Amazon 経由で米市場に進出する、中国の新興ブランドたち

オンラインでブランドをローンチする参入障壁は、これまでになく低くなった。そのうえで、アメリカの消費者へダイレクトにプロダクトを売ろうと、中国の製造業者たちは狙っている。彼らの多くはAmazonを通しての販売に取り組んでいる。

Amazonコート」で大成功を収めたブランド、オロレー(Orolay)は、アメリカ市場に参入した強力なブランドの一例だ。北米とヨーロッパに主に輸出をしている中国の製造・貿易企業ジャーシン・ジチ・トレード社(Jiaxing Zichi Trade Co.)がオロレー・ブランドを所有している。彼らはコートをAmazonマーケットプレイスと、自社のeコマースプラットフォームでの直接販売を行っている。2006年にオロレーを開始し、2010年にオンライン販売を開始するまではジャーシン・ジチ・トレード社はファッションブランド向けの製造は行っていなかった。オロレーは、米DIGIDAYの姉妹サイトであるグロッシー(Glossy)のコメント要請には応えなかった。

重要度増す中国ブランド

ロイター(Reuters)によると、2019年1月、139ドル(約1万5300円)の価格で人気のこのコートは500万ドル(約5.5億円)の売り上げを叩き出し、年間3000万ドルから4000万ドル(約33億円から約44億円)を売り上げるだろうと予測された。2018年の社全体の収益のうち70%はアメリカでの売り上げが占めていた。ロイターによると、このアメリカ売り上げのほとんどがAmazon経由となっている。オロレーの大成功は、製造業社主導のブランドの強みを証明し、クオリティに対して公平な価格が付けられた衣服が、アメリカ消費者にもアピールできることも示して見せた。

中国の工場から参入してくるこれらのブランドたちが、アメリカのブランドと競争することができるのか? 特にD2C(Direct to Consumer)の分野で競争できるのか? またアメリカの企業たちは市場シェアを奪われる心配をするべきなのか? といった疑問には、まだ回答が出ていない。

2020年のファッション業界について、コンサルティング企業マッキンジー社(McKinsey & Company)が最近リリースしたレポートでは、「アジア系サプライチェーンにおける知られていない企業」がアメリカのブランドに対して提示する競争力はより大きくなるだろう、と予測している。このレポートによると過去3年のあいだにAmazon経由での販売での収益が100万ドル(約1.1億円)を超える中国販売社の数は23%から45%へと増加した。

「中国で所有されているブランドの重要度は増している」と、コロンバス・コンサルティング(Columbus Consulting)のパートナーであるダニエル・バインダー氏は言う。「究極的にはブランド、そしてアメリカで認知を高めるためのユニークなマーケティングが重要となる。このトレンドは消えないだろう。D2C要素を構築さえすれば、国内でスケールをするだろう。おそらくアメリカのブランドよりもスケールは上手くやるだろう。彼らはゼロからスタートしており、素早く成長する方法を知っているからだ」。

最大の障壁はマーケティング

しかし、ボーダーエックス・ラボ(BorderX Lab)の戦略パートナーシップ部門プレジデントであるジェフ・アンズ氏は、これらの中国プレイヤーすべてがアメリカ市場に参入するのは簡単ではないだろうという。アメリカ市場に参入するに当たって最大の障壁はマーケティングであり、特にAmazonを活用していないブランドたちにとってはそうだと、同氏は述べた。

D2Cブランドの多くはオンラインやマーケティングにおいて洗練されたデザイン、ちょっと変わったロゴとクリーンな写真を持っている。オロレー、そして中国系製造業社からのD2Cブランドのいくつかは、その洗練さを持っていないと、アンズ氏は指摘する。

これらのプロダクトやブランドに適切なインフルエンサーを結びつけることが重要だと、バインダー氏は考える。もしくは、アメリカ消費者の興味を掴むプロダクトを製造し、Amazonで販売することとなるだろう。

「プロダクトが(環境汚染や労働環境という観点で)持続可能なものである必要があるのは確実だ。若い消費者はそれを期待する。消費者が中国出身であろうと、アメリカ出身であろうと関係ない。プロダクトがアメリカに入ってくるのであれば、児童労働やその他の問題がなく、該当する規制の条件をすべて満たし、遵守しなければいけない」と、バインダー氏は語った。

新たな手法も生まれている

これらのブランドがますます中国市場での成長を継続するにつれて、アメリカでのローンチを求めるブランドの数も増えるだろう。ニューヨーク・ファッションウィークは、eコマースの大企業Tモール(天猫)とのパートナーシップを通じて、西側の消費者にこういった企業を紹介する人気のチャンネルとなった。

中国で製造業社から消費者へのダイレクトモデルは勢いを得ている一方で、アメリカ進出にはほかのモデルでの参入も見受けられる。ロサンゼルス拠点のイタリック(Italic)はその例だ。イタリックはプラダ(Prada)からバーバリー(Burberry)まで、ファッション業界の多くの大手ブランドと契約をする製造業社たちと直接協働している。厳密なD2Cモデルではなく、イタリックの場合は、製造業社たちとパートナー契約を結び、限定でハンドバッグやカシミアセーターを生み出している。

Katie Richards(原文 / 訳:塚本 紺)