米 ユニクロ 、 D2C 的なサンプリングキャンペーンを実施:ターゲット設定に疑問の声も

米国のユニクロ(UNIQLO)が行う最新のプロモーションは、小規模な小売業者からヒントを得たようだ。

日本のファストファッション小売業者であるユニクロが10月初旬、10万人の顧客にヒートテック製品の無料「サンプル」を提供する計画を明らかにした。具体的には、期間中に同社のアプリをダウンロードすると、オンラインストアや店舗でサンプル製品と交換できるクーポンを取得できる仕組みだ。

D2Cのキャンペーンと類似

このプログラムは、無料サンプルを配布するという美容業界で非常に好まれる手法と、認知度の向上とフィードバックの獲得を目的に一部の顧客に特定の製品を提供するというD2C(Direct to consumer:直販)ブランド(Amazon出店企業を含む)の戦略を組み合わせた、ハイブリッドな試みのように見える。だが、ユニクロのキャンペーンは、そのどちらともやや異なる点がある。そのひとつは、10万人というめったにない規模の顧客が対象になっているということ。もうひとつは、すでに発売している製品がサンプルとして提供されるらしいことだ。

今回のプレゼントキャンペーンは、小規模なD2Cブランドが最近行っているプロモーションと似た面がある。たとえば、エイトスリープ(Eight Sleep)とグラビティプロダクツ(Gravity Products)は複数のホリデーセールで提携し、一部の顧客に寝具製品を提供するキャンペーンを展開したと、米DIGIDAYの姉妹メディアであるモダン・リテール(Modern Retail)は9月5日(米国時間)に報じている。彼らのような小規模企業にとって、このようなプレゼントキャンペーンは、互いの企業のデータを活用して認知度を高めるための手段なのだ。

Amazonも、一部の提携ブランド向けに独自のプレゼントキャンペーンプログラムを用意している。対象のブランドは、eコマースの巨人であるAmazonのデータを活用して、顧客になってくれる可能性がある人に無料で製品を送ることができる。AXIOS(アクシオス)が1月8日付けの記事で報じたように、このプログラムは、Amazonが自社のターゲティング能力をアピールするための新たな手段として提供され、ブランドが認知度を高めるために利用できた。

ターゲットは誰なのか?

ユニクロの新たなプロモーションは、認知度を高めると同時に顧客を増やすための手段として行われるようだ。だが、ジェーン・ハリ&アソシエイツ(Jane Hali & Associates)のリサーチアナリスト、ジェシカ・ラミレス氏は、「適切な人がターゲットになっているのだろうか」と疑問を呈する。「衣料製品を10万人に無料で配布するようなプロモーションなら、新規の顧客に焦点を合わせるのがベストではないだろうか」と、同氏は語った。

「これは単なるマーケティング策のように思える」というのは、小売コンサルティング企業ルーズ・スレッド(Loose Threads)の創業者兼主席アナリストであるリッチー・シーゲル氏だ。その理由のひとつは、ユニクロは非常に規模が大きいため、無料で製品を配ることが顧客のフィードバックを得るもっともすばやい手段にはなるとは限らないからだ。「リアルタイムでフィードバックを得ることに関して、彼らは問題を抱えていない」と、シーゲル氏は話す。また、無料提供される製品はすべて、ウェブサイトですでに販売されているものだ。したがって、このプロモーションはある種の希少性を生み出そうとする試みではない。「どちらかといえば、従来型の懸賞キャンペーンに近い」と、シーゲル氏は指摘した。

今回の取り組みは、ユニクロにとってきわめて重要な時期に行われことになる。同社の親会社であるファーストリテイリング(Fast Retailing)は、最新の決算報告書で、2019年8月期の世界全体の売上額がおよそ158億ドル(約1.7兆円)であることを明らかにした。全体としては売上は増加したものの、米国のユニクロは依然として営業損失を計上している。前年に比べれば損失は減っているとはいえ、米国全体の売上は、この春の予想を下回っていた。ユニクロは世界各地で人気があるが、米国ではまだ波に乗り切れていない。

新たな試みとなる可能性

アパレル業界の大手小売業者が、サブスクリプションサービスやレンタルサービス以外で、このような形のプロモーションに力を入れることはこれまでなかった。今回の取り組みは、そうしたモデルを採用する新たな試みとなる可能性がある。

来店客を増やすことができれば、このプロモーションは成功といえるだろう。しかし、ラミレス氏が指摘したように、そうなることはまずなさそうだ。「本当に未開拓の市場にリーチすることになっているだろうか」と、ラミレス氏は疑問を呈した。

Cale Guthrie Weissman(原文 / 訳:ガリレオ)