メルカリ(Mercari)が、リセール分野における差別化を図るため、最近その戦略に加えたのが同日配達だ。 日本を拠点としたピア・ツー・ピア(個人間)の販売プラットフォームであるメルカリは6月第3週、オンデマンド型配達サー […]
メルカリ(Mercari)が、リセール分野における差別化を図るため、最近その戦略に加えたのが同日配達だ。
日本を拠点としたピア・ツー・ピア(個人間)の販売プラットフォームであるメルカリは6月第3週、オンデマンド型配達サービス大手のポストメイツ(Postmates)とのアプリ統合による、ピックアップとデリバリーの新しい試験プログラムをローンチした。この2時間宅配サービス「メルカリ・ナウ(Mercari Now:日本でもかつて同名のサービスがあったがそれとは別物)」*は、パンデミック以前から開発されており、現在はサンフランシスコでのみ利用可能だ。販売者は、郵便局に荷物を預けることなく、現地の注文を受け付けられる。これはオンデマンドの宅配サービスへの移行という、リテール業界全体でのシフトの一環なのだろう。しかし、再販プラットフォーム企業として、この施策を打ったのは、メルカリがはじめてだ。
メルカリにとっての最大のマーケットは日本だが、米国での存在感を強めようと近年、取り組んでいる。プラットフォーム上で提供されているアイテムの大部分がファッションカテゴリーに属しており、全取引量の40%を占めているという。
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大きめアイテムの出品率が狙い
アメリカのCEOであるジョン・ラーゲリン氏は、米DIGIDAYの兄弟メディアであるモダン・リテール(Modern Retail)の取材に対して、メルカリ・ナウのユーザーが、今回の取り組みによって、配送料が高額になりがちな大きめのアイテムのやりとりをより頻繁に行うようになることを期待していると語った。
ラーゲリン氏によると、パンデミック中にはアクティビティの急増が起き、昨年と比べるとユーザー数は2倍になったという。新規ユーザー、既存ユーザーともに多くの人々が自宅にいる時間を活用したことで、出品されるアイテムの数が増えたことが最近の増加の理由と考えているようだ。4月には、メルカリの再販ユーザーは、平均で183ドル(約1万9613円)を売り上げた。これは昨年と比べると50%の増加だ。
ポストメイツ経由でフルフィルメントが行われる注文は50ポンド(約22Kg)以下の重さでなければいけない。しかし、ポストメイツを活用することのコストは、比較的重い荷物の発送料が節約されることで相殺されることを予測している。「一定の重さを超えると非常に高額になる」と、ラーゲリン氏は言う。そのため、事前に交渉されたメッセンジャー料金の方が比較的安価になると説明した。メルカリ・ナウの利用料は通常10.99ドル(約1177円)だが、現在は導入価格として、4.99ドル(約534円)で提供されている。
ほかの都市へも近く拡大予定
高速での同都市内デリバリーは理にかなっていると、フォレスター(Forrester)の主任アナリストであるスチャリタ・コダーリ氏は言う。パンデミックを通じて、デジタルリテールによる同日デリバリーは大きな加速が見られた。この分野においてポストメイツは積極的にパートナー関係を追求してきた。昨年のショッピファイ(Shopify)統合がその始まりだった。
コダーリ氏は、Facebookマーケットプレイス(Facebook Marketplace)やクレイグズリスト(Craigslist)といった競合も類似のオプションを統合する可能性を予測している。これらのプラットフォームでの取引は特に同都市内の傾向があるからだ。「時間が経つにつれて(こういったデリバリー・パートナーシップ)が増えると考えている」と述べた。最近のブームが起きるまでは、多くのオンデマンド・サービスは新しい都市への拡大、デリバリーの需要に応えるため運転手の確保に忙殺されていた体。メルカリ・ナウの成功はユーザーとポストメイツの宅配労働者からどれくらい興味を得られるかにかかっているだろう。ラーゲリン氏はメルカリ・ナウを近い将来に他の都市に拡大するだろうと語った。
アメリカ市場のシェアを伸ばすことをミッションとしているメルカリにとって、リセールのプロセスをより直感的な簡単なものにすることが目標だ。「オンラインでの買い物と同じレベルで売ることも簡単にしたいと思っている」とラーゲリン氏は語った。
Gabriela Barkho(原文 / 訳:塚本 紺)