Googleもついに、ファーストプライスオークションを採用:移行に頭を悩ますバイヤーたち

Googleのアドエクスチェンジがついに、プログラマティック広告陣営に追随して、ファーストプライスオークションモデルを取り入れることになった。ファーストプライスオークションでは、一番高い入札額を提示した広告主がインプレッションを勝ち取り、その入札額を支払う。広告主が次点落札者より少し高い額を支払うことになる従来のセカンドプライスオークションより、設定もずっと簡単になる。しかし、セカンドプライスオークションからファーストプライスオークションへの移行は、広告主にとって、より複雑でコストがかかるものになる可能性がある。

Googleは実質上、ファーストプライスオークションをディスプレイ広告のプログラマティックモデルのデフォルトに設定している。インデックス・エクスチェンジ(Index Exchange)やオープンX(OpenX)、ルビコン・プロジェクト(The Rubicon Project)などの競合エクスチェンジは、2017年にファーストプライスオークションの導入を開始した。だが、Googleはいままで大きな変更は加えてこなかった。それはつまり、アドバイヤーはファーストプライスオークションとセカンドプライスオークションの両方で実施しているキャンペーンを管理しなければならないという意味になる。

ファーストプライスモデルへの移行は、プログラマティックなアドバイイングを一層厄介にしている。あるエージェンシーの幹部は、コストを抑えるために「ビッドシェーディングのような洗練されたテクニックを採用する必要があるので、入札戦略がより複雑になる」と話す。

すべての広告主が節約につながるテクニックを採用するとは限らないし、その結果、広告、特に、それほど価値があるとは思われていないロングテールなインベントリー(在庫)の価格が上昇する可能性がある。多くのブランドにとってこのインベントリーをセカンドプライスオークションで購入することは、イーベイ(eBay)でネジ回しに高額な入札価格をつけるようなものだと、インフェクシャスメディア(Infectious Media)のグローバル戦略パートナーシップディレクターを務めるダン・ラーデン氏はいう。「それに10ポンド(約1450円)もの価値はないと知っているが、競合する入札があるだろうし、比較的低価格で勝てそうなのでとりあえず入札する」。

エージェンシーの反応

2017年に起こったファーストプライスオークションにおける最初の波は、ヘッダー入札の登場によって速度を速められ、広告価格を押し上げた。プログラマティックエージェンシーであるグッドウェイグループ(Goodway Group)のプレジデント、ジェイ・フリードマン氏によると、ビッドシェーディングを除けば、プログラマティック広告の清算価格は15%、場合によっては20%も上昇した。「もっとも、我々の入札アルゴリズムが先を行っていたおかげで、(ファーストプライスオークションによる価格上昇の)影響は受けなかった」と、フリードマン氏はいう。

パブリッシャーはつい最近の2018年11月まで価格上昇の恩恵を受け続けてきたことが、米DIGIDAYが100以上のパブリッシャーを対象に行った調査(会員限定記事)からわかっている。テクノロジーに明るいトレーダーやビッドシェーディングのアルゴリズムが一定水準に達し、より保守的な入札戦略が採用されるようになるにつれ、コストは徐々に下がってきた。Googleのオークションについても、市場が適応するにつれて、同様の上昇と下落が予想されている。戦術的にみると、この動きは、ビッドシェーディングでやってきたような過払いを回避するための何らかの技術を展開しているデマンドサイドプラットフォーム(以下、DSP)の重要性を強調する。

ファーストプライスオークションでインプレッションに広告費を払いすぎることは「我々が心配していることではない」と、グループ・エム(GroupM)のデータならびにテクノロジーユニット「mプラットフォーム(mPlatform)」で開発担当ディレクターおよびシニアパートナーを務めるマイク・ムーア氏は話す。Googleがファーストプライスオークションを採用する最後の主要エクスチェンジだということを考えると、mプラットフォームはすでに、ファーストプライスマーケティングで取引をし、ビッドシェーディングやその他の戦術を使って払いすぎを回避しているDSPが機能しているという仮定の下で入札している。「主にファーストプライスで動いていると我々が知っているエクスチェンジ内の全ボードを通じて価格の劇的な上昇は経験していない」と、ムーア氏はいう。

