ブランドはミレニアル世代へのリーチに強い執着を見せる。アメリカ政府の国勢調査局によると 、およそ8000万人のアメリカ人がミレニアル世代に該当。業界に関係なく、各ブランドはミレニアル世代を一括りに扱ったり、「若者」という単語でひとまとめにしてきた。だが、ハーレーダビッドソンはそうした風潮とは一線を画している。
ブランド各社は長年、ミレニアル世代へのリーチに強い執着を見せてきた。アメリカ政府の国勢調査局によると 、およそ8000万人のアメリカ人がミレニアル世代に該当する。業界に関係なく、各ブランドはミレニアル世代をひと括りに扱ったり、「若者」という単語でひとまとめにするなどしてきた。
だが、ハーレーダビッドソンはそうした風潮とは一線を画している。8月16日、同社は「All For Freedom. Freedom For All.(自由にすべてを。すべての人に自由を)」というキャンペーンを展開し、自由と個性を讃える動画を投稿した。「自由と個性」は、この10年、ハーレーがライダーを増やすために行っている戦略的キャンペーンのキーワードだ。ただし、そのターゲットはミレニアル世代に限らない。
同社のグローバルマーケティング部門のバイスプレジデント、ヘザー・メイレンシェック氏にその理由を聞いた。なお、内容を明瞭にするため若干の編集を加えている。
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――「ミレニアル世代」は今日のマーケティングにおいて、もっとも過剰に飛び交っている言葉だが、ハーレーダビッドソンはこの言葉を使わないのはなぜか?
答えは簡単だ。「ミレニアル世代」という捉え方に賛同していないからだ。ベビーブーマーやジェネレーションXについても言えることだが、世代ごとに一定の傾向は確かに存在する。だが、そうした単語でその世代をすべてひと括りにしてしまうと、その世代の全員が同じように見て、感じて、考えているかのような印象を与えてしまう。しかし実際には、そのようなことはありえない。
――では実際にどう捉えているのか?
自由に考える個人として捉えることが大切だ。世代は関係ない。
――そうすると、ほかのブランド各社がミレニアル世代をターゲットに絞っているのは、時間の無駄ということ?
ブランド各社にはそれぞれの考え方がある。単に我々がミレニアル世代という括りを良しとしていないだけ。我々は人口統計学的な層と向き合っているのではない。我々が向き合っているのは、価値観をもった一人ひとりの人間だ。
――なぜ価値観なのか?
確かに若者は我々にとって重要なターゲットだ。だが同時に、若い頃にバイクに乗り、再び乗りたいと思う人々にもリーチしたい。我々のコミュニティは実に多彩な人々で構成されている。つまり、自由を愛するすべての個人にリーチするのが我々の戦略だ。そこには老いも若さも関係ない。

ヘザー・メイレンシェック氏
――ハーレーダビッドソンを愛する人にとっての個人主義とは?
個人主義こそが我々をハーレーダビッドソンたらしめているものだ。重要なのはバイクにまたがって感じる自由や体験であり、それらは個人の自由があってこそ生まれるもの。そこには年齢も人種も性別もない。本当に重要なのは、人々が我々のブランドを通じてありのままの自分でいられること、本当の自分でいられることだ。
――なぜ世代全体ではなく個人に対してマーケティングを行うのか?
自由と冒険が我々の拠って立つ価値観だから。そして自由と冒険を愛し求め続ける人間は、どの世代にも存在する。そして彼らがハーレーダビッドソンでしか味わえない体験を求めるかどうかは、我々の努力次第。人口統計学的な層は関係ない。
――ハーレーダビッドソンは「ワルい奴」がまたがるバイク、という固定観念を長年にわたり解消しようと努めてきた。ハーレーといえば、黒いレザージャケット、長いアゴひげ、過激なライフスタイルといったイメージがすぐに連想された。
そのような固定観念で人々から見られることはしばしばあるし、当社について語るメディアも存在する。だがそれはミレニアル世代全員が同じ思考・行動をするかのように扱う固定観念とまったく同じだ。明らかにそれは間違いっている。我々はひとつの型に収まるブランドではない。もしかすると世代もブランドも、固定観念で捉える方が人々にとっては楽なのかもしれない。しかしそれは間違いだ。
Ilyse Liffreing(原文 / 訳:SI Japan)