巣ごもりでもノープロブレム: ポッドキャスト の広告売上、引き続き増加中

通勤の流れが遮断され、誰もが四六時中、Zoomでビデオ会議を行うようになっている。リスナーたちが番組を自身の日課に組み入れる新たな方法を求めるなか、ポッドキャストの消費もわずかながら打撃を受けている。

アナリティクス企業のチャータブル(Chartable)が3月に発表した調査結果によれば、ポッドキャストの3月25日のダウンロード件数は、2月26日のそれよりも10%減少していたという。

ただし、この数字は鵜呑みにしないほうがいいだろう。チャータブルは、ポッドトラック(Podtrac)をはじめとするポッドキャスティングアナリティクスサービスと同様に、オプトインのアナリティクスサービスだ。エンターコム(Entercom)やボックス・メディア(Vox Media)など、さまざまなポッドキャストネットワークは3月、聴取率の増加を報告している。

ビッグネームに需要あり

ポッドキャストのシンプルさと、それが持つオンデマンド体質が意味するのは、差し当たり、ポッドキャストの広告売上は増加し続けるということだ。ダイレクトレスポンスの広告主が出稿を休止・中止する一方で、多くのブランド広告主は自社のメッセージングに変更を加え、支出を続けることに不満の意を示していない。

このレジリエンス(弾性)が配信者にもたらす恩恵には、個々にばらつきが生じるだろう。ポッドキャストがデジタルメディアフォーマットとして洗練さを高め続けていることは確かだが、いまなお古き良き「スターパワー」がその広告費の行き先を決定づけている。

「私が関わっているほかのメディアでは、クライアントはターゲティングの強化を求めるようになっているようだ」と、エンターコムでデジタル広告売上部門のエグゼクティブバイスプレジデントを務めるケン・ラガナ氏は語る。 エンターコムの発表では、3月、同社のポッドキャストのリスナー数は2800万人に達したという。「ただし、ポッドキャストについていえば、我々に求められているのはビッグネーム、ビッグブランドだ」。

プラットフォームも好調

ここ数週間デジタルメディアを打ちのめしてきた、さまざまな中断やキャンセル、遅れに対する免疫がポッドキャストにあるわけではない。だが、同フォーマットにおけるブランド広告は健全さを維持している。ホスティング、マネタイゼーションのためのポッドキャストプラットフォームであるメガフォン(Megaphone)は、CBSインタラクティブ(CBS Interactive)やボックス・メディアをはじめとするさまざまなパブリッシャーに活用されている。メガフォンの最高売上責任者を務めるマット・ターク氏は、同社は3月、失った数の倍のビジネスを獲得したと話す。

メガフォンの第2四半期は当初の予想より「弱含み」になりそうな気配だが、売上は前年比で増加する見込みだという。また同氏は、メガフォンが今年の売上予想を達成できる見通しであるのは、強含みで1年のスタートを切れたことが大きいと話す。

「横ばいの推移などありえないという意味ではない」と、ターク氏はいう。「だが、そうはならないと、我々は思っている」。

D2C企業の出稿は減少

インタラクティブ広告協議会(IAB)によれば、2018年、ポッドキャスト広告費の約40%をブランド広告が占めており、さらに10%をブランデッドコンテンツが占めていたという。残りを占めていたのがダイレクトレスポンス広告で、ポッドキャストが登場して以来、その基盤となっていた。

しかし、新型コロナウイルスが世界のサプライチェーンを一変させ、世界経済を麻痺させるようになると、ダイレクトレスポンス広告主の多くは広告支出の休止・中止を余儀なくされるようになった。たとえば、デジタルリクルートツールのジップリクルーター(ZipRecruiter)は、雇用凍結を実施しているさまざまな企業への広告支出を休止している。また、ミールキット販売を手がけるブランド各社も、ポッドキャストへの広告支出を休止している。

「我々のケースでいえば、中止や変更の大半はダイレクトレスポンスクライアントによるものだ」と語るのは、スティッチャー(Stitcher)のCEO、エリック・ディーン氏だ。「とくに目立つのが、ベンチャーから資金提供を受けていて、資金の保全に走っているD2C(Direct-to-consumer)ブランドとの取引だ」。

ブランドは方向転換に成功

ブランド広告主も同じ問題に対処しているが、多くは自社のポッドキャストメッセージングをほかのデジタルフォーマットに可能なかぎり迅速に方向転換することに成功している。

「オーディオのほうが、はるかに変えるのが楽だ」と語るのは、クリエイティブオーディオエージェンシーのワーズワース・アンド・ブース(Wordsworth and Booth)で戦略部門のディレクターを務めるステファニー・ベラン・サンダーソン氏だ。ワーズワース・アンド・ブースは過去5週間で、クライアントのスポット数件に変更を加えてきた。

たしかに、パブリッシャーやエージェンシーにとっては、ブランデッドコンテンツや動画広告の制作は鈍化している。一方、ポッドキャスト広告を新たに制作するのに必要なツールやリソースは、制作者が家から出なくてもすでに利用できるものがほとんどだ。自社のメッセージングやポッドキャストキャンペーンのためのアセットを変更したいブランドは、数日ですべてをオーバーホールできると、ベラン・サンダーソン氏はいう。

この迅速な方向転換はブランデッドポッドキャストには適用されておらず、多くのブランドが、ある程度の普通の状態が日常生活に戻ってくるまでは、ブランデッドポッドキャストを控える構えを見せていると、ラガナ氏は話す。

アポイントメントリスニング

とはいえ、この正常感が戻ってくるまでは、忠実なオーディエンスを抱えるポッドキャストがこの難局を切り抜けていくはずだ。「ポッドキャストはアポイントメントリスニング(予定された聴取行動)だ」と、ディーン氏は述べた。

Max Willens (原文 / 訳:ガリレオ)