スクリーンショットでの炎上を恐れるマーケターたち:「広告意図と真逆の結果に」

スクリーンショットに対するマーケターたちの恐怖はこれまでになく高まっている。

しかし、これはブランドたちにとって新しい現象ではない。リスクのある、賛否両論を呼ぶようなコンテンツの隣に自社ブランドが並んでいるところを画像として記録され、それが社会の怒りを呼ぶ。企業はこの現象をこれまでも恐れていた。

とはいえ、今日の慌ただしく激しいニュースサイクルにおいて、マーケターたちがスクリーンショットと相互に絡み合った業界を避けること、そしてそこから来る不安や恐怖を抑えることはますます難しくなっている。ブランドセーフティツールの成果も不明確なのと合わさり、マーケターたちには緊張が続く時代となっている。

広告主たちは現状、永久に続く、モグラ叩きに閉じ込められている形だ。各国がロックダウンを緩和させたことで、コロナウイルス関連のニュースに対する緊張は緩和されたが、それと同時に「Black Lives Matter(ブラック・ライブズ・マター)」運動に続いて報道された暴動や略奪関連のニュースコンテンツで、また緊張が高まった。

先端企業であっても、まだ道半ば

インテグラル・アド・サイエンス(Integral Ad Science)やダブルベリファイ(DoubleVerify)のセマンティックエンジンは、インターネットが膨大に提供する過激なコンテンツを簡単に排除する目的としている。これらの人工知能ツールは、広告主たちが特定のキーワードを用いた危険性のあるコンテンツだけでなく、危険性のないコンテンツまでブロックしてしまう、気の利かないキーワードターゲティングの代替案を広告主たちは探していたなか、コンテンツを分類することを目的として開発されたものだ。しかし、問題は依然として存在してることが示唆されている。

多くの広告主のように、クロックス(Crocs)はパンデミック関連の一連の深刻なニュースに対して当初、ダブルベリファイの技術を使ってコロナウイルス関連のキーワードをすべてブロックするという対応をとった。しかし、ダブルベリファイによるとその結果、彼らのキャンペーンはリーチが減少してしまった。別の言い方をすれば、彼らのアプローチは最初はコロナウイルス関連のコンテンツを幅広くブロックしたものであり、その後コンテンツターゲッティングの設定を調整したというわけだ。広告主たちが特定のネガティブな連想を持つ単語を使った記事を避けるダブルベリファイのセマンティック技術を持っていても、このような事態が起きたのだ。

クロックスのリーチがダメージを受けたという事実は、まだセマンティックエンジンが広告エコシステムにどのような影響を与えるか、アドベリフィケーション企業たちが理解を深めようと取り組んでいる最中であることを示している。

マーケターはより能動的な役割を

ブランドのプレイスメントを決定するプロセスで、マーケターたちがより能動的な役割を担うべきだ、と感じている業界人たちもいる。

「マーケターたちが自分たちのお金の使い方を他人に決めさせる時代が長く続きすぎた」と、アドフラウドに関する研究者でありコンサルタントであるオーガスティン・ファウ氏は言う。「彼らは自分たちでデータを見て、自分たちで必要な調査を行えるように学ぶ必要がある。ブランドセーフティとフラウド検知を他人に任せっきりにして、それで万事問題ないと考えることはできない。マーケターとして特に気にしていないようにすら見えるなかでは特にだ」。

現状の精度の低いブランドセーフティツールを取り除くべきかというと、その代償は高過ぎるうえに、深刻なニュースの大洪水が起きているなかで、取り除いたことのメリットがどのようなものになるか見えない。抗議運動に関連するニュースコンテンツのような、広告主たちのメッセージと一致する非常に重要なコンテンツを広告主たちはブロックしてしまっていると同時に、誤った情報を広めているサイトに広告が現れてしまっている。

アメリカン・グレートネス(American Greatness)やムーンバッテリー(Moonbattery)といったウェブサイトは人種差別に反対する抗議活動(6月1日から6月5日)について陰謀論を掲載していたが、グローバル・ディスインフォメーション・インデックス(Global Disinformation Index)によると、これらのサイトに広告が掲載された企業にはフォルクスワーゲン(Volkswagen)、サムスン(Samsung)、ユナイテッド・カラーズ・オブ・ベネトン(United Colors of Benetton)、そしてウェイフェア(Wayfair)などが含まれている。これらの企業は公に抗議運動に対する支持を表明しているのにも関わらず、だ。

「マーケターたちがブランドセーフティ問題を心配していることは明らかだ」と、グローバル・ディスインフォメーション・インデックスの最高技術責任者であるダニー・ロジャーズ氏は言う。「しかし、彼らが購入しているツールの性能は十分でなく、オープンWebに対する彼らの理解は限られている。そのため意図の真逆の結果が生まれてしまっている」。

より洗練されたキーワードブロック

広告が誤ったコンテンツと並んで配置されてしまい、それがスクリーンショットとして記録されシェアされると、何十万人ものオーディエンスにリーチされる可能性がある。そのためマーケターたちは、Black Lives Matterといった単語やその他関連用語をブロックする。広告が不適切な状況にターゲットされるリスクが低いときですら、公に企業が批判される可能性を避けるための唯一の対策だと考えているのだ。グループエム(GroupM)による最近の調査では、特定の関連用語と組み合わされた状況でキーワードが使われたときのみブロックするといった、より洗練されたキーワードブロックを使っている場合はマーケターたちの不安はほとんどないことが明らかになった。

「抗議運動が行われているあいだにおけるキーワード回避についての我々の分析によると、完全なブロッキングがされたキーワードのうち24%は『暴動』『略奪』『暴力』といった抗議運動に関連した単語だった。しかし、Black Lives Matterという表現をブロックしていたのは0.02%、6000インプレッションだけだった。ブロックしていた場合でも、『暴動』『略奪』『暴力』といった単語と組み合わされた場合であった」と、グループエムのブランドセーフティ部門グローバル・エグゼクティブ・バイスプレジデントのジョン・モンゴメリー氏は言う。つまり、広告主の害になるニュースサイト上のコンテンツは非常に少ないということだ。

ピュブリシス・グループ(Publicis Groupe)もまた、モンゴメリー氏の主張を後押しするような結果を確認している。

「我々が抱えるクライアントのなかで、もっとも大きい企業のひとつに調査を行ったところ、ニュースコンテンツの90%はブランドにとって安全だと分かった。深刻な報道記事のなかにも安全なものがあったのだ」と、先日行われた614グループ(614 Group)によるブランドセーフティサミット(Brand Safety Summit)で語ったのは、ピュブリシス・メディア(Publicis Media)のグローバル・アクティベーション・スタンダード部門エグゼクティブ・バイスプレジデントであるイェール・コーエン氏だ。「我々は残り10%がどこに存在しているのかを理解しようとしている。適切なコントロールを自分たちが握るためにアドベリフィケーションパートナーたちによるツールを使って、それを特定しているところだ」。

コントロールのあり方を再検討をすべき

それでも習慣の力は強く、マーケターたちはブランドセーフティ確保のための対策を慣習として使う状態が続いている。

「深刻な報道記事の隣に広告が表示されたとしても、ブランドが危機に陥ることを示す証拠はないと、私は述べた。むしろ、読者はこういった記事を長く読むことで、広告との時間も長くなり、ブランドの助けになることを示すデータも出ている」と、モンゴメリー氏は言った。

少なくとも、ブランドセーフティに対する対策が意図せぬ悪い結果を生んでしまっている以上、広告のコントロールがどのように行われるべきか広告主たちは再検討するべきだろう。

Seb Joseph(原文 / 訳:塚本 紺)