ルルレモン(Lululemon)やアンダーアーマー(Under Armour)など、アクティブウェアブランドにとってパンデミックは在宅勤務で快適な服が求められ、ビジネスチャンスだった。しかし、職場や対面イベントが再開しはじめ、以前の世界が戻りつつある。この「ノーマル」への復帰にどう対処しているのだろうか。
アクティブウェアブランドにとってパンデミックはビジネスチャンスだった。在宅勤務で快適な服が求められたからだ。ルルレモン(Lululemon)の2021年第1四半期の売上は88%増加、アンダーアーマー(Under Armour)の2020年の売り上げは前年比で35%増加した。
しかし、職場や対面イベントが再開しはじめ、以前の世界が戻りつつある現在、アクティブウェアブランドはこの「ノーマル」への復帰にどう対処しているのだろうか。
ハイブリッドウェアが人気急上昇
D2Cのアクティブウェアブランド、ローン(Rhone)の共同創設者兼クリエイティブディレクターであるベン・チェケッツ氏の意見はこうだ。これまではパンデミック中に人々が望むようになった快適さを多目的な製品で提供することが重要だったが、この流れに乗って、これからは職場にふさわしいスタイルで同じ快適性を提供することが鍵になる。
Advertisement
チェケッツ氏によると、ローンはチノパンツやドレスシャツなどの通勤向けラインにいっそう重点を置いているが、それらの製品はスウェットパンツと同じパフォーマンス素材で作られているという。バンドカラーのポロシャツや新しいスタイルのパンツなどの新製品によって、「ライフスタイルとラウンジウェアの境界線が曖昧になってきた」という。ワクチン接種の開始以来、同ブランドの通勤ラインの売り上げは31%増加した。
ライフスタイル製品は過去6カ月でローンの売り上げの60%を占めるまでに成長し、アクティブウェアのそれを上回った。2020年の年間総売り上げは50%アップ。オンラインストアでは、ハイブリッド服のためにワークレジャー(Workleisure)カテゴリーが新しく設けられた。
「在宅勤務中にスウェットパンツを愛用していた人は、できるだけスウェットパンツに近いスラックスを買うだろう」とチェケッツ氏。
レディースも快適性を重要視
米国綿業界の非営利団体であるコットンインコーポレーテッド(Cotton Incorporated)が3月に行った調査によると、購入の際に快適性を重視するという消費者は、2020年の63%から2021年には74%に増加している。オンラインパーソナルスタイリングサービスのスティッチフィックス(Stitch Fix)の7月上旬の報告では、快適性が高くかつ職場に向いているジャンプスーツやロンパースのような服の検索が60%増加した一方で、レギンスやラウンジウェアは60%の減少となっている。
アクティブウェアブランドのブオリ(Vuori)のプロダクトデザイン担当バイスプレジデントであるサラ・カールソン氏は、アクティブスタイル以外の製品が2021年には総売上高の50%を占めるまでに成長したのを目撃している。
カールソン氏は昨年の売り上げ増加についての詳細は語らなかったが、特に女性向けビジネスウェアの成長は急激だと述べた。ブオリはノーマルへの復帰動向を重視しており、8月に発売予定の新スタイルもハイブリッドに分類されるそうだ。
カールソン氏は、スタイリッシュだが快適さには欠けるスーツのようなアイテムついて、「再び『堅苦しい服』が選ばれるようになるのか疑問だったので、徹底的にリサーチした」という。「アメリカ人の大部分はワードローブを買い換えると言っているが、快適性は変わらず重要なので、ハイブリッド製品の人気が高まっているのは当然だろう」。
日常着とアクティブウェアの境界が曖昧に
アクティブウェアから多面展開しているブランドの1つにアディダス(Adidas)がある。同社は6月、下着とランジェリーへのグローバル展開を発表。スポーツブラのような定番アイテムではなく、コットン製の典型的な下着やブラだ。同社の新しい下着ラインを製造しているデルタ(Delta)のブランド部門担当プレジデントのビクトリア・バンダグリフ氏は、このラインはアクティブウェアを意図したものではないと強調する。
バンダグリフ氏いわく、「これは普通の下着のコレクションだ。テクニカル素材を使っており、当社はスポーツブランドだが、日常使いの普通のブラのように見せることにフォーカスしている」。
このようなアクティブウェアと日常着の融合は双方向から起こっている。アクティブウェアブランドは職場向けスタイルに注力する一方、通常のファッションブランドもアクティブラインを立ち上げている。ユニセックスウェアブランドのテルファー(Telfar)は9月にスポーツラインをローンチ予定。アクティブウェアのパンガイア(Pangaia)は6月末にジムラインを立ち上げた。
[原文:With office life coming back, activewear brands are pivoting to ‘workleisure’]
DANNY PARISI(翻訳:ぬえよしこ、編集:小玉明依)