メキシコ料理レストランチェーンのチポトレ(Chipotle)が行なうeスポーツへの投資は、常識を覆すものだ。
チポトレは現在、大手ブランドがほとんど手を出さなかった分野に資金を投じている。その分野とは、格闘ゲームである。多くの格闘ゲームに見られる暴力的なコンテンツは、多くの主流ブランドに敬遠されてきた。同社はマーケティングでとくにリーチしにくいと広く知られているオーディエンスにリーチするため、その隙間をつくり、埋めようとしている。
8月4~6日に米国ラスベガスで開催された年1度の対戦型格闘ゲームのeスポーツ大会のひとつ、エボリューションチャンピオンシップシリーズ(Evolution Championship Series、以下EVO)では、チポトレが至る所に登場した。そこでは、同ブランドが提供スポンサーのひとつとなり、大規模なeスポーツリーグやチームと提携する多くのブランドとは一線を画す方法で、競技ゲームのオーディエンスにリーチしようと努力していることを強調した。
ゲームコミュニティの一部になる
チポトレのCMO兼最高ブランド責任者であるクリス・ブラント氏は、「皆が格闘ゲームに向かっていると思うか? 必ずしもそうではない。しかし、私たちにとってはチャンスだと考えている」と話す。「『フォートナイト(Fortnite)』などの人気ゲームへの参入は誰でも可能で、私たちも少しやったことがあるが、ブランドで溢れかえっている。一方格闘ゲームでは情熱を持つコミュニティーに参加でき、そして多くのブランドはそこにいないのだ」。
チポトレは過去にもeスポーツや幅広いゲームコミュニティーへの働き掛けを行ったことがある。前者はブランド提供の「フォートナイトトーナメント」、後者はRobloxのゲーム内アクティベーションを通じて行われた。
しかし、EVOとの関係は、ゲームの競技的な側面に対するチポトレ最大の投資を意味する。主要なeスポーツリーグへの参入の余地が生まれるにつれて、競技ゲーマーへのリーチに関心がある広告主にとって、格闘ゲームコミュニティーとその中心的なイベントはますます魅力的な選択肢になっている。
チポトレとEVOのパートナーシップに関連したアクティベーションは、敗退した選手のためのサイドトーナメントを充実させるコミュニティーラウンジ、毎日行われるピンバッジなどのチポトレグッズプレゼント、そして、カプコンの人気格闘ゲーム「ストリートファイター6」へのゲーム内インテグレーションだ。このゲーム内インテグレーションにより、8月中にチポトレの商品をオンライン注文すると、ゲーム内通貨を獲得できる。
「ほかのゲームでは、アクティベーションは1度限りだったが、今回は10カ月ほど続く」とブラント氏は話す。「競技ゲームが私たちに向いているかどうかはわからないが、しばらく探求してみるつもりだ。私たちはただ広告主として存在するだけでなく、ゲームコミュニティーの一部になり、ゲームに貢献できることをしたいと心から思っている」。
メキシコ料理レストランチェーンのチポトレ(Chipotle)が行なうeスポーツへの投資は、常識を覆すものだ。
チポトレは現在、大手ブランドがほとんど手を出さなかった分野に資金を投じている。その分野とは、格闘ゲームである。多くの格闘ゲームに見られる暴力的なコンテンツは、多くの主流ブランドに敬遠されてきた。同社はマーケティングでとくにリーチしにくいと広く知られているオーディエンスにリーチするため、その隙間をつくり、埋めようとしている。
8月4~6日に米国ラスベガスで開催された年1度の対戦型格闘ゲームのeスポーツ大会のひとつ、エボリューションチャンピオンシップシリーズ(Evolution Championship Series、以下EVO)では、チポトレが至る所に登場した。そこでは、同ブランドが提供スポンサーのひとつとなり、大規模なeスポーツリーグやチームと提携する多くのブランドとは一線を画す方法で、競技ゲームのオーディエンスにリーチしようと努力していることを強調した。
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ゲームコミュニティの一部になる
