う。「これはソーシャルコマースで売上を上げるための大きなハードルだ。しかし、特にTikTokネイティブのセラーに向けて、信頼性は生まれてくるだろう」。
オンラインでの偽造品販売に対処する米国のINFORM法
創業23年と確立しているAmazonでさえも、真正性の問題を避けて通ることはできない。eBayやアリババ(Alibaba)に加えて、Amazonも行動を起こした。
Amazonは、昨年米国で可決され、6月27日に発効したINFORM法を熱心に支持していた。この法律は、オンラインで販売する企業に対し、大量の商品を扱うサードパーティセラーに関する識別情報を収集・検証・開示することを義務付けている。このルールはTikTok Shopのセラーに適用される。FTC(米国連邦取引委員会)によると、INFORM法の違反はFTC規則の違反として扱われ、FTCは違反1件につき最高5万120ドル(約758万円)の民事罰金を課すことができる。
[原文:TikTok Shop is driving sales for resale companies, even as fakes flood the platform]
ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)