ターゲット「新PB」が示す、グローサリー戦略シフトとは?:ハイクオリティ路線の狙い

米小売大手ターゲット(Taget)は、グローサリー分野をさらに強化するべく、低価格ではなく、差異化に焦点を合わせる新インハウスブランドを立ち上げる。

その新ブランド、グッド&ギャザー(Good & Gather)はターゲットの高級食料品に冠されることになる。同社はこのブランド名のもと、2000以上の商品の売り出しを計画しており、プレスリリースによれば、その種類は「乳製品や農作物から、調理済みパスタや肉加工品、グラノーラバーや炭酸水まで」多岐にわたる。これはターゲットの基軸的なインハウス食料品ブランドになりそうだ。同社はアーチャー・ファームズ(Archer Farms)やシンプリー・バランスト(Simply Balanced)といった既存ブランドの段階的な廃止をすでに発表しており、同じく旧ブランド、マーケット・パントリー(Market Pantry)の規模縮小も計画している。

もっとも、プライベートブランディングはターゲットにとって何も新しいことではない。同社はすでに衣料品から日用品に至るまで、さまざまな商品をインハウスブランド名で販売している。この戦略は実際、中間マージンを節約するための常套手段だった。ノーブランド品を仕入れて自社ブランド品として販売することは、価格を抑えるための方策として、大手小売業者に古くから利用されている。ターゲットのプライベートグローサリーブランド戦略も、これまでは基本的にこの定石に従ったものだった。つまり、彼らもまた、自社ブランド名を使い、商品をより低価格で提供するという、大半の同業他社と同様のことをしていた。

市場のニッチを見出す

そんなターゲットにとって、グッド&ギャザーは重要な革新になると指摘するのは、プライベートブランドコンサルタントで、マイ・プライベート・ブランド(My Private Brand)の発行人クリストファー・ダーハム氏だ。「彼らはつまり、『いままでとは違う、ターゲットらしさを押し出せる新たな方法を探そう』と宣言している」。

これらの新商品については、商品そのものにフォーカスし、価格は必ずしも重要視しない――いずれも「厳しい品質検査と試食を経た」ものであり、「アボカドトーストサラダセットやビーツフムスなど、トレンドを取り入れた新商品から、牛乳や卵、チーズといった日々の食卓に欠かせない定番食材」まで幅広く取り揃えると、ターゲットは公言している。

この新戦略には、2本の柱がある。1本は、万全とは言い難いグローサリー部門のてこ入れだ。グローサリーは同社事業の少なくない部分を占めているが、売上成長率については、少々苦戦している。一方、ウォルマート(Walmart)といった競合他社は(さらにはAmazonまでもが)業界での勢力をますます増している。グッド&ギャザーの立ち上げは、グローサリー小売業者としての認知度向上を目指す試みにほかならない。

もう1本の、そしてより重要な柱は、ターゲットおよび同社の食料・飲料品のイメージアップと思われる。マーケティングリサーチ企業カンター(Kantar)のグローサリー部門VP、トリー・ガンデラック氏によれば、同社の他部門はすでに、よく吟味されたブランドおよび商品を取り揃え、他店との差異化を前面に押し出している。それらいわゆる厳選品の存在が、時代遅れの小売店のありふれた商品棚とはひと味違う、という印象を店全体に付しているという。

「おしゃれ感を足す方針」

ターゲットはしかし、食料品についてはいまだこの戦略を実行に移せていない。「食品に関しては、どっちつかずの状態と言える」と、ガンデラック氏は評する。同社はこれまで「基本的に食材を安く提供しながら、そこに楽しさやおしゃれな部分を足そうとも努めてきた」が、その「ちょうどいいバランスをいまだ見つけられていない。今度のこれ(新戦略)は食品部門もターゲットらしい形に落ち着いていく可能性を示唆している」と、氏は言い添える。

今回のグローサリーリブランディング戦略について、ターゲットは「おしゃれ感を足す方針で行く」のではないかと、ガンデラック氏は予想する。「個人的には、成功の公算が大きい方法だと思う」。

また、小売業界全体にとっては、プライベートブランド戦略の将来を示すさらなる一例になるかもしれない。たとえば、競合他社のクローガー(Kroger)やホール・フーズ(Whole Foods)も――前者はシンプル・トゥルース(Simple Truth)、後者は365で――高級プライベートブランドに消費者を引き寄せる力があることをすでに証明している。

そして、グッド&ギャザーにはそれだけの潜在力がある。そのためには、ターゲットには「どこでもやっているような、ありきたりのプライベートブランドを出すのではなく、個性を際立たせる術を見つける必要がある」と、ダーハム氏は分析する。

Cale Guthrie Weissman(原文 / 訳:SI Japan)