2020年には、人々がソーシャルディスタンスを守ったまま自宅の外で時間を過ごしたがっていたことから、アウトドア用品とアパレルの売上が急速に増加した。その結果、アウトドア用品メーカーの スタンレー (Stanley)は同社の歴史で「最良の年を迎えた」と、グローバルプレジデントのテレンス・ライリー氏は語る。
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アウトドア用品ブランドは2021年も引き続き売上を伸ばしており、2022年にも顧客がキャンピングやハイキングの習慣を続けてくれることに期待している。
2020年には、人々がソーシャルディスタンスを守ったまま自宅の外で時間を過ごしたがっていたことから、アウトドア用品とアパレルの売上が急速に増加した。その結果、アウトドアに特化したドリンクウェアおよび用品メーカーのスタンレー(Stanley)は同社の歴史で「最良の年を迎えた」と、グローバルプレジデントのテレンス・ライリー氏は語る。
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スタンレーはアウトドア用品の新参企業ではない。同ブランドは1913年、ひとつの二重壁の魔法瓶により営業を開始した。今日では、同社の商品ラインナップはバー用品、クーラー、キャンプ用調理器具、コーヒーを作るための器具などさまざまな製品をラインアップしている。スタンレーは2002年にPMIワールドワイド(PMI Worldwide)により買収されたが、金額は公表されていない。同社は109年の歴史を持つブランドで、消費者のアウトドアへの興味は2021年も増大し続けた。
2021年の1月から10月まで、スタンレーのサイトトラフィックは前年の2020年に比べて2ケタの成長を見せたと、ライリー氏は語る。同ブランドによれば、キャンプ用調理器具の売上は1000%、コーヒーの売上は40%も増大した。さらに、ドリンクウェア(水筒、タンブラー、ジャグなど)が同ブランドでもっとも売上高の高いカテゴリーとなった。新しい顧客は、これまでの顧客と比べて相対的に若く、女性の割合が高いことから、同社はこれらの顧客に訴えかけるために製品のカラーリングやマーケティングのメッセージを見直すことになった。
ライリー氏は、2021年の売上増加をけん引した商品、同社がインフルエンサー主導の戦略を採用する理由、2022年のアウトドア分野についての予測について、米モダンリテールの取材に答えた。以下の対談内容は簡素さと明瞭さを考慮し、編集を加えたものである。
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――アウトドア用品は全体として、2020年と2021年に目ざましい成長を見せた。このカテゴリーへの消費者の関心を後押ししたものは何だと考えるか?
もちろん、コロナウイルスは全世界の多くの場所で、トレンドの変化に関係している。そして、スタンレーは109年の歴史を持つブランドで、アウトドアだけではなくハイドレーション(水分補給)の分野でも実績があるため、この状況下で大きな優位を持つことができた。昨年は、スタンレーブランドに多くの新しい顧客を引き入れることができた。わずか2年のあいだに顧客層は若返り、女性の割合が多くなった。
――その新しい顧客についてもう少し詳しく教えてほしい。彼らは、従来の顧客と同じ商品を求め、同じマーケティングメッセージに反応するのか?
当社は常に、トレイルとキャンプ地をひとつの軸にしているが、特に私が2020年にプレジデントに就任したあとでは、トレイル以外のものをもうひとつの軸にしようとしている。2021年は、インフルエンサーによるマーケティングによって、我々のブランドをより良い方法で新しい顧客に紹介することができた。新しい顧客は、主に若い女性たちの層だ。これは、我々にとって大きな進化だった。
これについては、旅行用タンブラーであるアドベンチャークエンチャー(Adventure Quencher)が最良の例だろう。新色は、間違いなく新しい顧客が求めたもののひとつだった。
――新しい顧客に対して、商品開発やマーケティングメッセージをどのように適合させようとしているか? 新しい顧客層にアピールするよう既存の商品を適合させる方法として、色を検討しているとのことだが、まったく新しいSKUを作りることもあるのか?
どちらも多少検討している。我々は、トレイルでもそれ以外でも、顧客が当社を必要とするあらゆる場所でソリューションを提供したいと考えている。たとえばコーヒーは2021年に信じられないほどの成功を収めた。当社のポーラーホワイトのフレンチプレスやドリップ式コーヒー器具は、キャンプ地だけでなく、素敵なキッチンにもぴったりだ。
既存の商品を更新し、消費者が望んでいる新色も加えるが、新商品も開発している。特に2022年には新しい商品を発売する予定だ。
――御社のキャンプ用調理器具のラインは今年1000%もの売上高増加を見せた。特に成功したのはどの商品で、そのサブカテゴリーが今年特に人気だった理由は何だと感じるか?
2020年にスタンレーの調理器具セットを購入した消費者は、当社のエントリーレベルの調理器具セットを購入していた。そして、「これは簡単だから自分たちにもできる」と気づいた。2021年には、さらに多くの人たちが当社のアドベンチャー・オールインワン・コーヒーシステム(Adventure All-in-One Coffee System)や、アドベンチャー・ベースキャンプクックセット(Adventure Base Camp Cookset)、キャンププロクックセット(Camp Pro Cookset)を購入して、次の段階に進歩した。キャンプが夏や秋の過ごし方の一部になったことから、2022年にもこの傾向が続くことを期待している。
グランピングという用語が、特にアジアで聞かれるようになった。当社の消費者はスタンレーの2ガロン(約7.57リットル)の水筒をキャンプ地に持ち込み、単に飲み水としてだけではなく、衛生の観点から物を洗うためにも使っている。このように体験は進化し続けている。
――パンデミックによって急成長したカテゴリーの多く、たとえばハンドメイドは、今年の後半に入り、消費者がパンデミック前の習慣に戻るようになってから陰りが見えてきた。アウトドアと御社のブランドに対する消費者の関心を維持するため、2022年にどのようなことを計画しているか?
バーのなかでも、特にパイントとスタインについては売れ行きの減少を感じていない。アウトドアの流行が続いていることから、調理器具のセットは今後も売れ続けるだろう。我々は断然ハイドレーションに大きく賭けており、米国のもっとも有名な小売業者のいくつかも同様にハイドレーションに大きく賭けている。しかしこれは単なるハイドレーションの話ではない。その色や表面仕上げなど、ふたつ目のハイドレーション商品を購入する動機をより多く提供するために、創意工夫を凝らしている。
[原文:‘We’ve gotten a lot younger’: Stanley’s global president on its newfound sales success]
Maile McCann(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Stanley