Facebookは、現在のサードパーティクッキーのシステムを拡張するものとして、Facebookピクセル(Pixel)のファーストパーティクッキーを発表しました。今回の一問一答シリーズでは、Facebookピクセルのファーストパーティクッキーについて、マーケターが押さえておくべきポイントを取り上げます。
データプライバシーへの政府の規制とトラッキングに対するブラウザによる制約が強まっていますが、Facebookも広告システムにどうしても必要なものを失うわけにはいけません。
Facebookは、現在のサードパーティクッキーのシステムを拡張するものとして、Facebookピクセル(Pixel)のファーストパーティクッキーを発表しました。これにより、広告主は今後もほかのサイトにおけるユーザー活動のトラッキングを実施し、Facebook広告でリターゲティングできるようになります。
今回の一問一答シリーズでは、Facebookピクセルのファーストパーティクッキーについて、マーケターが押さえておくべきポイントを取り上げます。
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――こういうことになっている理由は?
その前に、クッキーの基本的なところからはじめましょう。ファーストパーティクッキーでは、ユーザーが実際にいるサイトがコードを作成します。同じサイトにサードパーティクッキーがある場合、こちらは別の主体が作成しています。Facebookピクセルがサイトにあれば、Facebookはユーザーの閲覧活動にサードパーティクッキーを追加できます。
Facebookがファーストパーティクッキーを立ち上げたというのは、ファーストパーティの関係を構築しているサイトに限り、Facebookにデータを渡すクッキーをFacebookが作成するようになるということです。AppleのSafari(サファリ)やMozilla(モジラ)のFirefox(ファイヤーフォックス)などのウェブブラウザやアドブロックが、サードパーティクッキーによるトラッキングを阻止していることから生じてきた変化です。
――要するに、デジタル広告におけるデータ利用に対する弾圧の回避策というわけですか?
まあ、そんなところでしょうね。
デジタルエージェンシーのカルダー・ ベイトマン(Calder Bateman)でデジタルストラテジストを務めるクリス・ミクーリン氏は、こう語ってくれました。「AppleとFirefoxが最近、クッキーのドメインがホスティングしているサイトのドメインと一致しないサードパーティクッキーをブロックしていくと発表し、これを受けて、Facebookが対抗するためにブロックがされないファーストパーティクッキーを出してきた。マーケターにとっては大勝利であり、迅速な展開だ」。
また、ミクーリン氏によると、この措置は欧州の「一般データ保護規則」(General Data Protection Regulations:以下、GDPR)に似た米国の規則に先手を打つものになるかもしれないということです。
――Facebookは、どのように説明しているのでしょうか?
Facebookの広報担当者、ジョー・オズボーン氏は、メールで次のように説明してくれました。「企業が引き続き、どのブラウザに関してもサイトでの活動と広告のアトリビューションを把握していけるよう、Facebookピクセルでファーストパーティクッキーのオプションを提供していく。この変更は、ほかのオンラインプラットフォームが実施している更新と歩調を合わせたもので、ファーストパーティクッキーの広告と分析への利用は、一部ブラウザでは好ましいアプローチだとされるようになっている。広告に対するユーザーのコントロールに変化はない」。
――広告主は何をする必要がありますか?
ファーストパーティクッキーは10月24日に稼働します。この日までに、またこの日以降に、広告主はアカウントにログインしてFacebookの「Events Manager」にいけば、ピクセルのファーストパーティクッキーとサードパーティクッキーをどうするのかを選択できます。「Pixel and Cookie Settings」(ピクセルとクッキーの設定)で、ファーストパーティクッキーをオフにすることを選択できます。新しいクッキーはすべて、広告主がオプトアウトしない限り、自動的にファーストパーティクッキーが入ることになっています。
――マーケターには、ファーストパーティクッキーとサードパーティクッキーが必要なのですか?
もっとも完備したデータが欲しいのなら、大半の広告主への答えはイエスです。
4Cインサイツ(4C Insights)の最高マーケティング責任者であるアーロン・ゴールドマン氏は、「一般的な話をすると、マーケターは万全を期すため、また、サードパーティクッキーのブロックによる混乱を小さくするため、ファーストパーティクッキーの採用を望むだろう」と語っています。
Facebookにおいて、ピクセルから受け取るデータに基づいたカスタムオーディエンスの作成を続けたいし、また、ダイナミック広告の最適化もよくしたいという広告主は、両方のクッキーを採用するべきです。そうしないと、SafariユーザーやGDPRで保護されたユーザーからのデータなしでやっていくことが必要になります。
カルダー・ ベイトマンのミクーリン氏は、「特に、モバイルからの訪問の半分以上が、アプリ内のSafariからというようなところで、すでに広告実施している場合には、(そうしなければ)データを逃していくことになる」と語っています。
Facebookもブログ投稿で、「ファーストパーティクッキーとサードパーティクッキーの両方を使うことで、Facebookでより多くの顧客にリーチでき、測定とレポートの精度が上がる」と書いています。
――ファーストパーティクッキーをオプトアウトするとしたら、どんな理由が考えられますか?
Facebookは、ファーストパーティのピクセルでオプトアウトのアプローチをとっており、マーケティングするうえでデータ制限が非常に厳しい業界の場合には、オプトアウトを選択する必要があるでしょう。医療業界や金融業界はそうなのかもしれません。
4Cインサイツのゴールドマン氏は、「この種のデータ共有が問題になるような規制が厳しい業界のブランドは、例外になるかもしれない」と語りました。
ヴェイナーメディア(VaynerMedia)のペイドメディア担当VP、リジー・チャップマン氏は、ブランドの過半数はすでにGoogleやマイクロソフト(Microsoft)と、プラットフォームのファーストパーティクッキーを使っていると語ります。
「ユーザーのプライバシーの尊重に懸念があるかもしれないが、ユーザーがファーストパーティクッキーをブロックできるのは変わりない。Facebookの参入は警戒を呼ぶものではないはずだ。ヘルスケアのようなセンシティブな情報を集めていないブランドは、Facebookのファーストパーティクッキーを採用するべき」と、チャップマン氏は話しています。
Kerry Flynn (原文 / 訳:ガリレオ)