現在、多くの小売業者やブランドがプライムデー(Prime Day)の開催中にAmazonと競合するようになっているものの、この2日間のイベントは依然としてAmazonプラットフォームとその売り手にとって収益の原動力となる重要なイベントだ。
アドビアナリティスク(Adobe Analytics)のデータによると、プライムデーイベントの初日である7月11日にAmazonユーザーが使った金額は、64億ドル(約8900億円)で、前年に比べて5.96%増加した。アドビによると、この日は2023年でeコマースの売上が最高を記録した日となった。
今年もっとも好調だったカテゴリーは以下の通りだ。
- 家電機器は2023年6月と比べて、1日あたりの平均売上が37%増加した。
- 玩具の売上は昨年よりも27%増加した。
- アパレルと電子機器の収益はそれぞれ26%と12%増加した。
さまざまなセグメントで売上が増加したのは、多くの人にとって生活費が依然として懸念材料である一方、買い物客はプライムデーのような特別なショッピングの機会においては、お買い得品や割引品を購入する余地を残していることを示している。
プライムデーの売上は2015年の開始以来、一貫して伸び続けている。2018年には売上が26億2000万ドル(約3640億円)に達し、2022年には、3億点の商品を販売し、その3倍近い73億ドル(約1兆100億円)の売上が生み出された。
ジョージタウン大学(Georgetown University)のマクドノウビジネススクール(McDonough School of Business)でマーケティングの教授を務めるリュック・ワシュー氏によると、現在の経済環境を考えると、プライムデーの重要性はますます大きくなっており、Amazonの派手な広告もその事実を反映しているという。今年Amazonが行ったもっとも大きな投資には、パーソナライズされたセールを2022年と比べて400%も増やしたことや、プライム会員限定の招待制セールなどが挙げられる。また同社は、TikTok風スタイルの動画アプリであるインスパイア(Inspire)のタブを立ち上げ、それぞれのインスパイア動画に登場する割引商品にプライムディール(Prime Deal)バッジを表示するようにした。
「インフレの関係で、人々は価格を非常に気にするようになっている。プライムデーは、これらの人々が目を付けていた商品をより良い条件で手に入れるチャンスだ」と、同氏は述べている。また、プライムデーは期間限定であり、大幅な割引も数時間しか続かないことを買い物客が理解しており、それが緊迫感を生むことについても言及している。さらに、プライム会員価格が年々値上がりしているため、「Amazonの顧客は年間を通してメンバーシップを最大限に活用したいと考えている」という。
このような理由から、今年のショッピングイベントでは、動画マーケティングの多用や、参加する売り手とブランドの数の増加など、いくつかのトレンドが浮かび上がってきた。ただし、Amazonプラットフォームでセールを行わなくなった売り手やブランドもいる。
これまでに見られたもっとも重要な動向を以下に示す。
こちらは、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です
※モダンリテール[日本版]は、DIGIDAY[日本版]内のバーティカルサイトです
現在、多くの小売業者やブランドがプライムデー(Prime Day)の開催中にAmazonと競合するようになっているものの、この2日間のイベントは依然としてAmazonプラットフォームとその売り手にとって収益を促進する重要なイベントだ。
アドビアナリティクス(Adobe Analytics)のデータによると、プライムデーイベントの初日である7月11日にAmazonユーザーが使った金額は、64億ドル(約8900億円)で、前年に比べて5.96%増加した。アドビによると、この日はeコマースの売上が2023年で最高を記録した日となった。
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今年もっとも好調だったカテゴリーは以下の通りだ。
- 家電機器は2023年6月と比べて、1日あたりの平均売上が37%増加した。
- 玩具の売上は昨年よりも27%増加した。
- アパレルと電子機器の収益はそれぞれ26%と12%増加した。
さまざまなセグメントで売上が増加したのは、多くの人にとって生活費が依然として懸念材料である一方、買い物客はプライムデーのような特別なショッピングの機会においては、お買い得品や割引品を購入する余地を残していることを示している。
プライムデーの売上は2015年の開始以来、一貫して伸び続けている。2018年には売上が26億2000万ドル(約3640億円)に達し、2022年には、3億点の商品を販売し、その3倍近い73億ドル(約1兆100億円)の売上が生み出された。
ジョージタウン大学(Georgetown University)のマクドノウビジネススクール(McDonough School of Business)でマーケティングの教授を務めるリュック・ワシュー氏によると、現在の経済環境を考えると、プライムデーの重要性はますます大きくなっており、Amazonの派手な広告もその事実を反映しているという。今年Amazonが行ったもっとも大きな投資には、パーソナライズされたセールを2022年と比べて400%も増やしたことや、プライム会員限定の招待制セールなどが挙げられる。また同社は、TikTok風スタイルの動画アプリであるインスパイア(Inspire)のタブを立ち上げ、それぞれのインスパイア動画に登場する割引商品にプライムディール(Prime Deal)バッジを表示するようにした。
「インフレの関係で、人々は価格を非常に気にするようになっている。プライムデーは、これらの人々が目を付けていた商品をより良い条件で手に入れるチャンスだ」と、同氏は述べている。また、プライムデーは期間限定であり、大幅な割引も数時間しか続かないことを買い物客が理解しており、それが緊迫感を生むことについても言及している。さらに、プライム会員価格が年々値上がりしているため、「Amazonの顧客は年間を通してメンバーシップを最大限に活用したいと考えている」という。
