「仕事以外にすることがないまま、閉じ込められている」: #STAYHOME で心身管理に悩むコピーライターの告白

何百万人もの人々が家に閉じ込められ、広告を含むあらゆる業界で在宅勤務が進むなか、働き過ぎとバーンアウトの危険が拡大している。高まる不安のただなかで、孤独な仕事環境に適応するのは容易でない。

匿名を条件に本音を語ってもらうDIGIDAYの「告白」シリーズ。本稿では、あるコピーライターに、新型コロナウイルスの感染拡大による仕事への影響、ワークライフバランスの難しさ、過労に対する不安について語ってもらった。

インタビューの内容は、読みやすさを考慮して若干の編集を加えている。

──在宅勤務以外に、コロナ危機が仕事に与える影響は?

あらゆることに影響が及んでいる。コロナに触れない電子メールなど皆無だ。言葉にこそしないが、仕事以外に何もすることがないまま、家の中に閉じ込められていると、誰もが感じている。移行期特有の症状なのかもしれないが、いつもより自分の意思で動いている気がしない。まるでコンピュータに鎖でつながれている気分だ。

──そのせいで、同僚や上司との間に境界線を定めるのが難しい?

そういうことだ。自分のパートナーとの距離感さえ保ちにくい。仕事のコミュニケーションにはMicrosoft Teams(マイクロソフトティームズ:グループチャットソフトウェア)を利用している。Googleドキュメントで文書を共有し、あとで議論するかわりに、思いついたことを思いついたときにTeamsを通じて送信する。これでは常時待機のようなものだ。問題は、どう線を引くかということ。今週は、もう少しメリハリをつけたいと考えており、サインオフする時間を決めて、その時間が来たら「もう仕事の話はしません」と告げるようにしている。

──仕事そのものは変化したか?

在宅勤務の環境としては恵まれている方だと思うが、それですべてが丸く収まるわけではない。仕事に集中するのは不可能に等しい。しかも、ブリーフの内容はすべて新型コロナウイルス関連だ。常にコロナが頭から離れない。今週は、コンセプトを考える仕事に取り組んだのだが、これが信じられないほど大変だった。メンタルの問題かもしれないし、孤立した環境のせいかもしれない。

──勤務時間は? いつもより長時間か?

いつもより長時間だ。最初の週はほんとうに常軌を逸していた。すべての作業をいったんストップする必要があったのだが、一方で、今後の見通しは一切立たない。すでに動いている案件をどうすべきか、何時間も議論した。昨晩も、夜の10時まで働きつづけた。ニューヨーク市にエージェンシー勤務の知人がいるのだが、あちらも尋常ではない状況のようだ。ブランドのコロナ対応は、スーパーボウル級の気の使いようだという。

──ブランドが新型コロナウイルスに関して何をどう語るべきかについて考える一方、このウイルスがあなた自身の生活にもたらす混乱にも対処しなければならない。精神面への影響は?

気持ちの落ち込みや不安があれば、同僚たちに正直に打ち明ける。心の支えになる。だが、ライターなのに「書けない」という問題は非常に悩ましい。世の中がジョークという気分ではないときに、消費財メーカー向けのジョークなど、どうやって書いたらいいのだろう。体調管理には気をつけているつもりだが、酒の量は確実に増えている。

──クライアントとのやりとりは? いつもと違うところはあるか?

正直なところ、いつもより人間味を感じる。きれいごとを言うつもりはないが、誰もが運命共同体という認識がある。子どもたちが親の膝に乗りたがるのはどこも同じだし、私の書斎には面妖なアートが飾られている。そういうことに関して、皆、いつもよりも理解がある。どの電話も、どの電子メールも、こんな言葉ではじまる。「元気でがんばってるかい?」。

──制作作業ができない状況で、仕事はどう変わったか?

皆、コンセプト作りに苦労している。アニメーションを使ったりもしている。ストック素材や既存の映像で何ができるか、あれこれ創意工夫を試みている。とにかく、スタッフを外に出さずにできることを何でもやっている。

──あなたの仕事にも支障がある?

確実にある。たとえば、どこからどう見てもライフスタイル系のブランドなのに、突然、アニメーションを使ってみようかという話になる。ブランドの方向性とはまったく合わず、クライアントは二の足を踏む。我々としては、「これが現実です、新境地を開くチャンスだと考えましょう」とでも言うしかない。

──疲労困憊、いわゆるバーンアウトの心配は?

もちろん心配している。いつ終息するのか見通せないところがほんとうにつらい。それと、いつも以上とは言わないまでも、いつも通りのパフォーマンスを要求されるのもきつい。たいへんなプレッシャーだ。逃げ場がない。もちろん、自己管理と健康管理の大切さは分かっている。身体を壊すわけにはいかない。仕事とは別の不安だ。不安の種は尽きない。

たかが広告ということを忘れてはいけない。この業界の人間は、自分たちはすごいことをしている、と思いがちだ。確かに、我々にはとてもすごいことができる。だが、それも理に適ってこその話だ。そのことを忘れてはいけない。もちろん、多くの人が失業しているこの状況で、仕事があるだけでもありがたいとは思う。

KRISTINA MONLLOS(原文 / 訳:英じゅんこ)