- イタリアのオートバイメーカーであるドゥカティは、Web3技術とNFTを活用した新たなマーケティング戦略を採用し、「ドゥカティ・レガシー」というブランドNFTコレクションを発表した。
- この取り組みは、ドゥカティの熱心なコミュニティを拡大し、Web3技術をマーケティングに組み込む一環として位置づけられている。
- これはWeb3技術の可能性を追求する企業による新たな試みのひとつであり、将来的にはNFTと実物製品を結びつける可能性も考慮している。
ブロックチェーン技術に対する疑念が起こっているにも関わらず、ドゥカティ(Ducati)はWeb3のマーケティング力を信じている。
イタリアのオートバイメーカーである同社は9月、自社で初となる限定版のブランデッドNFTコレクションである「ドゥカティ・レガシー(Ducati Legacy)」を発表した。ブロックチェーン企業のウェブスリープロ(Web3Pro)と共同で開発されたこのコレクションには、1台100ドル(約1万4900円)のデジタルオートバイ11タイプが含まれ、合計5000台のデジタルコレクティブルで構成されている。
ドゥカティは、具体的な特典はまだ発表していないものの、将来的に保有者に限定特典が付与されることを約束しているようだ。
「コミュニティ」はWeb3空間で重要な意味を持つ
ドゥカティのマーケティングマネージャーであるアレッサンドロ・チコニャーニ氏は、NFTホルダーの特典に関する具体的な計画はまだないとしながら、多くのアイデアがあることを認めた。「コレクティブルは第一歩として、物理的なドゥカティの世界への架け橋になるだろう」と同氏は言う。「スマートコントラクトやバイク所有権・証明書など、Web3がどのような企業にも提供できる将来性については、まだ調整中だ。我々は現在、始めたばかりの段階なのだから」。
計画がまとまっていないことはともかく、ドゥカティにはマーケティングツールとしてWeb3技術を調査する十分な理由がある。ドゥカティの熱烈な支持者、すなわち「ドゥカティスティ(Ducatisti)」のコミュニティを構築することは、何十年ものあいだ、ドゥカティというブランドのマーケティングの中核をなしてきた。「コミュニティ」はWeb3空間で重要な意味を持つ言葉のひとつであり、献身的なドゥカティファンやNFTホルダーのグループを育成することが、ドゥカティの既存のトライバルマーケティング戦略の自然な延長であることは間違いない。
ウェブスリープロの最高経営責任者(CEO)であるクリスティアン・フェリー氏は次のように語る。「ドゥカティは、オートバイに乗る人々だけでなく、ロードレース世界選手権(MotoGP)などのレースのファンなど、忠実な顧客や忠実なファンから非常に多くの支持を得ている。彼らは大きなリーチを持っているが、これらの人々と会社を効果的に結びつける本当にシンプルな方法はこれまでなかった。だからこそ、我々ウェブスリープロのようなWeb3マーケティングプラットフォームは、大きなファン層を持っていて、幅広い人間関係を容易に管理できるインフラを必要としている企業にとって非常に理にかなっている」[続きを読む]
- イタリアのオートバイメーカーであるドゥカティは、Web3技術とNFTを活用した新たなマーケティング戦略を採用し、「ドゥカティ・レガシー」というブランドNFTコレクションを発表した。
- この取り組みは、ドゥカティの熱心なコミュニティを拡大し、Web3技術をマーケティングに組み込む一環として位置づけられている。
- これはWeb3技術の可能性を追求する企業による新たな試みのひとつであり、将来的にはNFTと実物製品を結びつける可能性も考慮している。
ブロックチェーン技術に対する疑念が起こっているにも関わらず、ドゥカティ(Ducati)はWeb3のマーケティング力を信じている。
イタリアのオートバイメーカーである同社は9月、自社で初となる限定版のブランデッドNFTコレクションである「ドゥカティ・レガシー(Ducati Legacy)」を発表した。ブロックチェーン企業のウェブスリープロ(Web3Pro)と共同で開発されたこのコレクションには、1台100ドル(約1万4900円)のデジタルオートバイ11タイプが含まれ、合計5000台のデジタルコレクティブルで構成されている。
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ドゥカティは、具体的な特典はまだ発表していないものの、将来的に保有者に限定特典が付与されることを約束しているようだ。
「コミュニティ」はWeb3空間で重要な意味を持つ
