コンベンションの季節が真っ盛りで、サンディエゴのコミコン(Comic-Con)やニューヨークのコムコン(Com-Con)などの人気イベントが行われている。しかし、ケーブルテレビネットワークのブラボーが11月3日から5日までの週末に開催したブラボーコン(BravoCon)のような新しいファンの集まりもまた、ブランドのスポンサーシップの対象として人気になりつつある。
ブラボー(Bravo)は年間を通して、小規模なスポンサー付きイベントを開催して話題を集めてきたが、ブラボーコンは瞬く間にファン参加型の最大のイベントとなった。最初のブラボーコンは2019年に開催され、その後、パンデミックのために2020年と2021年には中止された。しかし2022年には復活し、今年はニューヨーク市のジャビッツセンター(Javits Center)からラスベガスのシーザーフォーラム(Caesar Forum)に会場を移した。
2023年のコンベンションは2万5000人以上が参加し、チケットは数分間で売り切れた。売上は推定で1375万ドル(約20億8000万円)と報じられた。2022年のイベント動画は合計1800万分視聴され、ソーシャルメディアで合計5600万のエンゲージメントを生み出した。これは2019年よりも64%の増加だ。今年のイベントには160のブランドの参加し、数十のパネルディスカッション、ミート&グリート、インスタレーション、ブラボーバザー(Bravo Bazaar)マーケットが開催された。参加ブランドは、ドアダッシュ(DoorDash)から、ウェンディーズ(Wendy’s)、ウェイフェア(Wayfair)、アルタビューティー(Ulta Beauty)、ジュベダーム(Juvéderm)、シャークビューティー(Shark Beauty)まで多岐にわたった。続きを読む
この記事は、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です。
コンベンションの季節が真っ盛りで、サンディエゴのコミコン(Comic-Con)やニューヨークのコムコン(Com-Con)などの人気イベントが行われている。しかし、ケーブルテレビネットワークのブラボーが11月3日から5日までの週末に開催したブラボーコン(BravoCon)のような新しいファンの集まりもまた、ブランドのスポンサーシップの対象として人気になりつつある。
ブラボー(Bravo)は年間を通して、小規模なスポンサー付きイベントを開催して話題を集めてきたが、ブラボーコンは瞬く間にファン参加型の最大のイベントとなった。最初のブラボーコンは2019年に開催され、その後、パンデミックのために2020年と2021年には中止された。しかし2022年には復活し、今年はニューヨーク市のジャビッツセンター(Javits Center)からラスベガスのシーザーフォーラム(Caesar Forum)に会場を移した。
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2023年のコンベンションは2万5000人以上が参加し、チケットは数分間で売り切れた。売上は推定で1375万ドル(約20億8000万円)と報じられた。2022年のイベント動画は合計1800万分視聴され、ソーシャルメディアで合計5600万のエンゲージメントを生み出した。これは2019年よりも64%の増加だ。今年のイベントには160のブランドの参加し、数十のパネルディスカッション、ミート&グリート、インスタレーション、ブラボーバザー(Bravo Bazaar)マーケットが開催された。参加ブランドは、ドアダッシュ(DoorDash)から、ウェンディーズ(Wendy’s)、ウェイフェア(Wayfair)、アルタビューティー(Ulta Beauty)、ジュベダーム(Juvéderm)、シャークビューティー(Shark Beauty)まで多岐にわたった。
エンターテイメント企業とブランドとの提携
ファンイベントは目新しいものではないが、ブラボーコンの台頭は、エンターテイメント企業がブランドと直接提携する新しい方法、そして、それらの企業が商品を顧客にマーケティング・販売するための新しい方法を示している。たとえば、パネルディスカッションや独占デジタルサービスなどのコンテンツのスポンサーとなったブランドもあれば、この3日間のイベントで物理的なポップアップ店舗やインスタレーションを主催したブランドもある。これらの企業にとって、ブラボーコンは強い熱意を持つオーディエンスをターゲットに、商品をプロモーションするだけでなく、成長中のリアリティ番組のIP(知的財産)と連携するための方法でもあるのだ。
