YouTubeのターゲティング広告は、キャンペーン内容にそぐわない配信面が表示されてしまう可能性を孕んでいることから、一部の広告主からは以前から懸念の声が挙がっていた。2021年4月23日より国内で展開されている米国発のソリューション、ZEFR(ゼファー)は、そうした声に対する処方箋となり得る。
いまや、メディアプランニングには欠かせない存在となったYouTube。しかし、そのターゲティング広告は、キャンペーン内容にそぐわない配信面が表示されてしまう可能性を孕んでいることから、一部の広告主からは以前から懸念の声が挙がっていた。
レゴリス(Legoliss)とその親会社である三井物産が、2021年4月23日より国内での展開を開始した米国発のソリューション、ZEFR(ゼファー)は、そうした声に対する処方箋となり得る。同ソリューションは、YouTube上の膨大な数の動画コンテンツを取得・分析し、その結果をもとに、広告と関連度の高いプレミアム在庫に配信を行う、コンテキストターゲティングを強みとしている。広告主はZEFRを活用することで、安全なコンテンツに対しマッチした広告を掲載できる。また、コンテキストターゲティングは、サードパーティCookieやIDFA(Identifier for Advertisers)といった広告識別子を必要としないため、昨今のプライバシー重視の潮流にも対応している。
「動画広告市場は拡大し続けているが、同時にプライバシー重視の潮流など、さまざまな変化も起きている。そこで我々が目を付けたのがZEFRだ」。同ソリューションの提供開始に先立ち、2021年4月22日に開催されたオンライン発表会で、ZEFRの日本展開を担うレゴリスの取締役/プロダクトソリューション事業部管掌 中嶋賢氏はこう述べる。
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独自のプレミアム在庫を確保
YouTubeに日々更新される動画は膨大だ。中嶋氏によると、ZEFRは人によるレビューとAIの両方を活用することで、分析の質と量を担保している。また、ZEFRはYouTube Measurement Partnerとして認定されており、その信頼性はお墨付きだ。「YouTubeの膨大なコンテンツにアクセスし分析までできるのは、公式パートナーだからこその特権だ」。
なお、ZEFRが実際にレビューするポイントには、動画の内容自体はもちろん、動画の長さやタイトル、加えて評価の数なども含まれるのだという。ZEFRはこうしてスクリーニングされたコンテンツを、独自のプレミアム在庫として確保。広告主はそのなかから、親和性の高いカテゴリーを選択したり、逆に親和性の低いものを除外することもできるという。
「たとえばアルコール飲料のキャンペーンであれば、食事をしている風景を撮影した動画が好ましいだろう。そうしたコントロールを、コンセプトベースで行える」。
適切な配信面への掲出を実現
現在、YouTube広告活用の主流であるオーディエンスベースのターゲティングの場合、ターゲットにリーチできてもゲームや子供向け、音楽といったジャンルのコンテンツが配信面として表示されてしまうケースがある。中嶋氏によると、こうしたコンテンツに表示された広告は「ながら視聴」されることが多く、効果に繋がりにくいという。しかしZEFRを活用すれば、特定の配信先を除外できるため、広告効果の向上やコスト削減が期待できるのだ。
三井物産のICT事業本部 デジタルマーケティング事業部 チームリーダーを務める杉山悠介氏によると、ZEFRのリリース前に実施されたトライアルでは、CTRやCVR、CPA、ブランドリフトといった、デジタル動画広告における主要な指標のほとんどで改善が見られたという。「この結果は、我々としてもZEFRとのパートナーシップを決断するうえで、大きな要素となった」。
さらにZEFRでは配信面のコントロールが可能なため、ブランドセーフティの担保にも貢献できるという。「もちろん、Googleも厳しいレギュレーションを課しており、好ましくない動画はそもそも投稿できなかったり、投稿できても削除の対象になる。ただZEFRを採用すれば、その安全性をさらに高められる」。

ZEFRの国内トライアルの結果
プライバシー重視の潮流にも対応
ZEFRは、昨今強まっているプライバシー重視の潮流にも対応している。というのも、ZEFRが採用するコンテキストターゲティングは、サードパーティCookieやIDFAといった広告識別子を必要としない。そのため、「プライバシーに配慮したマーケティング活動を後押しできる」と、中嶋氏は述べる。
今後プライバシー重視の傾向がさらに強まり、広告識別子を巡る新たな制度変更や、プラットフォーマーによる仕様変更が行われる可能性もゼロではない。ZEFRならその影響を受けにくいだろうというのが同氏の主張だ。
「昨今、プライバシー周りの規制が強まっているのは周知の通りだ。日本においてはまだ限定的ではあるものの、広告主や代理店はこうしたトレンドに配慮していく必要がある」。
ZEFRの更なる詳細、およびトライアルの内容について知りたい方は、5月20日(木)開催のウェビナー「Youtube動画広告ソリューション『ZEFR(ゼファー)』が解決する課題とは」をチェックして欲しい
Written by 村上莞
Photo by Legoliss