米コミック大手マーベル・コミック(Marvel Comics)と米フードデリバリーサービス、ドアダッシュ(DoorDash)は、後者のドライバーの生活および仕事を讃える新たなデジタルアニメコミックブック、「The Das […]
米コミック大手マーベル・コミック(Marvel Comics)と米フードデリバリーサービス、ドアダッシュ(DoorDash)は、後者のドライバーの生活および仕事を讃える新たなデジタルアニメコミックブック、「The Dashers(ザ・ダッシャーズ)」を共同制作した。
これを通じて、ダッシャーと呼ばれる配達パートナーおよび配達に関わる人々の仕事ぶりは讃えられてしかるべき、との考えを広め、さらに高めていけることを、ドアダッシュは期待している。
感謝と支援のナラティブをいかに表現するか
「コロナ禍という困難の中、多くの人々がダッシャーを讃えてくれる姿を目にした。大半が室内に閉じこもっていたあの当時、彼らの頑張りに敬意と謝意を表する姿を」と、ドアダッシュのダッシャーマーケティング部門トップ、エマ・グレイザー氏は話す。世界がコロナ禍前の日常に戻るなか、そんなダッシャーへの感謝と支援のナラティブを維持するべく、人々の興味を引く、正統的な方法はないかと、同社は考えていた。
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同提携の金銭面については明らかにされていない。コミックブックには、4人のダッシャーが臨機応変に立ち回り、架空の街「Dashville(ダッシュビル)」を救う一方、個々の夢も追いかけていく様子が描かれる。ドアダッシュはこれをニューヨーク・コミコン(New York Comic Con)の自社アクティベーションブースで発表した。
具体的な広告費用について、グレイザー氏は明言を避けた。パスマティクス(Pathmatics)の広告トラッキングデータによれば、同社は2022年度これまでに1億7500万ドル(約245億円)をやや上回る額を広告に費やしている。同キャンペーンのおおまかな内訳については、氏によると、同社は広告総予算の22%をペイドソーシャル、19%を映画、16%をデジタル動画、13%をプログラマティックストリーミング、8%をデジタルディスプレイ、8%を先のニューヨーク・コミコンにおける体験にそれぞれ投じたという。
ニューヨーク・コミコンは同社にとって、コミックブックおよびゲーミングのファンと繋がるとともに、専用アプリであるドアダッシュアプリを新規ユーザーに勧める絶好の機会となったと、グレイザー氏は話す。
マーベルはブラックパンサーの新作を訴求
一方のマーベルは今後、自身のYouTubeチャンネルで「The Dashers」の新章を毎週公開していく。さらに、Facebookやインスタグラム、Twitter上で各章のさわりも配信する。
グレイザー氏が説明したとおり、ペイドソーシャル広告キャンペーンは今回、TikTok、Snapchat、YouTube、インスタグラム、Twitter、Googleディスプレイ(Google Display)といったプラットフォーム上で展開を続け、露出を全米規模にまで拡大する。
最終的にマーベルの新作映画「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」に繋げるのが狙いであり、これにはSnapchatのテイクオーバーやTwitterのプレミアスポンサーシップも含まれる。グレイザー氏によれば、ドアダッシュは2022年11月からドアダッシュアプリを介してストーリーを顧客と共有し、注文品の到着を待つ時間を楽しめるエインターテインメントを提供するという。
「これは今後、ドアダッシュの全マーケティングで目にすることになる、大きなナラティブの一部を形成するものだ。注文の1つひとつが人々の生活に、生活環境に、近隣の人々に波のように広がるポジティブの連鎖反応を起こし、それをもとにして、ダッシャーたちは資金を得てそれぞれの目標を達成できる、そして企業勢はこの消費者主導の新たな経済形態、コンビニエンスエコノミー(convenience economy)において、成長し成功することができるというのがそのナラティブとなる」と、グレイザー氏は話す。
安定した供給および配達力の獲得&保持戦略
ドアダッシュは、副収入を求める労働者、野心に溢れる会社経営者、孫を存分に甘やかしたい高齢者など、幅広いオーディエンスへの訴求力を持つ。このキャンペーンで同社は、消費者に留まらず、エコシステム中のオーディエンスへの訴えかけにフォーカスしている。
「着実に成長する、安定した供給および配達力に大いに依存し、ここまでビジネスを大きくしてきた企業だけに、ドアダッシュはこのキャンペーンで、ギグワーカーのホームグラウンド、というブランド認識をさらに強化し、その結果として、これを魅力あるダッシャーの獲得および保持の効果的戦略にしたい、と狙っているに違いない」と、成長戦略コンサルティング企業、プロフェット(Prophet)のパートナーで、同社テクノロジー、メディア、エンターテイメントプラクティス部門のトップ、ユーニス・シン氏は指摘する。
[原文:Why DoorDash, Marvel worked together to create a new digital comic book]
Julian Cannon(翻訳:SI Japan、編集:分島翔平)