ブラボーレビリティ(Bravolebrity/BravoTVの番組出演者の呼称)のグッズを買い占めること以外にも、ブラボーコンの参加者はパートナーブランドの独占商品の多くを会場で買い求めることができる。たとえば、レイズ(Lay’s)は「バンダーポンプルールズ(Vanderpump Rules)」のスターであるアリアナ・マディックス氏とケイティー・マロニー氏のサンドイッチショップ「サムシングアバウトハー(Something About Her)」で、グリルドチーズとトマトスープのチップス味を独占配布した。ピアスブランドのスタッズ(Studs)は、ブラボーの人気番組に登場する有名な台詞を引用した「ブラボースフィアにヒントを得た(Bravosphere-inspired)」セットを独占販売した。しかし、これらの企業が数千人の参加者との関わりを期待しているのは、現地でのポップアップ店舗だ。
ブラボーの親会社であるNBCユニバーサル(NBCUniversal)でコンテンツタレントパートナーシップ担当シニアバイスプレジデントを務めるキム・フランセラ氏は、今年のイベントは70社以上のマーケティングスポンサーが参加し、12社の新しいブランドパートナーが加わったと、米モダンリテールに語った。「これはブラボーコンだけでなく、誰がこのIPにより大きく関与しているかということだ」という。これには、プレゼンティングスポンサーのレイズやステートファーム(State Farm)のような大企業や、ウェイフェアやスタッズなどの小売ブランドも含まれている。
トイレもプロモーションの場に
「シーザーフォーラムの敷地を見渡しても、商品を展示する場所として、トイレは奇抜なアイデアだった。しかし我々は、この場所の隅々までをすべて収益化しようと考えた」とフランセラ氏は述べている。
NBCユニバーサルは、参加者に会場内での体験と商品を提供するため、多種多様なスポンサーのグループと協力することをめざした。「ブラボーのファンは、当社のパートナーからの独占商品や先行展開を期待してくる」と、同氏は述べている。
フランセラ氏は、NBCユニバーサルが各ブランドと協力し、各ブランドのためにポップアップ体験をイベントにどのように取り入れるのが最善なのかを探っていると語る。たとえば、クロロックス(Clorox)は、初めてこのイベントのスポンサーとなった。「クロロックスから風邪とインフルエンザのシーズンが近づいているという話を聞いた」とフランセラ氏は明かした。そして、クロロックスが、NBCユニバーサルとのパートナーシップをより拡大するための足がかりとして、ブラボーコンを利用したがっていたと付け加えた。リアリティ番組とのタイアップはクロロックスにとって新しい試みだったが、参加ブランドは、この特定のオーディエンスをターゲットにするチャンスを活用しているとフランセラ氏は話した。
クロロックスは、「ハウスワイブズ(Housewives)」の出演者が「もっとも取り散らかした状態で自撮りをする」というアイデアを取り入れた。そして、クリーニングブランドである同社は、会場のトイレにスポンサーシップを設定した。そのアクティベーションとして、トイレの個室に書かれたトリビア、QRコードによるコンテンツ配信、ショッピングセール、クロロックスの除菌ワイプのサンプルの配布などが行われた。また、トイレの外では、パネルディスカッションのスポンサーも行い、タレントと協力してソーシャルメディアキャンペーンも行った。
クロロックスのマーケティング、ブランドエクスペリエンス担当シニアディレクターを務めるリタ・ゴーレンバーグ氏は、「ブラボーレビリティは、物事はぐちゃぐちゃになりうるし、実際になるということをファンに見せてくれた。我々は、彼女たちの楽しい噂話に参加し、片付けを無駄にドラマチックにしない手助けをしにきた。トイレの鏡に書かれたブラボーたちの象徴的な名言から、『ザ・リアル・ハウスワイブズ』のトリビア、独占セールのクーポンまで、最高の自撮りができるよう、さまざまなものを用意した」と、述べている。
ファンダムイベントはマーケティングの重要拠点
