このところ失策続きのTwitterだが、それでも長きにわたり、職業人のためのソーシャルワークハブとして、さまざまな業界で働く人々を支えてきた。しかし、Twitterにとって潮目は変わりつつあるのかもしれない。ユーザーはTwitter首脳部に不満を抱き、その間にメタはThreadsという魅力的な代替アプリを立ち上げた。
そして、こうしたプロフェッショナルと呼ばれる人々の一部は、プラットフォームへの忠誠を切り替えるのに何の躊躇もないようだ(とはいえ、Threadsはローンチ当初の勢いを失っている)。
Twitterの役割
広告エージェンシーのハーモニカ(Harmonica)でシニアバイスプレジデントを務めるマーク・バラード氏は、2009年来の熱心なTwitterユーザーだ。「私にとってTwitterは、クライアントのマーケティング機会を見つけるための非常に重要な情報源となってきた」と同氏は話す。「現時点では、変わらずその役割を果たしている。しかし、Threadsがすでに何百万人ものユーザーを集めていることは、Twitterに不満を抱く者が私ひとりではないことの証だろう。私と同じように、何百万人という人たちがTwitterという船から逃げ出す機会をうかがっている」。
長い年月をかけてバラード氏は、スポーツ、コメディ、メディアといった個人的な趣味に即して4500人以上のユーザーをフォローしてきた。Twitterはメディア分野とマーケティング分野の業界人、ジャーナリスト、広報関係者にとってとくに有用なプラットフォームだ。彼らの多くがTwitterを活用してトレンドを追いかけ、ニュース速報を読み、情報網を構築している。
また、Twitterは記者やライターにとっても定番のプラットフォームであり、新たな情報源を見つけたり、トレンドから記事の着想を得たり、仕事の人脈を構築したりするためのツールとして使われてきた。
しかし、2022年末にイーロン・マスク氏がTwitterを買収して以来、中核的な製品やアルゴリズムへの変更が相次ぎ、何百万人ものユーザーの苛立ちと怒りを買っている。Twitterの生みの親で元CEOのジャック・ドーシー氏が推進する「ブルースカイ(Bluesky)」や、Twitterの元従業員で有色人種のアルフォンゾ・フォンズ・テレル氏とデヴァリス・ブラウン氏が立ち上げた「スピル(Spill)」も、その運命を覆すことはなさそうだ。
Threadsへの移行で多くのフォロワーを失う
一方、メタはライバルアプリのThreadsの公開を早め、7月10日に公開からわずか5日で1億人のユーザーを獲得したと発表した。インスタグラムのアカウントに紐づくThreadsの登場で、仕事目的でTwitterを使うのをきっぱりやめようと考える人が増えている。しかし、Threadsは本当にTwitterの代わりになるのだろうか。
バラード氏はその可能性は十分にあると見ている。同氏はただちにThreadsへの移行に着手した。ゆくゆくはTwitterのアカウントを閉鎖する意向であるため、「Threadsでフォローしてほしい」というツイートをプロフィールにピン留めしているという。
「TwitterのフォロワーのほとんどがThreadsでもフォローしてくれればよいが、おそらく数百人規模でフォロワーを失うことになるだろう」とバラード氏は話す。
このところ失策続きのTwitterだが、それでも長きにわたり、職業人のためのソーシャルワークハブとして、さまざまな業界で働く人々を支えてきた。しかし、Twitterにとって潮目は変わりつつあるのかもしれない。ユーザーはTwitter首脳部に不満を抱き、その間にメタはThreadsという魅力的な代替アプリを立ち上げた。
そして、こうしたプロフェッショナルと呼ばれる人々の一部は、プラットフォームへの忠誠を切り替えるのに何の躊躇もないようだ(とはいえ、Threadsはローンチ当初の勢いを失っている)。
Twitterの役割
広告エージェンシーのハーモニカ(Harmonica)でシニアバイスプレジデントを務めるマーク・バラード氏は、2009年来の熱心なTwitterユーザーだ。「私にとってTwitterは、クライアントのマーケティング機会を見つけるための非常に重要な情報源となってきた」と同氏は話す。「現時点では、変わらずその役割を果たしている。しかし、Threadsがすでに何百万人ものユーザーを集めていることは、Twitterに不満を抱く者が私ひとりではないことの証だろう。私と同じように、何百万人という人たちがTwitterという船から逃げ出す機会をうかがっている」。
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長い年月をかけてバラード氏は、スポーツ、コメディ、メディアといった個人的な趣味に即して4500人以上のユーザーをフォローしてきた。Twitterはメディア分野とマーケティング分野の業界人、ジャーナリスト、広報関係者にとってとくに有用なプラットフォームだ。彼らの多くがTwitterを活用してトレンドを追いかけ、ニュース速報を読み、情報網を構築している。
また、Twitterは記者やライターにとっても定番のプラットフォームであり、新たな情報源を見つけたり、トレンドから記事の着想を得たり、仕事の人脈を構築したりするためのツールとして使われてきた。
しかし、2022年末にイーロン・マスク氏がTwitterを買収して以来、中核的な製品やアルゴリズムへの変更が相次ぎ、何百万人ものユーザーの苛立ちと怒りを買っている。Twitterの生みの親で元CEOのジャック・ドーシー氏が推進する「ブルースカイ(Bluesky)」や、Twitterの元従業員で有色人種のアルフォンゾ・フォンズ・テレル氏とデヴァリス・ブラウン氏が立ち上げた「スピル(Spill)」も、その運命を覆すことはなさそうだ。