このような理由から、今年のショッピングイベントでは、動画マーケティングの多用や、参加する売り手とブランドの数の増加など、いくつかのトレンドが浮かび上がってきた。ただし、Amazonプラットフォームでセールを行わなくなった売り手やブランドもいる。
これまでに見られたもっとも重要な動向を以下に示す。
動画とインフルエンサーをさらに重視
Amazonはプライムデーのセールへのトラフィックを促進するため、インフルエンサーマーケティングをますます重視している。今年のマーケティングでは、Amazonライブや、同社が昨年12月に開始したTikTok風の機能であるAmazonインスパイアも重視されていた。
今回はインスパイアが使用される最初のプライムデーなので、Amazonはこの動画ツールで商品を見るユーザー向けの独占セールを強化した。2日間を通して多くのブランドがインスパイアに登場し、売上からコミッションを受け取るクリエイターを登場させた。そのなかには、クイップ(Quip)、オクソー(OXO)、エッシー(Essie)、オラプレックス(Olaplex)などが含まれる。
2日間のイベントを通じて、Amazonライブでは、アリー・ハンター氏やザ・フレンチ・グローといったさまざまなクリエイターやライフスタイルインフルエンサーがホストを務めるQVC形式の番組を24時間体制で配信した。これらのホストはダイソン(Dyson)やキッチンエイド(KitchenAid)などのガジェットから、クレストホワイトストリップス(Crest Whitestrips)やラネージュ(Laneige)などの美容品まで、自分たちのお気に入りのセール品を紹介した。プロフィテロ(Profitero)のデータによると、ラネージュのリップスリーピングマスク(Lip Sleeping Mask)がTikTokで人気なことと、30%の割引により、売上ランクが1万8100%も上昇した。
バザーボイス(Bazaarvoice)の最高マーケティング責任者を務めるザリナ・スタンフォード氏は、Amazonが今年動画に傾倒しているのは驚くにあたらないと語る。「買い物客はソーシャルメディアから買い物のインスピレーションを得るのが大好きだ」と、同氏は述べる。さらに、Amazonは、人々がTikTokで商品を見つけ、Amazonでその商品を購入するという、「TikTokで見たので買った」トレンドの大きな恩恵を受けている。
このショッピングイベントによって、Amazonの動画機能の人気も広がっている。バザーボイスの調査によると、回答者の22%はAmazonのライブストリーミング、またはブランドや小売業者のライブストリーミングで複数回の買い物をしたことがあると回答している。また、回答者の31%は、今年のライブストリーミングショッピングを試してみることに関心があると回答している。
浄水器ブランドのハイドロス(Hydros)にとって、初日の7月11日はAmazonで過去最高の日となった。同社は2021年に初めてプライムデーに参加し、2019年にAmazonで販売を始めた。同社は今年、30%割引をプロモートするため、マイクロインフルエンサーマーケティングとAmazon広告に投資した。また、有料広告への支出を前年より30%増やした。その結果、同社の売上は2022年のプライムデー初日より52%増加した。この広告支出の一部は、インフルエンサーの動画に割り当てられた。
インフルエンサー主導のコンテンツは、プライムデーの期間限定キャンペーン中にフォロワーに切迫感を与えるという点で、このような状況では特に寄与する。「当社はコンバージョンの数を知ることができないが、2023年のプライムデーにフォーカスしたTikTokの再生回数とエンゲージメント数だけを見ると、インフルエンサーやマイクロインフルエンサーがプライムデーに驚異的な量の買い物を促進していることは間違いない」と、スタンフォード氏は述べている。
買い物客を魅了し続ける日用品のセール
今年非常に目立ったトレンドがもうひとつある。プライムデーは数多くのカテゴリーにわたり、あらゆる種類のブランドが、割引を行ってプライムデーに参加しなければならないという圧力を感じていた。たとえば、食品、飲料、パーソナルケアなどの消費者向けパッケージ商品(CPG)は、過去数年間にプライムデーで成長してきたセグメントだ。
プロフィテロのデータによると、プライムデーの初日は、スターバックス(Starbucks)のパイクプレイス粉挽きコーヒーや、ドーンプラチナディッシュスプレー(Dawn Platinum Dish Spray)などの商品が、CPGでもっとも売れた。これらの商品の売上ランキングは、それぞれ14万4253%と3万8430%も急上昇した。
消化系保健医薬品のワンダーベリー(Wonderbelly)の共同創業者であるルーカス・クラフト氏は、プライムデーへの初参加は成功だったと語った。「ワンダーベリーはプライムデーに売上が急増した」と、同氏は米モダンリテールに語った。「初日だけで、平均的な火曜日の5倍の商品が売れ、午前9時と午後7時頃に売上がピークに達した」と、同氏は述べた。同社は制酸錠剤の商品ラインすべてで35%の割引を行った。
ストロベリーミルクシェイクは、ワンダーベリーでもっとも売れているフレーバーとして、Amazonで販売した4つのSKU(在庫管理単位)すべてで売上を伸ばした。「この大規模なセールで、々が電化製品や大型商品だけでなく、毎日頻繁に使用する商品も多く購入してくれたのはうれしい」と、同氏は述べている。
ワシュー氏は、多くの消費者が買い物を控えているなか、プライムデーのセールのアピール力は依然として強いと語る。「人々はより条件の良いセールを求めており、このイベントに関して膨大なマーケティングの労力が払われているなか、それを無視することはできない」と同氏は述べている。
[原文:Amazon Briefing: Key takeaways from Prime Day 2023]
Gabriela Barkho(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Amazon