広告主たちの現実

しかし、広告主の多くは、気持ちのうえでまだ、ファーストプライスへ移行していないかもしれない。彼らにとって、ファーストプライスオークションへのシフトには、プログラマティック戦略のリセットが必要になる。入札の通知を受けるために、彼らが依存しているベンチマークは、セカンドプライスオークションで開発されているからだ。デジタス(Digitas)のプログラマティック担当アソシエイトディレクター、トーリ・シュルマン氏は次のように述べる。「我々は価格の上昇を期待している。ファーストプライスオークションが我々の勝率や重要業績評価指標(KPI)にもたらす意味を理解するまでには、少し時間がかかるだろう」。

広告主が費用を過剰に払いすぎることなくファーストプライスオークションでの入札に移行する手助けをするために、Googleエクスチェンジは、ファーストプライスの入札価格をGoogleが下げることを認めるオプションを広告主のために用意している。しかし、Googleによると、同社は2020年には、このオプショナルの入札変換サービスを廃止することになるだろう。

「ヘッダー入札の成長とほぼ同調する形で、サプライサイドプラットフォーム(SSP)がセカンドプライスオークションからファーストプライスオークションへ着実にシフトしているところを目の当たりにしているので、ほかの人々も早く移行することを期待している」と語るのは、アドテク開発企業アイポンウェブ(IponWeb)のデマンドソリューション向けの技術製品部門を率いるニキータ・ボリセンコ氏だ。「リアルタイムビッディング(RTB)を行う入札者がより複雑な技術を開発・展開する必要がある。それを持っていないプレイヤーは、生き残ることが困難だと思うだろう」。

「断片化の軽減がメリット」

オムニコム・メディア・グループ(Omnicom Media Group)のマーケットプレイスインテリジェンス担当マネージングディレクター、ベン・ホバネス氏は、「この方法ならば、Googleがその他すべてのマーケットプレイスと足並みを揃えることによって、この空間内での断片化を減らせることがメリットだ」と話す。

アドバイヤーは、最終的にはファーストプライスモデルへのシフトがプログラマティックなエコシステムに一層の透明性をもたらすだろうと期待している。プログラマティックコンサルティング会社バリック(Varick)の最高経営責任者(CEO)であるポール・ドラン氏は電子メールで、「これによって我々のクライアントは、各インプレッションの価値を正確に計測し、計画し、最適化できるようになる。不透明なオークションゲームをして時間を過ごす必要はない」と書いた。

あるブランドでプログラマティック部門を率いる人物は「入札に正直さがもたらされ、リターゲティング能力やインベントリーのアービトラージで知られる企業が攻撃的な入札を行い、すべての入札に勝ってしまうことを防げるような気がする」と話す。

Googleは、1年以上もの間ファーストプライスオークションに抵抗してきたが、今回の動きは、この取引モデルをいち早く採り入れた最大手のアドテクベンダーたちから自社の利益を守ることを目指したものだと、アドバイヤーは見ている。プログラマティックコンサルティング企業ジャウンスメディア(Jounce Media)の創業者であるクリス・ケイン氏はこう述べる。「マーケットシェアを維持するためにGoogleがファーストプライスオークションを必要としたのは興味深い戦略シグナルだ。だが、運営面ではそれほど大きな変化はないだろう。最大のDSPは1年をかけてビッドシェーディングのアルゴリズムを構築してきた。今度はそれをGoogleのオークションに当てはめることになる」。

パブリッシャーも要注意

バイヤーだけでなくパブリッシャーも適応しなければならないと、プログラマティックアドバイザリー(The Programmatic Advisory)のCEOを務めるウェイン・ブラッドウェル氏は言い、収益シナリオを予測して、価格の変動を理解することの重要性を説明した。「Googleのアドマネージャー(Ad Manager)を使って広告を提供したり、やりとりしたりしているなら、CPMの急上昇があるが、それは『通常レベル』に戻っていくと期待できる」とブラッドウェル氏は語る。

「CPMが短期的には上昇し、(その後で)沈静化に向けて着実に下落し、再び上昇するだろう」とニューヨークメディア(New York Media)のプログラマティック部門責任者、ジェレミー・ファス氏はいう。市場がファーストプライスモデルへと移行するにつれ、ニューヨークメディアのようなパブリッシャーは、インベントリー価格の下限、すなわち最低販売価格の設定の仕方を再評価する必要があるだろう。「我々にとってそれは大きな変化になるだろう」というファス氏は、たくさんのテストをして、パブリッシャーが最低価格をどのように調整すべきかを調べるつもりでいる。

Tim Peterson and Seb Joseph(原文 / 訳:ガリレオ)