ドゥカティのマーケティングマネージャーであるアレッサンドロ・チコニャーニ氏は、NFTホルダーの特典に関する具体的な計画はまだないとしながら、多くのアイデアがあることを認めた。「コレクティブルは第一歩として、物理的なドゥカティの世界への架け橋になるだろう」と同氏は言う。「スマートコントラクトやバイク所有権・証明書など、Web3がどのような企業にも提供できる将来性については、まだ調整中だ。我々は現在、始めたばかりの段階なのだから」。
計画がまとまっていないことはともかく、ドゥカティにはマーケティングツールとしてWeb3技術を調査する十分な理由がある。ドゥカティの熱烈な支持者、すなわち「ドゥカティスティ(Ducatisti)」のコミュニティを構築することは、何十年ものあいだ、ドゥカティというブランドのマーケティングの中核をなしてきた。「コミュニティ」はWeb3空間で重要な意味を持つ言葉のひとつであり、献身的なドゥカティファンやNFTホルダーのグループを育成することが、ドゥカティの既存のトライバルマーケティング戦略の自然な延長であることは間違いない。
ウェブスリープロの最高経営責任者(CEO)であるクリスティアン・フェリー氏は次のように語る。「ドゥカティは、オートバイに乗る人々だけでなく、ロードレース世界選手権(MotoGP)などのレースのファンなど、忠実な顧客や忠実なファンから非常に多くの支持を得ている。彼らは大きなリーチを持っているが、これらの人々と会社を効果的に結びつける本当にシンプルな方法はこれまでなかった。だからこそ、我々ウェブスリープロのようなWeb3マーケティングプラットフォームは、大きなファン層を持っていて、幅広い人間関係を容易に管理できるインフラを必要としている企業にとって非常に理にかなっている」。
Web3への批判を過度に気にかけてはいない
ドゥカティのWeb3計画はマーケティングに留まらない。プーマ(Puma)同様、ドゥカティはこの技術をインターネット黎明期のeコマースと同じ商機と捉えている。最終的には、ドゥカティのオートバイの現物購入がドゥカティNFTと組み合わされる可能性もあり、NFTの予備的なドロップはブランドにとって新たな収益源にもなり得る。
「ドゥカティは常に新しい技術を先取りしてきた」とチコニャーニ氏は言い、「2000年にインターネットでバイクを販売したのは我々が初めてだった」と付け加える。
プーマやドゥカティのようなブランドのマーケターが示す暗号資産への信頼は、2023年におけるWeb3に対する平均的な消費者の態度とは対照的だ。この1年で、暗号資産に懐疑的な人々は、この技術の潜在的な問題についてますます発言するようになり、財務的リスクや環境リスクについての懸念を共有している。
しかしながら、ドゥカティとウェブスリープロは、こうした批判を過度に気にかけてはいない。環境面では、Web3Proはプルーフ・オブ・ステーク(PoS)コンセンサスメカニズムを採用しており、旧来のプルーフ・オブ・ワーク(PoW)システムよりもエネルギー消費量がかなり少ないと、フェリー氏は述べる。文化的側面では、消費者がWeb3技術をより広く採用するようになるのは時間の問題だと彼らは考えている。
ブロックチェーン技術をマーケティングチャネルとして利用
Web3に対するドゥカティの信頼は、暗号資産を信奉するエグゼクティブクラスの台頭を反映している。これは、この1年間に暗号資産懐疑論の台頭と並行して起きている現象だ。消費者の多くはまだブロックチェーン技術の価値に納得していないが、この技術について十分な知識を持ち、投資しているブランドのマーケターは、暗号資産反対の感情に惑わされることなく、この技術をマーケティングチャネルとして利用し続けているようだ。
マーケターでメタバースコンサルタントのアーロン・ワーレ氏は、「私のようなマーケターは、これがとてつもなく画期的なものでないとわかっている。それは非常に効果的で、筋金入りのオーディエンスにとっては素晴らしいことであり、人々に所有者意識を与えるだろう。それは、我々全員がブランド擁護者に求めていることだ」と話したうえで、「ではこれで、次の10億人を新たにWebに呼び込めるのだろうか? 私はそうは思わない。ただし、(10億人と言わずとも)大量にユーザーを獲得することは可能なことであり、それは現時点でマーケターにとって十分な量だ」と言い添えた。
[原文:Why Ducati is confident in Web3, despite the cold of crypto winter]
Alexander Lee(翻訳:藤原聡美/ガリレオ、編集:島田涼平)