米国で低迷するラグジュアリー、かたや中国は好調
8月中旬に入り、ラグジュアリーはインフレの破壊的な影響を受けないという説にほころびが生じている。
ファーフェッチ(Farfetch)は8月17日の四半期決算で2.8億ドル(約407.9億円)の損失を計上した。前年同期の赤字は6800万ドル(約99億円)で、減収と大幅なコスト増の両方を示している。同社の経費の15%近くは、上海に新しく開設したデータセンターなど、デジタルとテクノロジーのインフラに費やされている。
この業績不振を受けて、ファーフェッチの株価は30%以上、下落した。
一方、タペストリー(Tapestry)は8月17日に若干の減収を報告した。昨年第4四半期のタペストリーの収益は16億2500万ドル(約2367億円)だったが、今年は16億ドル(約2330億円)に減少している。これは、特に米国におけるラグジュアリー商品の需要が全体的に軟化していることを反映している。
ここ数週間、グッチ(Gucci)、プラダ(Prada)、バーバリー(Burberry)などのラグジュアリーブランドが、米国での売上減少を報告しており、ブランドがアジアや南米など、より安定した地域に引き続き焦点を移していく可能性を示唆している。
米国で低迷するラグジュアリー、かたや中国は好調
8月中旬に入り、ラグジュアリーはインフレの破壊的な影響を受けないという説にほころびが生じている。
ファーフェッチ(Farfetch)は8月17日の四半期決算で2.8億ドル(約407.9億円)の損失を計上した。前年同期の赤字は6800万ドル(約99億円)で、減収と大幅なコスト増の両方を示している。同社の経費の15%近くは、上海に新しく開設したデータセンターなど、デジタルとテクノロジーのインフラに費やされている。
この業績不振を受けて、ファーフェッチの株価は30%以上、下落した。
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一方、タペストリー(Tapestry)は8月17日に若干の減収を報告した。昨年第4四半期のタペストリーの収益は16億2500万ドル(約2367億円)だったが、今年は16億ドル(約2330億円)に減少している。これは、特に米国におけるラグジュアリー商品の需要が全体的に軟化していることを反映している。
ここ数週間、グッチ(Gucci)、プラダ(Prada)、バーバリー(Burberry)などのラグジュアリーブランドが、米国での売上減少を報告しており、ブランドがアジアや南米など、より安定した地域に引き続き焦点を移していく可能性を示唆している。
グッチの場合は、8月半ばに中国のJD.comに公式フラッグシップストアをオープンしている。一方、バーバリーはダニエル・リー氏による新たなクリエイティブリーダーシップの下で、7月には中国での売上が1四半期で50%近く増加したと報告した。4月にバーバリーは2年ぶりに中国人のブランドアンバサダーを任命した。LVMHは7月、米国での利益は1%減少したが、中国では24%増だったと報告している。
今後数カ月で、少なくとも米国のラグジュアリー支出が回復するまでは、中国へのラグジュアリー投資が増えることになりそうだ。
D2Cアンダーウェアブランドが成長中
8月上旬のウィークインレビューのポッドキャストでは、Glossy編集長のジル・マノフとダニー・パリージが、長年Z世代に愛用されてきたD2Cアンダーウェアブランドのパレード(Parade)が、トラディショナルな下着メーカーであるアリエラ&アソシエイツインターナショナル(Ariela & Associates International)に買収されたことについて触れた。
昨年、D2Cアンダーウェア、つまりインティメイトのカテゴリーでは多くの買収の動きがあった。アドアミー(Adore Me)は2022年末にヴィクトリアズ・シークレット(Victoria’s Secret)に買収され、クープ(Cuup)は7月にフルビューティブランズ(FullBeauty Brands)に買われている。一方、サードラブ(ThirdLove)は2022年春にキットアンダーガーメンツ(Kit Undergarments)を買収した。パンデミックのため実際には別の流れではあるが、ライブリー(Lively)も2019年に買収されている。
これらのブランドの多くは、2010年代のD2Cスタートアップ文化の波に乗って成功を収め、現在はトラディショナル寄りのブランドの支援を受けた成熟した企業として、次のフェーズに移行している。純粋なD2Cプレーヤーが成長を試みる中でみられた困難を考えると、将来、ライブリーやアドアミーのようにこのカテゴリーに衝撃を与えるブランドを目にする機会は少なくなるかもしれない。
スチュワートワイツマン、スニーカーをターゲットにカムバック
カプリホールディングス(Capri Holdings)を80億ドル(約1.2兆円)で買収すると発表してからわずか1週間後、タペストリー(Tapestry)は北米での売上低迷を明らかにし、当初の興奮が薄れている。
だが、タペストリーは、ケイト・スペード(Kate Spade)のようなブランドを活性化させる計画のなかでフットウェアブランドのスチュワートワイツマン(Stuart Weitzman)が商品の焦点を調整していることを決算報告で明らかにした。同ブランドは、レザーのドレスシューズやブーツを中心とした従来の展開をベースに、スニーカーやフラットシューズにさらに踏み込んでいくことを計画している。来年第2四半期に予定されているこの変更により、スチュワートワイツマンも、スニーカーブランド以外のブランドがクラシックなスニーカーのシルエットを独自にアレンジした商品を発表し、フットウェアのカジュアル化に乗じるというトレンドに乗ることになる。
しかし、そのタイミングは少しずれているようだ。スニーカーが消えることはおそらくないだろうが、ファッションの時代の流れは、超カジュアルなスニーカーから離れ、よりドレッシーなルックへと戻りつつある気配だ。昨年NPDがGlossyに提供したデータでは、アスレチックシューズとレジャーシューズの売上が減少し、ドレスシューズの売上が増加している。また、ストリートに精通したスタイルの一部にローファーを取り入れているインフルエンサーもいる。
スチュワートワイツマンがよりによっていまスニーカーへの参入を選択したのは必ずしも悪いことではないが、おそらく2、3年前に行っていたほうが、ずっと賢明だっただろう。
[原文:Weekend Briefing: Luxury is flagging in the U.S., while China is rebounding]
DANNY PARISI(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)