2020年、「ファンクショナルビューティ」が大流行になる? : より実践的な美容商品

2019年、エレミス(Elemis)ドランクエレファント(Drunk Elephant)タッチャ(Tatcha)といった高額ブランドが台頭した。昨年を通じたメークアップ市場の停滞を見てきた投資家たちのあいだでは、美容業界において、いま一番勢いのある分野は、スキンケアだという見解が広がっている。

自社ポートフォリオにおけるギャップを埋める高級ブランドとして上記の企業に目をつけたロクシタン(L’Occitane)や資生堂、ユニリーバ(Unilever)といったコングロマリットもあった一方で、魅力的なパッケージと高級ブランドに興味を示さない消費財企業も存在した。SCジョンソン(SC Johnson)、バイヤスドルフ(Beiersdorf)、コルゲート・パルモリーブ(Colgate-Palmolive)といった企業は、ファンクショナルビューティ(functional beauty)と呼ばれるより実践的な美容商品に目を向けた。このファンクショナルビューティは、2020年における大きなトレンドとなる可能性がある。

「ニーズに基づいたコンセプト」

SCジョンソンはサン・バム(Sun Bum)を4億ドル(約432億円)、オーアズアンドアルプス(Oars + Alps)を2000万ドル(約21.6億円)で完全に買収したほか、2019年初めにクーラ(Coola)の株式の過半数を取得した。グループ全体で美容分野を重視する戦略が見て取れる。(昨年秋に、同社はSCジョンソンベンチャーズ[SC Johnson Ventures]の社員も新たに増やしはじめた)コパトーン(Coppertone)を昨年5月に5億5000万ドル(約595億円)で買収したバイヤスドルフについても同様だろう。コルゲート・パルモリーブは昨年7月に高級美容ブランドのフィロルガ(Filorga)を17億ドル(約1840億円)で買収した一方で、社名にちなんだコルゲートやソフトソープ(Softsoap)、2017年に買収したエルタMD(EltaMD)などは、いずれも薬局で売られる手頃な価格の製品だ。

フィナンコ(Financo)のマネージングディレクターを務めるベネット・ホー氏は「消費者のあいだでウェルネスが注目を集めるなかで、消費財企業の多数がポートフォリオ戦略にスキンケアを組み込むようになっている。スキンケアは一般的に利ざやが大きく、リピートが見込め、ファッションリスクも小さい。有効性やイノベーションを通じた差別化が行いやすい分野でもある」と分析する。

近年、セクシャルウェルネスオーラルケアといったこれまであまり日の目を見なかったパーソナルケア商品が再び注目を集めたが、ボディケアや日焼け止めといった分野でも同様の傾向が見られる。ガルダーマ・ラボラトリーズ(Galderma Laboratories)のセタフィル(Cetaphil)や ジョンソン・エンド・ジョンソン(Johnson & Johnson)のアビーノ(Aveeno)が好例だろう。そんななかでも、有効性やミレニアルを念頭においたマーケティングのチャンスは魅力的だ。

「メークアップや高級スキンケアでは、細分化と競争の激化が進んでいる。ファンクショナルビューティは意図的に含みをもたせるとともに、ニーズに基づいたコンセプトだ」と、シティグループ(Citigroup)で消費者商品担当ディレクターを務めるディープティ・チャウハン氏は語る。「消費者は日焼け止めなどについて、何歳になっても必要な商品としての価値を見出している」。

ファンクショナルビューティの魅力

あまり派手ではないファンクショナルビューティでは、ブランドや商品がより長く愛される可能性がある。トレンドや買い物客の傾向、はてはZ世代やミレニアル世代といった世代にすら比較的影響を受けないためだ。これにより、資生堂やエスティローダー(Estée Lauder Companies)、ロレアルと異なり、メークアップやヘア商品に関する専門知識を持ち合わせないコングロマリットでも、美容業界に参入するチャンスが生まれる。

投資家や2020年の戦略において美容自体への関心は低下するかもしれない。だが、コングロマリットにとってポートフォリオを更新するM&Aは欠かせない。そのとき注目を集めるのは次のグロッシアー(Glossier)やカイリー・コスメティクス(Kylie Cosmetics)ではなく、アクアフォー(Aquaphor)のようなブランドなのかもしれない。

PRIYA RAO(原文 / 訳:SI Japan)