DTC ERA

歯ブラシのサブスク製品は、ウォルマートで売れるのか?: D2C ブランド、クイップの狙い

D2Cの歯ブラシブランド、クイップ(Quip)がウォルマートとの提携を進めている。同社のオーラルケア関連商品は、ウォルマートのオンラインサイトと3000店舗で販売される予定だ。

クイップの狙いは、この展開を通じて注目を集め、カスタマーの獲得につなげることにある。2015年創業のクイップは、電動歯ブラシと、3カ月ごとに交換用のヘッドとバッテリーを自動的に届けるサブスク商品を販売している。同社は過去2年間、ターゲット(Target)やベッド・バス&ビヨンド(Bed Bath & Beyond)、ベスト・バイ(Best Buy)、ウェグマンズ(Wegmans)などの小売企業と提携してきた。同社のコアビジネスはあくまでオンラインのサブスク事業なのだが、こういった小売展開によって、オンラインの消費者以外からも新規カスタマーを取り組むことに成功している。ウォルマートとも提携を決めたクイップは、今後もオンライン販売の商品を人気小売店で展開する戦略を立てている。

コロナ禍で需要が増す形体

クイップの共同創業者兼CEOのサイモン・エネバー氏は、米DIGIDAYの姉妹サイトであるモダンリテール(Modern Retail)に次のように語っている。「オーラルケア商品は大型店舗で購入する人が過半数を占めるというデータがある。我々は、『クイップの商品をより身近なものにする』という長期目標を掲げており、大規模小売店舗に、実際に足を運んで購入する人が大半であるということは決して無視できない」。

ウォルマートでは、クイップの大人向けおよび子供向け電動歯ブラシ、そして最近発売された交換式のデンタルフロスが販売される。今夏、同社はこれまで扱ってきた歯ブラシと互換性のある「スマートブラシ」と「スマートモーター」を発売した。

なるべく多くのカスタマーの目に触れるように、全国の小売店で販売することは「これまでも常に戦略として持ってきた」とエネバー氏は語る。ウォルマートとの提携についても、以前から水面下で協議を進めてきたという。「D2Cブランドは、長年にわたり実店舗における買い物客を過小評価してきた」と、同氏は指摘する。「基本的に、消費者はさまざまな方法で、いろいろな商品に触れたいと考えるものなのだ」。

そして、小売企業と提携したからといって、サブスクリプション契約者が減るわけではない。クイップは、今でも大半のカスタマーが交換用商品をサブスクリプションで購入している。特に今は人混みでの買い物を避ける人が多いなか、「歯ブラシのサブスクリプション購入は理にかなっている」と、エネバー氏は語る。価格面でも、クイップの歯ブラシのヘッドは、店舗よりオンライン購入のほうがかなり安く購入できるようになっている。

「良いパートナーになりえる」

サブスクリプションソリューションプラットフォームのオーダーグルーブ(Ordergroove)のCEO、グレッグ・アルボ氏は、「デジタルネイティブのスタートアップのあいだで、大型小売店を使って規模拡大を目指す流れが続いている。ブランド強化戦略として小売店を利用するケースも増えている」と語る。「クイップのようなブランドにとって、実店舗はより多くのカスタマーにリーチできるチャネルになる。新規カスタマーの生涯価値を向上させることにもつながるだろう」と分析する。

地元のウォルマートで商品を見かけたカスタマーが「サブスクリプションチャネルで商品購入を続けるようになる」と、アルボ氏は語る。さらに同氏は「ウォルマートにとっても、こういった販売機会の損失よりも、クイップなどの新たなブランドの商品を販売できるメリットのほうが大きい」と指摘する。

ウォルマート自身も、大規模なD2C戦略を展開してきた。最近では女性向け商品のスタートアップ、ローラ(Lola)をD2Cブランドとして展開している。ウォルマートは同ブランドに大規模な投資を行っており、エネバー氏は、「ウォルマートはデザインとカスタマーの価値を重視していることの表れ」だと語る。

「結局のところ、ブランドイメージはユーザーとの直接的なつながりで決まる」と同氏は語る。「D2Cと小売企業は、互いの足りない部分を補う存在として、良いパートナーになりえるのだ」。

[原文:Why subscription toothbrush brand Quip is expanding into Walmart

Gabriela Barkho(翻訳:SI Japan、編集:長田真)