米プライベートエクイティファンドが資生堂アメリカズから2021年に買収したベアミネラル(BareMinerals)、ローラ メルシエ(Laura Mercier)、バクサム(Buxom)は、ブランド刷新の真っただ中だ。
買収の計画は2021年8月に発表され、12月6日に完了した。これらのブランドは現在、買収交渉の一環として設立された新会社「オルベオン(Orveon)」の傘下となり、グローバル本社をニューヨークの五番街に置く。
オルベオンの新CEOであるパスカル・ホウディ氏はかつてビオデルマ(Bioderma)の親会社ナオス(NAOS)でCEOを務めた人物。同氏によると3ブランドは今後、アイデンティティや国際展開、デジタル開発といったトランスフォーメーションを予定している。重要になってくるのが、消費者との直接のつながりだ。同社全体でのトップ市場は米国、英国、日本であり、北米諸国ならびにアジアでさらに拡大していく計画がある。
この記事は、DIGIDAY[日本版]のバーティカルサイト、ビューティ、ファッション業界の未来を探るメディア「Glossy+」の記事です。
米プライベートエクイティファンドが資生堂アメリカズから2021年に買収したベアミネラル(BareMinerals)、ローラ メルシエ(Laura Mercier)、バクサム(Buxom)は、ブランド刷新の真っただ中だ。
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買収の計画は2021年8月に発表され、12月6日に完了した。これらのブランドは現在、買収交渉の一環として設立された新会社「オルベオン(Orveon)」の傘下となり、グローバル本社をニューヨークの五番街に置く。
オルベオンの新CEOであるパスカル・ホウディ氏は、かつてビオデルマ(Bioderma)の親会社ナオス(NAOS)でCEOを務めた人物。同氏によると3ブランドは今後、アイデンティティや国際展開、デジタル開発といったトランスフォーメーションを予定している。重要になってくるのが、消費者との直接のつながりだ。同社全体でのトップ市場は米国、英国、日本であり、北米諸国ならびにアジアでさらに拡大していく計画がある。
ベアミネラル:ウェルネス要素を付加し、ルーツである「クリーンビューティー」に回帰
ホウディ氏によるとベアミネラルは「クリーンビューティー」を生み出したメイクアップレーベルとして、1995年の創業時から約2倍の規模に成長した。
「私たちは基本的にブランド創業時のポジショニングに立ち返り、独自性を打ち出せないクリーンビューティーのポジションからは離れたいと思っている。誰もクリーンではないからだ」とホウディ氏。オルベオンは「モダナイズ(近代化)、デジタル化、国際化」に重点を置いて、ブランドを刷新していく予定だ。
これにはブランディングにウェルネスのコンセプトを組み込むこと、新製品にスキンケア成分を追加することが含まれている。製剤プロセスを監督するのは、同社が新しく最高科学責任者として招き入れたマイク・ウォン氏。開発した新製品は将来、同ブランドの製品ラインの中で「既存の芳しくないSKU(在庫保管単位)を置き換える」こととなる。
「私たちはブランドを美容からウェルネス、そして健康へと移行させていきたいと考えている。これはメイクアップやスキンケアの業界内で非常にユニークなものとなるだろう」とホウディ氏は述べる。
デジタル面でフォーカスするのは、「ヘルシーなピュアリスト」と呼ぶ、顧客のターゲティングに焦点を当てる新しい顧客関係管理(CRM)システムだ。また、ブランドアンバサダーとしてヘイリー・ビーバー(モデル)を起用しているが、多様性を念頭に置いた「インフルエンサー集団」の導入計画もあるという。
ローラ メルシエ:メイクアップアーティストと国際展開
ローラ メルシエにとって新しい戦略は、刷新というよりは「モダナイズ、デジタル化、そしてほんの少しの若返り」なのだとホウディ氏は話す。「ポジショニングはうまく機能している」。
ローラ メルシエのブランディングは「芸術性と、世界中のメイクアップアーティストやインフルエンサーへの教育に尽きる」。総売上高の50%を占める最大の単一市場である米国で、引き続き事業を築いていく。また製品ラインアップのモダナイズや、製品やプロモーションが「ミレニアル世代からの共感をもっと得られるよう」注力していく。国際展開は大きな焦点で、昨年8月には中国進出を果たしている。
バクソム:プランパーの代替として再び脚光
現段階では米国市場のみで展開する「駆け出しのバクソム」だが、国際市場に打って出る準備は整ったとホウディ氏は語る。とくに成分について敏感な米国の消費者のあいだでは近年、フィラー(唇にヒアルロン酸などを注入する施術)の代替としてリッププランパー(唇用美容液)の人気が復活しているのだ。だが、もっと広く世界へと展開していける可能性があるという。
ブランディングは「自己表現」の一語に尽きると同氏は語る。「女性の自由がまだ先進国市場ほど実現していない地域など、このブランドには大きな可能性がある」。
デジタル開発:DTCとコンテンツ
3ブランドすべてでデジタルをモダナイズするのは「前例のない適切なデータ戦略を確実に実施すること」だとホウディ氏は言う。
ここには、オンラインでのコンサルテーションやサイトのコンテンツなどが追加された、新しいDTC機能を加速させることが含まれる。コンテンツで焦点を当てていくのは健康(ベアミネラル)、メイクアップの技術性と教育(ローラ メルシエ)、自己表現(バクソム)だ。
「COVIDによってD2Cサイトの重要性は2倍になり」、そのトレンドは「すっかり普及した」とホウディ氏。同社はまた、セフォラ(Sephora)などのリテールパートナーと緊密に連携し、顧客が購入したいと考えるあらゆる場所において接点を設けることを目指していく。販売チャネルについては「おもてなしをしたいと考えている。押し付けるために私たちは存在しているわけではない」と述べた。
[原文:What’s next for BareMinerals, Laura Mercier and Buxom post-Shiseido]
LIZ FLORA(翻訳:田崎亮子/編集:山岸祐加子)