これまで、収益構造の多様化に積極的に取り組んできたパブリッシャー。しかし長引くコロナ禍により、そうした取り組みにおける優先事項が少しずつ変化していることが、最近の米DIGIDAYの調査で分かった。米DIGIDAYは、コロナ禍が各社に及ぼした影響を調査するため、パブリッシャーの専門家を対象にアンケートを行った。
これまで、さまざまな角度から収益構造の多様化に積極的に取り組んできたパブリッシャー。しかし長引くコロナ禍の影響により、そうした各社の取り組みにおける優先事項が少しずつ変化していることが、最近の米DIGIDAYの調査で分かった。米DIGIDAYは、コロナ禍が各社に及ぼした影響を調査するため、パブリッシャーの専門家を対象にアンケートを行った。
2020年に引き続き行われた今回のアンケートだが、回答者数は2020年の135社から181社と規模を拡大している。
アンケートでは、パブリッシャーの収益構造に関する質問を多く設け、主に現在の収益構造と2021年の利益計画について尋ねた。また、2021年上半期における収益構造の各要素(収益原)となる事業についても「まったく取り組んでいない」から「非常に積極的に取り組んでいる」までの6段階を設定し、回答を求めている。
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イベント事業が縮小傾向へ
2020年は、パブリッシャーにとってほぼあらゆる面で課題に直面した1年となったが、2021年に重視すると挙げた事業分野について、ほぼ変化は見られなかった。
2020年の調査で最優先事業として挙げられた直販広告とサブスクリプションは、今年も上位に入っており、回答者の56%が直販を、46%がサブスクリプションを伸ばすことに非常に力を入れていると回答している。
このように上位に変動はない一方で、下位にいくにつれてコロナ禍の影響が見て取れる。一番はっきりと数字に表れたのがイベント事業だ。2020年はイベントを重視するという回答が32%だったのに対し、2021年上半期は17%と大幅に減少している。
対象:パブリッシャー 181社(2021年)、パブリッシャー 135社(2020年)
出典:Digiday+ パブリッシャーアンケート(2021年 冬)、Digiday+ パブリッシャーアンケート(2020年 冬)
動画広告への関心が拡大
また、より短期間で実施するキャンペーンへの関心が高まっている一方で、ブランデッドコンテンツを重視する割合が減っている。2020年のアンケートでは、ブランデッドコンテンツの拡大を重視しているという回答者は4分の3近くに上っていたのに対し、2021年は3分の2未満にとどまった。
さらに、動画広告への関心が大きく伸びているのがひときわ目を引く。2020年は「強い関心がある」と回答したのは26%だったが、2021年には41%と大幅に増加した。
そのうえ、アフィリエイト事業で2020年に大きな成長を遂げたパブリッシャーが何社もあったにもかかわらず、同事業への関心自体は2020年の39%から2021年の36%へと若干の低下となっている。
対象:パブリッシャー 181社(2021年)、パブリッシャー 135社(2020年)
出典:Digiday+ パブリッシャーアンケート(2021年 冬)、Digiday+ パブリッシャーアンケート(2020年 冬)
事業の選択と集中をより強く
全体的に見て、パブリッシャー各社は事業の選択と集中をより強く進めている傾向にあることが分かる。アンケートでは「0」(まったく取り組んでいない)から「5」(非常に積極的に取り組んでいる)の6段階で回答する形式だったが、2021年は平均値が「3」を超えた事業は直販広告のみで、4項目で平均値が「2」を下回っており、ほぼすべての項目の平均値が2020年よりも低い結果となった。
[原文:Digiday Research: The coronavirus pandemic left marks on publishers’ 2021 revenue plans]
MAX WILLENS(翻訳:SI Japan、編集:長田真)
Illustration by IVY LIU