スタジアムグッズ(Stadium Goods)は、一新され拡大されたソーホー地区の店舗を先週営業開始した。スタジアムグッズの小売および地域拡大担当バイスプレジデントを務めるフォン・トロン氏は、この店舗の拡大計画が、同社の戦略的な方向性をどのように具現化しているかについて、米モダンリテールに語った。
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スタジアムグッズ(Stadium Goods)は2月第3週、NYソーホー地区の店舗を改装・拡大オープンする。
この新たに2860平方フィート(約266平方メートル)になった店舗には、変形された360度の円形レジ台、試着室、幅広いセレクションのソックスを展示する「ソックスバー」、そして新たにアップグレードされたレアなスニーカーのパブリックコレクションである「トロフィーケース」が設置されている。また、自社ブランドであるスタジアムグッズ(Stadium Goods)とスタジアム(Stadium)を中心としたアパレル専用スペースを拡大した。
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2015年に創設されたスタジアムグッズは、ストリートウェアとスニーカーの再販に特化してきたが、アパレルのラインも含めて年々扱う商品の範囲を拡大するようになり、それを実店舗にも反映させたいと考えている。ファーフェッチは2018年に同社を2億5000万ドル(約288億円)で買収したが、自社の利益においてスタジアムグッズの収益の割合を明かしていない。
スタジアムグッズの小売および地域拡大担当バイスプレジデントを務めるフォン・トロン氏は次のように述べている。「これは、マーチャンダイジングのために売場面積を増やすという、我々の取り組みの一部だった。当社はストーリーテリングを重視しており、マーチャンダイジングは顧客と小売のエクスペリエンスに大きな役割を果たしている」。同社は2015年に初の店舗をソーホーに開設し、2020年10月にシカゴの店舗を開いた。
トロン氏は、スタジアムグッズの店舗の拡大計画が、同社の戦略的な方向性をどのように具現化しているかについて、米モダンリテールに語った。以下の対談内容は簡素さと明瞭さを考慮し、編集を加えたものである。
◆ ◆ ◆
――この店舗改装は、スタジアムグッズがシカゴのマグニフィセントマイル(Magnificent Mile)に店舗をオープンしてから18カ月後に行われたものだ。実店舗を中核としているのはどのような理由からか?
小売は常に、スタジアムグッズのDNAの大きな部分を占めている。ハワードストリート47番地の店舗は、当社が創設されたときの最初の実店舗だった。ここでは、小売の顧客との関係を築いただけでなく、委託販売用の商品も受け入れていた。
我々の業務において、コミュニティは非常に大きな部分だ。そして、我々はコミュニティとのつながりを重視しており、そのためには物理的なタッチポイントを用意するのが一番だ。
――このような新しい店舗体験を提供することにどのような可能性を見いだしているか?
もっとも大きな可能性は、スタジアムの自社ブランドについてのストーリーを語り、顧客が求めているマーチャンダイジング効果を与えることができることだ。試着室をはじめて設置したのだが、これはもちろん、我々のアパレル分野への進出と事業拡大を象徴するものであり、この展開のなかで顧客は我々の商品、特に新しいアパレルを試せるようにしている。
我々が本当に望んでいるのは、顧客のために店舗での体験を最適化し、何か今までと違う、今までよりも良い特別なものと感じられるようにすることだ。当社はスニーカーとストリートウェアにおいて最高級の商品を提供していると自負している。
ソックスは、当社のアパレルラインでも特に大きな位置を占めている。履き心地のよい、見ていて楽しくなるような色のソックスを50色以上取り揃えている。顧客がインタラクティブに楽しめるようなものを作りたいと思い、ソックスバーを設置した。
ソックスのラインナップをさらに拡大し、アパレルや、我々のビジネスにおいて重要なほかのコレクターズアイテムも販売できるようにしたいと考えた。
――スタジアムグッズがアパレルの販売スペースを拡大し、自社ブランドを特に力を入れることにしたのはどのような理由からか?
結局のところ、スタジアムブランドはスタジアムグッズの進化を象徴している。ラグジュアリーとストリートウェアの間には接点があることを常に認識していたので、昨年3月に発表したブランドは、我々にとって非常に大きなできごとだった。ここ数年に、この2つの世界が融合してきたことで、その考えは一般的になってきたと考えている。
顧客を理解し、顧客が最終的に求めているものを提供できるようにしたい。我々がスタジアムで目指しているのは、顧客が求めるワンストップショップであり続けることだ。
――この店舗はスタジアムグッズ全体の戦略とブランドにおいて、どのような役割を果たすと考えているのか?
NYはいつでも我々のフラッグシップだ。我々はNYの企業だ。NYで創業し、NYで店舗を開いたのだ。
特にソーホーの店舗は、我々が行うことすべてにおける中心地だ。そのため、我々にとって、この店舗に再投資してアップグレードし、企業として進むべき方向に合わせてレベルアップことは筆舌に尽くせないほど重要だ。
その目的は、常に顧客にワンランク上の体験を提供し、差別化を図ることだ。顧客は我々を探し求めている。我々が望んでいるのは、顧客が来店するとき、それが意図した来店だろうと、通りすがりにふと店に入ったのかにかかわらず、ほかの小売店でショッピングをするときには受けられないような、申し分のないサービスを受けられるようにすることなのだ。
[原文:‘New York will always be our flagship’: Stadium Goods remodels Soho store to highlight apparel]
Maria Monteros(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:黒田千聖)