この記事は、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です。
かつてCPG(消費者向けパッケージ商品)ブランドは学童期の子どもたちの注目を集めるため、人気のアニメーション番組のキャラクターを商品に使用していたものだった。しかし最近では、スナックブランドのブロックススナックス(BloxSnacks)のように、若い世代にアピールするため、コンテンツクリエイターに期待をかけている。
ブロックススナックスの商品は、それぞれユーチューバーとのパートナーシップにより製造され、ブランドのパッケージにそのことが明記されている。紙パックのジュースやフルーツスナックを販売しており、現在はアンスピーカブル(Unspeakable)、アフマウ(Aphmau)、ニンジャキッズ(NinjaKidz)という3組のユーチューバーと提携している。これらのユーチューバーの合計チャンネル登録数は5000万人を超える。ユーチューバーたちは、各チャンネルで商品を宣伝・投稿するだけでなく、事業にも出資している(ブロックススナックスは、アフマウとアンスピーカブルが共同で設立した)。続きを読む
この記事は、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です。
かつてCPG(消費者向けパッケージ商品)ブランドは学童期の子どもたちの注目を集めるため、人気のアニメーション番組のキャラクターを商品に使用していたものだった。しかし最近では、スナックブランドのブロックススナックス(BloxSnacks)のように、若い世代にアピールするため、コンテンツクリエイターに期待をかけている。
ブロックススナックスの商品は、それぞれユーチューバーとのパートナーシップにより製造され、ブランドのパッケージにそのことが明記されている。紙パックのジュースやフルーツスナックを販売しており、現在はアンスピーカブル(Unspeakable)、アフマウ(Aphmau)、ニンジャキッズ(NinjaKidz)という3組のユーチューバーと提携している。これらのユーチューバーの合計チャンネル登録数は5000万人を超える。ユーチューバーたちは、各チャンネルで商品を宣伝・投稿するだけでなく、事業にも出資している(ブロックススナックスは、アフマウとアンスピーカブルが共同で設立した)。
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ユーチューバーとの強固なパートナーシップ 事業にも出資
ブロックススナックスのCEOを務めるジョン・レッサー氏は、「クールエイドの公式マスコットであるクールエイドマン(Kool-Aid Man)や、フリントストーンズビタミン(Flintstones Vitamins)が商品化されているザ・フリントストーンズ(The Flintstones)のように、ライセンスされたIP(知的財産)は何年も前からあった。しかし、今日のように子どもたちがブランドやコンテンツに夢中になるような方法で子どもたちに語りかけるブランドはなかった」と、米モダンリテールに語った。
ユーチューバーとパートナーシップを結んだおかげで、同社では現在のところ、従来型の広告には一切お金をかけていないと、レッサー氏は語る。3組のユーチューバーのチャンネルで同社の商品が登場する動画は、合計で1億回も再生された。小売をはじめて6カ月で、毎月の売上は100万ドル(約1億4900万円)を超えた。
商品の販売が開始されたのは今年の4月だが、年末にはすでに利益に転じると予測されている。6つのSKU(在庫管理単位)があり、全国で4400店舗のウォルマート(Walmart)で販売されている。レッサー氏はブロックススナックスでCEOの役職に就くまでは、CPGブランドのカインド(Kind)やダーリング(Daring)でシニアエグゼクティブマーケティングという管理職を務めていた。
若年層を惹きつけるプラットフォーム
子どもたちにアピールするのは、広告の規制が厳しいことから難しい。クレアーズ(Claire’s)やウォルマートなど多くのブランドは、この問題を解決するため、ロブロックス(Roblox)やメタバース(Metaverse)のような若年層を惹きつけやすいプラットフォームでの存在感を高めてきた。反対に、ブロックススナックスのようにコンテンツクリエイターと提携したブランドもある。スケッチャーズ(Sketchers)は2021年、3500万人を超えるチャンネル登録者数を誇るライアンズワールド(Ryan’s World)と提携して、子ども向けフットウェアの商品ラインをリリースした。
レッサー氏によると、同ブランドは、主に若年層の視聴者を持つユーチューバーと提携することで、アルファ世代と呼ばれる4歳から12歳の子どもの目を引くように位置づけられている。最初に提携したのは、1800万人の登録者数を持つゲームクリエイターのアフマウと、1600万人を超える登録者数を持つ子ども向けチャンネルのアンスピーカブルだった。8月には、家庭向けの短いアクション動画を制作し、2070万人の登録者数を持つニンジャキッズを仲間に加えた。
「10年、20年、30年前なら、アニメーションのキャラクターをパッケージに印刷するだけで子どもたちは喜んだろう。今日のアルファ世代がブランドやコンテンツに関わる方法はもっと積極的だ。YouTubeで好きなコンテンツを検索するし、ブランドが提供するものに、より高く期待している」とレッサー氏は述べる。
ブロックススナックスのYouTubeパートナーが、自分たちのチャンネルで商品をどのようにプロモートするかは自由だ。同社はこれらのユーチューバーと少なくとも週に2回、ブランドの計画について話し合う。アンスピーカブルの「ジュースを宇宙まで飛ばしてみた!(I Sent My Juice To Space!)」動画は、ブロックススナックスの商品が取り上げられたもっとも人気の動画のひとつだった。タイトルが示すように、この動画はアンスピーカブルがブロックススナックスのジュースを宇宙まで飛ばそうとするもので、680万回以上も再生された。
アルファ世代がほかの世代と大きく異なる点
同社のモデルは、子ども向けメディアの消費の進化に基づいていると、レッサー氏は述べる。子どもたちは「もう土曜朝のアニメを見ていない。その代わりに、見たいYouTubeを自分で選ぶ」。また、フルーツブロックス(Fruit Blox)のスナックの箱には、限定版のコレクティングカードももれなく含まれている。
マーケティング企業のジ・インフルエンサー・マーケティング・ファクトリー(The Influencer Marketing Factory)の共同創設者でCEOを務めるアレッサンドロ・ボグリアリー氏は、学童期の子どもたちは、その関心がほかの世代と比べて大きく変化しているため、注目を集めるのは難しいと語る。
「アルファ世代は大量の動画を見ているため、すぐに飽きてしまう。常にクリエイティブな商品にする必要がある」と、ボグリアリー氏は語る。また、商品のお金を払う親たちにも好まれるようにするべきだとも、同氏は付け加えた。
ブロックススナックスのレッサー氏は、子ども向けに特化した高品質のコンテンツを制作しているYouTubeパートナーを求めていると語る。将来はさらに多くのユーチューバーと提携し、期間限定の商品や独自のSKUをリリースすることを計画していると、同氏は述べる。また、来年には流通ネットワークを拡大することも計画している。
「共同創設者として参加したYouTubeクリエイター、アフマウとアンスピーカブルは、我々が数百万もの消費者に短期間でリーチできるようになるというビジョンを本当に理解してくれた。クリエイターたちとは、多数のオーディエンスと迅速につながりつつ、長続きするブランドを構築するために必要なすべての取り組みを行うというビジョンを共有している」。
[原文:Why BloxSnacks is tapping YouTubers to appeal to Gen Alpha]
Maria Monteros(翻訳:ジェスコーポレーション 編集:戸田美子)
Image via BloxSnacks