インスタグラム新しいグループ、「ポッド(pod)」が流行の兆しをみせています。4月中旬にはマッシャブル(Mashable)がポッドへの参加がいかに大変かを書いたことも、盛り上がりに一役買っています。今回の「一問一答」シリーズでは、ポッドとは何か、また、それがブランドにとってどんな意味があるのかを解き明かします。
インスタグラム新しいグループ、「ポッド(pods)」が流行の兆しをみせています。
特に、この数週間、ポッドの話題がバズっていました。4月中旬には、ニュースメディア「マッシャブル(Mashable)」がポッドへの参加がいかに大変かを書いたことも、盛り上がりに一役買っています。
そこで今回の「一問一答」シリーズでは、ポッドとはどんなものか、また、それがブランドにとってどんな意味があるのかを解き明かします。
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――ポッドとは何ですか?
ポッドの本質は、10人から15人程度のインスタグラムユーザー(インスタグラマー)が自主的に組織したグループです。立ち上げる主体は、企業、ブランド、インフルエンサー、一般ユーザーなど。とはいえ、その多くはインフルエンサーによって作られています。
ポッドの基本ルールは、メンバーの投稿に対し、グループの全員がエンゲージメント向上に協力するというものです。メンバーはインスタグラムに投稿すると、非公開のダイレクトメッセージでポッドに投稿を共有します。これを受けて、ポッドのメンバー全員が投稿に「いいね!」をしたり、コメントをつけたりします。
細かい約束事もたくさんあります。そのひとつに「コメントは4ワード以上で書く」というものもあって、ボット(bot)による短い書き込みと混同されないようにするためです。
このプロセスは、グループのメンバーが投稿するたびに繰り返されます。ポッドに対して通知機能をオンに設定し、ほかのメンバーの投稿がわかるようにしておくことも必要です。写真家でインスタグラムのインフルエンサーでもあるナタリー・フランク氏は、こうたとえます。「ポッドは本質的に、一緒に仲良く暮らし、互いを支え合うイルカの家族のようなもの(イルカは通常、ポッド[pods]と呼ばれる、最大12頭程度の群で行動する ※Wiki参照)」。
――それはステキですね。
ええ、本当に。フランク氏はポッドの流行について書いていて、ポッドがオンラインマーケティングを変えつつあると捉えているようです。ポッドが及ぼす力は、マーケティングだけにとどまりません。ポッドのグループは、Facebookで「ブーストグループ(boost group)」と呼ばれるものに似ています。ブーストグループとは、エンゲージメントを向上させるためにメンバー同士がリンクを投稿する場所です。
ポッドはあらゆるものを対象に作られます。たとえば、ベル・ブリタ氏の「ブリタ・マリー・ロング(Brita Marie Long)」はピンク色をテーマにしていて、メンバーはピンクにまつわることをあれこれ投稿しています。特定の美容コンテンツやファッションコンテンツを扱うポッドもあれば、室内装飾、フィットネスについてのポッドもあります。
Since I've been attacked for just liking back on IG, it's an appropriate time to start a IG pod. Anyone want to join? 100% SUPPORTIVE GROUP!
— holly ? (@thekittyluxe) 2017年4月17日
インスタが好きという理由で攻撃されたから、いまこそインスタのポッドをはじめるチャンス。誰か一緒にやらない? 100%支え合うグループよ!
――面白いですね。でも、どうしてポッドが台頭してきたのでしょう?
理由はいくつかあります。1年ほど前にインスタグラムが導入したアルゴリズムは、インスタグラムのスターたちとブランド、両方に大きな打撃を与えました。アルゴリズムが決めるのは、ユーザーがフィードで目にするもの。具体的には、投稿者とユーザーの関係、タイムリーさ、写真がユーザーの興味をひくレベルなどです。したがって、エンゲージメントやコメント(特にユーザーから信頼される人によるもの)が多い投稿ほど、当然有利になります。つまり、そんなインスタグラムにハックで対抗するという気運が、ポッドの本質にあるのです。
インフルエンサーと手を組むブランドは、インフルエンサーマーケティング費用が上昇するなかで、さらに確かな成功の証拠を求める傾向が強まっています。ブランドマーケターたちも、10万人程度のフォロワーを抱えるマイクロインフルエンサーを活用し、メッセージの拡散を推進。同時に、コメントスパムやエンゲージメント水増しの取り締まりを一層強化しています。こうした状況で、ポッドはインフルエンサーがその存在感を示すのに役立っているのです。
ブランドにとっては、望ましくない面もあります。ポッドはある意味、結果をゆがめるもの。インフルエンサーの投稿にコメントしているユーザーは、必ずしも潜在的な顧客ではなく、単なる別のインフルエンサーかもしれません。インフルエンサーマーケティングエージェンシーのストラテジスト、ジュリアン・クローニン氏も同様の懸念を示しています。「同僚と私が日々話し合っていること。それは、数字を水増しするブロガーたちがいかに事態を混乱させ、リアルなものとそうでないものを見分けにくくしているかについてです。率直に言って、そうした行為はほめられたものではありません。どの部分をとっても、悪いことばかりです」。
――ポッドはインスタグラムから認められているのでしょうか?
その点ははっきりしません。インスタグラムは、ユーザーたちの手作りで草の根的に広がったこうしたエンゲージメント向上術に対し、明白に禁止しているわけではありません。とはいえ、厳密には、インスタグラムというプラットフォームで守るべきマナーに反しています。本質的にはハッキング行為だからです。
もっと寛大に見るなら、ポッドは、「エンゲージメントの数字稼ぎだけをめざすのではなく、質の高いコンテンツを投稿していこう」という姿勢に役立つものだと言えます。インフルエンサー企業のハッシュオフ(Hashoff)が最近発表したレポートによると、インスタグラムは、インフルエンサーとブランドの両方にとってプラットフォーム第1位の座を維持。マーケターたちも品質にますます敏感になっているようです。「いまの時代、フォロワー数は関係ない。フォロワーや『いいね!』は買えるから」と、インフルエンサーのアリシア・マリー氏(@AlishaMarie)はレポートのなかでコメントしています。「コンテンツこそが、何より尊重されるべきよ」。
Shareen Pathak(原文 / 訳:ガリレオ)