チポトレのCMO兼最高ブランド責任者であるクリス・ブラント氏は、「皆が格闘ゲームに向かっていると思うか? 必ずしもそうではない。しかし、私たちにとってはチャンスだと考えている」と話す。「『フォートナイト(Fortnite)』などの人気ゲームへの参入は誰でも可能で、私たちも少しやったことがあるが、ブランドで溢れかえっている。一方格闘ゲームでは情熱を持つコミュニティーに参加でき、そして多くのブランドはそこにいないのだ」。
チポトレは過去にもeスポーツや幅広いゲームコミュニティーへの働き掛けを行ったことがある。前者はブランド提供の「フォートナイトトーナメント」、後者はRobloxのゲーム内アクティベーションを通じて行われた。
しかし、EVOとの関係は、ゲームの競技的な側面に対するチポトレ最大の投資を意味する。主要なeスポーツリーグへの参入の余地が生まれるにつれて、競技ゲーマーへのリーチに関心がある広告主にとって、格闘ゲームコミュニティーとその中心的なイベントはますます魅力的な選択肢になっている。
チポトレとEVOのパートナーシップに関連したアクティベーションは、敗退した選手のためのサイドトーナメントを充実させるコミュニティーラウンジ、毎日行われるピンバッジなどのチポトレグッズプレゼント、そして、カプコンの人気格闘ゲーム「ストリートファイター6」へのゲーム内インテグレーションだ。このゲーム内インテグレーションにより、8月中にチポトレの商品をオンライン注文すると、ゲーム内通貨を獲得できる。
「ほかのゲームでは、アクティベーションは1度限りだったが、今回は10カ月ほど続く」とブラント氏は話す。「競技ゲームが私たちに向いているかどうかはわからないが、しばらく探求してみるつもりだ。私たちはただ広告主として存在するだけでなく、ゲームコミュニティーの一部になり、ゲームに貢献できることをしたいと心から思っている」。
格闘ゲームコミュニティーの価値
チポトレとEVOのパートナーシップは、格闘ゲームコミュニティーが元来持つエンゲージメントとマーケティング価値にブランドが気付き始めている証しでもある。
2022年、EVOの主なブランドパートナーはソニーのインゾーン(INZONE)とフレッシュカット(FreshCut)だった。2023年はチポトレ、AT&T、インゾーン、PlayStation Tournaments、レッドブル(Red Bull)といったブランドが名を連ねる。
ソニーインタラクティブエンタテインメントとEVOを共同開催するエージェンシーであるRTSのCEO、スチュアート・ソー氏は、「それを証明するにはまず、2022年のイベントをやり遂げる必要があった。そのうえで、格闘ゲームコミュニティーの集中化によって適切な商業パートナーがEVOのイベントだけでなく、そのコネクションを活用した何かを構築することができるような、全員で浮上するチャンスを生み出すと信じてきた」と話す。
生まれたチャンス
ソニーがEVOに参加したことで、チポトレはさらに別の利益を享受することになった。PlayStation Networkに直接広告を出すことができるようになったのだ。現在、PlayStationにログインしているユーザーには、チポトレと「ストリートファイター」のパートナーシップを宣伝するターゲティング広告が配信されている。現時点で、PlayStation Network内でこうした中心的な広告インベントリー(在庫)を確保している主流なブランドは同社だけだ。
この契約をまとめたエージェンシーであるREV/XPのシニアバイスプレジデント、クリス・マン氏は、「PlayStationはEVOを所有し、格闘ゲームコミュニティーに投資しているため、私たちはチポトレにそのチャンスをもたらした」と振り返る。「チポトレはこれらすべてを最初に行ったブランドで、私たちのアセットのなかには、クリック率が30%に達したものもある」。
[原文:Why Chipotle is investing in esports marketing through Evo and the fighting game community]
Alexander Lee(翻訳:米井香織/ガリレオ、編集:島田涼平)