ウェイフェアもスポンサーブランドで、ブラボーコンの「ユア・ホーム・フォー・ハウスワイブズ(Your Home for Housewives)」というインスタレーションで、ハウスワイブズのフランチャイズであるビバリーヒルズ(Beverly Hills)やソルトレークシティー(Salt Lake City)などからヒントを得たキュレーションスペースを設けた。ファンが落ち着いて好きな番組を見られるような生活空間を見せるというのが、この展示のアイデアだ。
ウェイフェアの最高マーケティング責任者を務めるポール・トムズ氏は、「ブラボーコンとのパートナーシップにより、ファンの感情が非常に高まったときのエネルギーに触れることができる」と、声明で述べた。「ウェイフェアによりデザインされたスペースやインタラクションにより、ファンダムに活気を吹き込めることに期待している。ファンはこれらをすべて自宅用に買うことができる」と同氏は付け加えた。ウェイフェアはすでに、NBCユニバーサルの仲介によって、歌手でトーク番組のホストを務めるケリー・クラークソンとスポークスパーソン契約を結んだ。
ブラボーコンとの提携の目標は、「好きな番組を鑑賞するための快適なソファとひざかけから、友人と番組について語り合うためのワイングラスやチーズボードまで、独自の自宅のイメージを表現すること」だと、トムズ氏は述べている。
会場内での活動とは別に、ブラボーコンはソーシャルメディア上でも大量のユーザー生成コンテンツを生み出した。ブラボーコンは、ストリーイングサービスのピーコック(Peacock)によるイベント配信や、ソーシャルメディアでのキャンペーンなど、イベントのデジタルな側面とフィジカルな側面をさらに融合させようとしているとフランセラ氏は話した。
CNCクリエイティブ代理店の創設者で、ポップアップ店舗や展示についてブランドと協業しているライアン・グリック氏は、ファンダムイベントは、時代の先端を行くIPと連携しようとする企業にとって、より人気のあるマーケティングの場所になりつつあると述べている。これは、ブラボーコンのようなファンコンベンションがオンラインで話題になり、メインストリーム化しつつあることを見ても明らかだ。グリック氏の代理店は、これまでにクロロックスやNBCユニバーサルも含め、数多くのナショナルブランドと仕事をしてきた。
ブラボーコンが、ほかのコンベンションと異なる点は、独自のTVネットワークと親会社によって開催されていることだ。これに対してコミコンは非営利団体が開催している。
多額の収益を生み出す可能性
ファンコンベンションは、多額の収益を生み出せる可能性がある。チケットの販売だけでなく、スポンサーシップによる収入もあり、ホテルやレストランの収益によって地域経済も潤う。ニューヨークコミコン(New York Comic-Con)は、最近ではディズニー(Disney)、マクドナルド(McDonald’s)、マーベル(Marvel)がスポンサーとなっており、1億ドル(約151億円)を超える収益を生み出したと推定されている。これらは何日にもわたるイベントで、数日間、ほかのファンと一緒に過ごすために世界中から人が集まってくるため、ブランドには新しい顧客にリーチする多くの機会がある。
「これらのセリブリティとエンターテイメントのIPは、ブランドのスポンサーが、確実に耳を傾けてくれるオーディエンスを獲得できる」とグリック氏は述べ、ほかにもタレントとブランドのパートナーシップが「フィジカルな体験自体を超えて有意義であり」、デジタルの世界にもうまく適用する必要があるとしている。また、若い顧客にリーチしようとしている大手複合企業に対しては、明らかなブランドスポンサーシップと、ファンが創り出すオーガニックなコンテンツをイベント内でサポートすることの「バランスを見つけることが重要」だとしている。
フランセラ氏は来年のイベントについて、さらにパートナーシップを推進し、多くの企業をスポンサーシップの名簿に加えたいという。「すでに、次回のブラボーコンについて考えている。参加できる位置にありながら、決断してこなかったブランドは数多く存在する。このようなブランドの参加を歓迎するつもりだ」と同氏は述べている。
[原文:‘We’re going to get in on every square inch of this space’: Branded sponsorships took over BravoCon]
Gabriela Barkho(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via NBCUniversal