Threadsへの移行で多くのフォロワーを失う
一方、メタはライバルアプリのThreadsの公開を早め、7月5日の公開からわずか数日で1億人のユーザーを獲得したと発表した。インスタグラムのアカウントに紐づくThreadsの登場で、仕事目的でTwitterを使うのをきっぱりやめようと考える人が増えている。しかし、Threadsは本当にTwitterの代わりになるのだろうか。
バラード氏はその可能性は十分にあると見ている。同氏はただちにThreadsへの移行に着手した。ゆくゆくはTwitterのアカウントを閉鎖する意向であるため、「Threadsでフォローしてほしい」というツイートをプロフィールにピン留めしているという。
「TwitterのフォロワーのほとんどがThreadsでもフォローしてくれればよいが、おそらく数百人規模でフォロワーを失うことになるだろう」とバラード氏は話す。「そのことはそれほど気にならない。なぜなら、私にとってTwitterの最大の価値はむしろ『聞くこと』だったからだ。多くのメディア関係者がThreadsの波に乗るのは確実だと思う。Threadsで彼らをフォローしたり、彼らと交流したりできるだろう。一夜にして起こることではないにせよ、確実に起こることではある」。
Threads課題1:ハッシュタグ機能がまだない
一方、トム・チヴァース氏は広報のプロで、記者やライターと仕事をすることが多い。「私にとって、Twitterは仕事の基盤のひとつだった」と同氏は語る。「TweetDeck(ツイートデック)が無料サービスから外され、改悪の一途をたどる有料の新バージョンが導入されたが、Twitterというプラットフォームに嫌気がさしていた多くのPR関係者にとって、これがとどめの一撃となった」。
チヴァース氏はThreadsが幸先のよいスタートを切ったと考えているが、Twitterのアカウントをすぐに削除するのをためらわせる懸念もあるという。同氏の懸念は、ユーザーの投稿を検索する機能とハッシュタグ機能がないことに尽きる。つまり、記者やライターにとって有用なハッシュタグ「#journorequests」がThreadsでは使えないということだ。彼らは自分の情報網を広げるためにしばしばこのハッシュタグを活用する。一方、広報は自社の知見や情報を提供したいクライアントとともに、このハッシュタグを通じて情報提供を求める記者やライターに応答する。
「このハッシュタグが使えないため、これまでTwitterでやってきたのと同じことを、Threadsでやるのは物理的に不可能だ」とチヴァース氏は語った。
Threads課題2:アカウント間の切り替えが容易でない
マーケティングエージェンシーのシックス20トゥ(Six20Two)の共同設立者であるエフィ・マイ氏は、2万人を超えるTwitterフォロワーを持つ。マイ氏も自身のThreadsへの移行に不安を抱くひとりだが、23社にものぼるクライアントのポートフォリオで変更の手続きに着手したという。「Threadsのことを聞いて、『とりあえず試してみよう』ということになった」と同氏は述べている。
マイ氏はすでにクライアントのThreadsアカウントで一定の成功を見ているが、まだ完全にシームレスというわけにはいかないようだ。最大の課題は、アカウント間の切り替えが容易でないことだという。「すべてのアカウントを携帯電話に収め、いったんログアウトして、再びログオンするのに6カ所くらいクリックしなければならない」と同氏は話す。それでもなお、同氏は楽観的であり、「この点を解決すれば、素晴らしいものになると思う」と述べている。
なお、マイ氏がとくに嬉しいと思うことのひとつは、最大文字数がTwitterの280字を大きく上回る500字になることのようだ。また、ハッシュタグ機能も早期に利用できるようになることを期待しているという。同氏いわく、自身のアカウントとクライアントの両方について、万事順調にいけば1カ月の猶予期間を置いて、Twitterの利用を完全に停止するという。当面は、両方のプラットフォームにすべてを投稿する意向だ。
Threads課題3:更新や調整はこれからということ
広報関連のアドバイザーでソーシャルメディアに詳しいレア・フリーマン氏は、いまも変わらずTwitterを利用して、ニュースや速報をチェックし、トレンドを追いかけ、検索可能なハッシュタグを活用して特定のディスカッションに参加する機会を探している。ほかの業界人と同じく、Threadsが検索可能なハッシュタグや注目の記事や話題を取り上げる機能を実装すれば、Threadsで過ごす時間はさらに増えるだろうと見ている。
「いまのところ、このプラットフォームで何が一番上手くいくのか学んでいる最中だ。そのために、自分の経験が活かせるジャンル、あるいは意見を持っている分野で、ほかのアカウントと交流したり、議論に貢献したりすることに集中している」とフリーマン氏は話す。「Threadsのポジティブな雰囲気を楽しんでいる。また、新興のプラットフォームゆえに容易に目立つことができる。いわゆる『自分ブランド』の拡大や開発を模索しているなら、非常に有益なプラットフォームと言えるだろう」。
フリーマン氏は新しいプラットフォームの始動に満足しており、今後の展開を楽しみにしているという。「Threadsは生まれて数日の赤ん坊同然だ。これまでに生まれたほかのソーシャルメディアプラットフォームやWebサイトと同じように、これから多くの更新や調整が行われるのだろう」と、同氏は語った。
[原文:‘Looking to jump ship’: How workers are switching from Twitter to Threads]
Cloey Callahan(翻訳:英じゅんこ、編集:島田涼平)