NFTにフォーカスしたコミュニティのワールド・オブ・ウィメン(World of Women、以下WoW)は、3月8日、ゲームプラットフォームのザ・サンドボックス(The Sandbox)との提携を発表した。これは、この種のパートナーシップの初めてのものである。
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NFTにフォーカスしたコミュニティのワールド・オブ・ウィメン(World of Women、以下WoW)は、3月8日、ゲームプラットフォームのザ・サンドボックス(The Sandbox)との提携を発表した。これは、この種のパートナーシップの初めてのものである。
学びや起業の機会を提供するパートナーシップ
同パートナーシップの主な焦点は、仮想通貨について学ぶ機会を女性に提供するWoW財団(WoW Foundation)による2500万ドル(約29億円)の助成金である。WoW大学やWoWアカデミーなどのイニシアチブを用いて、講座や理解に基づいたアントレプレナーシップが提供される。これらはザ・サンドボックス上で行われるが、ザ・サンドボックスはこのようなイニシアチブを通じてもっと多くの女性オーディエンスの獲得を目指している。
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2011年に設立されたザ・サンドボックスはブロックチェーンベースの仮想世界であり、プレイヤーはNFTを制作したり、自分の土地でNFTを披露したり、アバターで新しい場所を訪れてほかのプレイヤーやブランドと交流することができる。グッチ(Gucci)は、先月、ザ・サンドボックスで土地を購入している。同プラットフォームは急速な成長を遂げており、昨年11月の時点で50万人を超えるユーザーを抱えている。この5年におよぶパートナーシップによって、確固たる価値観に基づくコミュニティを持つNFTプロジェクトに対してブランドとプラットフォームはどのように関与できるかを明らかにしてくれるだろう。
発表によると、パートナーシップと財団は4つの柱に焦点を当てているという。それは、アーティストへの支援とプロジェクトへの資金提供によるメタバースエコシステムの向上、Web3に参入する初心者の教育、女性を中心にした目標をもっと知ってもらうためのコミュニケーション、慈善団体への還元である。
ザ・サンドボックスの取締役であるマシュー・ヌーザレス氏は次のように述べている。「Web3に進出するには時間がかかることを知っているが、できるだけ多くの人々に参加してもらいたいと思っている。また、この新しい大学フォーマットを試して、時間をかけて改善していきたいと考えている」。
メタバースに関与する女性を増やしたいWoW
このパートナーシップは、ビジネス開発の機会を提供し、Web3やメタバース、NFT制作とオークションについて学びたいNFT制作者をサポートする。また、ザ・サンドボックスは相互運用可能なWoWアバター、WoWミュージアムの専用スペース、WoW大学でのインタラクティブな無料オンラインレッスンやWoWアカデミーでの新進NFT起業家のためのインキュベータープログラムを提供して、プログラム終了時には作品の発表の場も与えられる。WoWのコミュニティ責任者のヤネファー氏は次のように述べている。「我々は、NFT分野で行っているのと同様に、メタバースでももっと多くの女性を導いて支援したいと考えている。しかし、ここでのフォーカスは、それを女性開発者に拡大することだ」。
ヌーザレス氏は大学について次のように語っている。「ザ・サンドボックス内で学びの場を提供するのは、我々がほかとは異なっていることを示したいからだ。さまざまなナラティブや学習体験を提供することに取り組んでいく。そうすればもっと楽しくなるだろう」。また、同氏によると、今後数カ月のうちに複数のブランドパートナーシップが発表されるということである。
WoWは、ボアード・エイプ・ヨット・クラブ(Bored Apes Yacht Club)と似たようなアバターアートプロジェクトとしてスタートしたが、仮想通貨とNFT分野への女性の進出に重点を置いている。デジタルイラストレーターのヤム・カーカイ氏は、2021年7月に1万人のアバターでWoWプロジェクトをローンチしている。現在、このプロジェクトはもっとも人気のある女性主導のNFTプロジェクトのひとつになっており、エヴァ・ロンゴリア氏、リース・ウィザースプーン氏、リアム・ペイン氏、ローガン・ポール氏などのセレブから支持されている。ローガン・ポール氏は1月に自分の30点のコレクションからNFT1点を販売したが、これには200イーサリアム(76.5万ドル、約9000万円)という記録的な価格がついた。
成長中のNFTアート分野を分析するアートタクティック(ArtTactic)のレポートによると、NFTアート市場で女性アーティストの占める割合は16%未満であり、NFTの売り上げではわずか5%だという。WoWは、売り上げの15%をほかの仮想通貨プロジェクトに再投資している基金に寄付し、さらに7.5%を女子の教育と児童婚をなくすための活動に尽力している慈善団体に分配することによって、この統計数値に対抗している。
価値観や理念に基づいたプロジェクトにふさわしいメタバースの可能性
メタバースとNFTスペースに参入する際にブランドが抱える主な問題のひとつには、アプリケーションの問題がある。コミュニティがすでに強力であり、ブランドプレゼンスからはメリットがないように思える場合に、ブランドとプラットフォームはどのように関与すべきだろうか。仮想通貨の分散型フォーマットと収益性の高いNFTスペースを備えたメタバースは、価値観や理念に基づいたプロジェクトに最適といえる。
メタバーキンNFT(Metabirkin NFT)の創設者であるメイソン・ロスチャイルド氏とアーティストのアンバー・パーク氏が最近発表したコラボレーションも切迫した問題にフォーカスしている。このプロジェクトは、高まる社会的正義の理念を支援しながら、気候変動や天然資源の枯渇などの環境問題への意識を高め、問題の緩和を目指すものだ。また、これはDiscordで1.2万人のフォロワーを集めており、良心的なNFTコミュニティを対象とした価値観主導のNFTプロジェクトにブランドが関与する際には潜在的なオーディエンスがいることが示唆されている。
ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)