会員数を巡るストリーミング戦争で、ウォルト・ディズニー・カンパニー(The Walt Disney Company)がNetflixとの差を縮めつつある。ディズニーCEOのボブ・チャペック氏は8月12日に開催された最新の […]
会員数を巡るストリーミング戦争で、ウォルト・ディズニー・カンパニー(The Walt Disney Company)がNetflixとの差を縮めつつある。ディズニーCEOのボブ・チャペック氏は8月12日に開催された最新の決算発表Webキャストで、同社の各種動画配信サービスを合計した会員数が1億7400万人近くになると発表した。ちなみにNetflixの第2四半期終了時点での会員数は2億920万人だ。
主な数字:
- 総売上高は前年同期比45%増の170億ドル(約1兆8700億円)
- リニアTVネットワークの売上高は前年同期比16%増の70億ドル(約7700億円)
- D2Cの動画配信サービスの売上高は前年同期比57%増の43億ドル(約4730億円)
- Disney+の会員数は前四半期から12%増の1億1600万人
- ESPN+の会員数は前四半期から8%増の1490万人
- Huluの会員数は前四半期から3%増の4280万人
バンドルの利点
ディズニーの動画配信サービスの会員数は伸び続けているが、旗艦動画配信サービスであるDisney+(ディズニープラス)の会員数はNetflixより9320万人少なく、その差はまだ大きい。だがNetflixと違い、ディズニーの動画配信事業は単一のサービスだけで構成されているわけではない。
Disney+、ESPN+、Huluを合わせると、7月3日時点での会員数は1億7370万人に上る。前年同期比では71%、前四半期からは9%の増加になる。
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それぞれの配信サービスに対する単独契約に加え、ディズニーはDisney+、ESPN+、Huluを含めたバンドル契約も提供している。全体の会員数のうちのどれだけがバンドル契約なのかという内訳は公開されていないが、チャペック氏は決算発表でバンドル契約がディズニーの会員数の急増に貢献していることに触れている。
具体的な数字は出さなかったものの、チャペック氏は「個々のサービスでも解約率は極めて低いが、バンドル契約の解約率はさらに低く、当社にとっても驚くほど低い数字になっている」と語った。
この実績を考えると、ディズニーがバンドル契約の販促に取り組んでいるという話は驚くべきことではないのかもしれない。チャペック氏は「当社マーケティングのかなりの部分が現在バンドル契約に向けられている」と話している。
Disney+プラス
直近の四半期で会員数の増加を促しているバンドルが、実はもうひとつある。
2020年4月、ディズニーはDisney+をインドの動画配信サービスであるHotstar(ホットスター)と合わせたバンドルを登場させ、そのサービスをインドだけでなくマレーシアなどの国にも拡大した。ホットスターは、ディズニーが21世紀フォックス(21st Century Fox)の買収で同社の傘下に入っている。
ディズニーのCFOであるクリスティン・マッカーシー氏は決算発表で、Disney+ Hotstarの会員数が「Disney+会員数全体の40%少し下回る程度」であることを明らかにした。
マッカーシー氏によれば、Disney+ HotstarはDisney+会員の大きな部分を占めるだけでなく、前四半期にDisney+が獲得した新規会員の「大多数」が同サービスのものだったそうだ。マッカーシー氏はHotstarが提供されていない市場でのDisney+の会員数の伸びも前四半期と同じ勢いを維持していると話したが、具体的な数字には触れなかった。
HuluのライブTVでは会員減少が進む
ディズニーの動画配信事業のすべてが上昇気流に乗っているわけではない。Huluの会員数全体は前四半期から3%増えて4280万人に達したが、有料テレビ配信サービスでは4月から6月にかけて10万人の会員を失っている。同サービスはその前の3カ月にも、20万人の会員を失っている。
つまり、Huluの有料テレビ配信サービスの会員は1月2日時点では400万人だったのが、7月3日時点には370万人まで減少したことになる。これは、ディズニーが2020年の12月に行った、54.99ドル(約6050円)から64.99ドル(約7150円)へのHuluの有料テレビサービスの月額料金の引き上げとかなり密接に関係している。
[原文:Cheat Sheet: Disney nears 174M subscriptions across Disney+, ESPN+ and Hulu]
TIM PETERSON(翻訳:SI Japan、編集:長田真)