百貨店の コールズ (Kohl’s)が最近セフォラ(Sephora)と締結したパートナーシップは、すでにコールズに売上をもたらしている。CEOのミッシェル・ガス氏が第3四半期決算発表時に発表した声明によれば、セフォラのショップ・イン・ショップは、コールズがより若く多様な顧客を集めるためにすでに役立っている。
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百貨店のコールズ(Kohl’s)が最近セフォラ(Sephora)と締結したパートナーシップは、すでにコールズに売上をもたらしている。
コールズのCEOを務めるミッシェル・ガス氏が11月18日の第3四半期決算発表時に発表した声明によれば、セフォラの新しい拠点は、コールズがより若く多様な顧客を集めるためにすでに役立っている。8月に最初のショップ・イン・ショップ(店舗内ストア)を開設してから今日までに、コールズとセフォラは、約2500平方フィート(約232平方メートル)の広さのショップ・イン・ショップを200店舗開設した。両社は2023年までに最低850店舗をオープンする予定だ。
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新規顧客の獲得に貢献
第3四半期はセフォラのショップ・イン・ショップの展開と重なったが、コールズ内のセフォラを訪問した顧客のうちの25%以上は、コールズでの買い物がはじめてだったとガス氏は語る。セフォラとの提携は、ほかの商品への投資と相まって、コールズへの新規顧客の流入を促進している。そのおかげで、2020年にコロナウイルスによる操業停止で巨額の損失を出したコールズは、黒字化を果たすことができた。
2021年の第3四半期に、コールズの総収益は前年比で15.6%増加し、46億ドル(約5240億円)に達した。既存店売上高は2020年の同じ期間に比べて14.7%増加した。同社はこの四半期に黒字に転じ、純利益は2億4300万ドル(約277億円)と、昨年の1200万ドル(約13億7000万円)の損失から劇的な回復を見せた。同社はこの増益がアスレジャー商品のライン拡充など新商品の提供と、今年初頭に行われたセフォラのショップ・イン・ショップの展開の結果だとしている。
さらに、すでにセフォラが存在するコールズの店舗は、セフォラが存在しない店舗と比べて、「既存店売上高が数%(1桁台半ば)の増加」が見られている。ガス氏は次のように述べている。「来年、600を超える店舗を持つことになれば、数百万人もの顧客を呼び込めるだろう。実際にどれだけの人数になるかは想像もできない。セフォラとの提携はすでに大きな意義があり、今後はさらに大きくなっていくだろう」。
実際に、セフォラ・ハブなどの新しい取り組みや、2019年に導入したAmazon返品デスクは、同社が若い層の顧客に重視されるようになった原因といえる。
ロケーションインテリジェンスプロバイダであるグラビーアナリティクス(Gravy Analytics)のCEOを務めるジェフ・ホワイト氏は、セフォラが出店していることは、すでにコールズの顧客ロイヤルティ向上に役立っていると語る。グラビーアナリティクスの最近の消費者トレンドレポートによれば、2019年の第1四半期から第3四半期にかけてのさまざまな小売チェーンでの来店者の行動を今年の同時期と比較すると、コールズでは2019年と比較して、一度店舗を訪問してから30日以内に再度訪問する顧客の割合が5.5%増加した。
顧客のワンストップ・ショッピングを目指す
これらの改善は、コールズが幅広い商品構成によってワンストップ・ショッピングができる場所になろうと注力していることを示唆していると、ホワイト氏は語る。決算発表資料によれば、コールズはセフォラとのパートナーシップに加えて、顧客の現在のライフスタイルに的確に対応できるよう、アクティブウェアやカジュアルアパレルの在庫品目も増やしている。
コールズは今週、女優のリース・ウィザースプーン氏の保有するブランド、ドレイパージェームス(Draper James)との独占的な提携を2022年2月からはじめることも発表した。これはドレイパージェームスRSVP(Draper James RSVP)という名前で、ドレスやブレザーなど日常的な衣類を扱う。同社によれば、このブランドは同社のセフォラストアの「となり」や、コールズのウェブサイトで販売される。
美容品小売業者と最近パートナーシップを結んだ大手チェーン小売店はコールズだけではない。ターゲット(Target)は2020年11月、同社が最終的にアルタ(Ulta)のショップ・イン・ショップを800店開設することを計画し、今後1年間で100店舗の開設を計画していることを発表した。両社は2021年8月にこれらの店舗を開設し、ターゲットの顧客にアルタが直営店で販売している50以上のブランドの美容品、スキンケア、浴用製品を提供している。
実際、11月17日に行われた最新の決算発表においてターゲットは、昨年夏にアルタのショップ・イン・ショップを展開して以来、美容品や健康関連の商品が増加したと述べている。ターゲットによれば、美容品は前四半期において「10%台の前半から半ばまでのあいだの2ケタ台の成長」を見せた商品カテゴリのひとつだ。
この成功は最初のステップにすぎない
それでも、パンデミック後のコールズの回復において、この初期の成功は最初のステップにすぎないと、グローバルデータ(GlobalData)の小売アナリストであるニール・サンダース氏は語る。セフォラのショップ・イン・ショップの構築など最新の投資はコールズをよい方向に導いているが、同社は収益性を改善するために割引への依存を減らしていき、その利益を店舗の近代化に投資していく必要があるだろうと、同氏は語っている。
「幸い、コールズにはこのような変化を取り入れられるだけの余裕がある」とサンダース氏は述べている。
[原文:Sephora shop-in-shops are helping Kohl’s draw young, new customers]
Gabriela Barkho(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Sephora