ゴジャ (Goja)は昨年、13のブランドを取得したが、CEOで創設者のウォルター・ゴンザレス氏は「アグリゲーター」という呼び名は同氏の企業には適していないという。マイアミを拠点とする消費財メーカーであるゴジャの責任者は、「我々はAmazonのオペレーターだ」と米モダンリテールに語った。
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マイアミを拠点とする消費財メーカーであるゴジャ(Goja)は2020年、13のブランドを取得した。だが、同社のCEOで創設者のウォルター・ゴンザレス氏は、「アグリゲーター」という呼び名は自社に適していないという。
「我々はAmazonのオペレーターだ」と、ゴンザレス氏は米モダンリテールに語った。
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つまり、買収したブランドに対してより実用的な手法をとり、ソフトウェアから在庫、マーケティングまでのすべてを管理することでブランドの成長を支援していると、同氏は説明する。Amazonでの販売に秘訣はなく、ときには在庫管理など販売の基本を守ることが重要だという。
ゴジャはAmazonの巨大なeコマースのマーケットプレイスを基盤として成長している家内工業の一部だ。ゴジャをはじめとするアグリゲーターたちは、eコマースへの移行が加速して過熱している2020年の市場において、合わせて120億ドル(約1兆3600億円)を超える資金を稼いだ。しかし、設立から13年のゴジャは、設立から3年のセラシオ(Thrasio)や2年のパーチ(Perch)と比べて、この業界では古参である。
ゴジャの昨年の売上高は1億ドル(約113億円)を超えた。11月、マットレス用品ブランドのマットセーフ(Mattsafe)を買収したことを受け、ゴンザレス氏は自社のビジネスモデルが競合他社のものとどのように差別化されているか、また、それがビジネス関係にどのような影響を及ぼすかを、米モダンリテールに語った。
――ゴジャがほかのAmazonのアグリゲーターと異なる点は何か?
当社は基本的に、マーケットプレイスを中心としてeコマースビジネスを運用するためのインフラ構築のために作業を行う。
それはどういうことかというと、つまり、フルスタックのソフトウェア開発を担当するチームと、他社のソフトウェアを統合するチームがあるということだ。
Amazonのアルゴリズムでは、在庫管理を重視している。このため、当社が構築したインフラの多くは、商品の在庫が確保されているかに重点を置いている。
また、マーケティングチームもある。我々は、Amazon向けのビデオコンテンツを作成し、それをAmazon以外でも使用している。その一部は12万人の登録者がいるYouTubeで公開する。それ以外にも、データサイエンティストや、マーケティング、商品開発、SKU拡大に特化した人材もいる。
当社の収益の大部分は、ポートフォリオのオーガニックな成長によるものだ。それは、これらのすべてを行うことによって達成できる。
統合の度合いが低いほど、買収は簡単になる。競合他社の1社が昨年のうちに40もの企業を買収したという話を聞いた。しかし、当社はそのバランスをとることを決断した。物事を完全に統合する方が、長期的に優れた戦略を生み出せると考えている。つまり、より優れた実行速度、優れた成長、優れた安定性、そして低いリスクだ。このため、当社も他社もすべて同じ買収の分野で活動しているが、我々はブランドをより完全に統合する。我々は買収を長期的な投資として捉えており、単なる儲けのために素早く転売する買収との違いだと見なしている。
――御社のコンバージョン率はどれだけか?
5年前、当社はより深遠なテクノロジーチームを雇用し、収益を10億ドル(約1130億円)に拡大するための独自のインフラ構築に向けて準備をはじめた。当社はマーケットプレイスにおけるコンバージョンに精通した人材を雇用した。これはGoogleでのコンバージョンとはまったく異なるものだ。
ごく簡単な例で示そう。ウェブサイトでのコンバージョン率が3%なら、それだけで非常に優れたeコマースの売り手だといえる。Amazonではその10倍、すなわち30%以上が平均的だ。当社にはコンバージョンが50%や60%のブランドも存在する。
つまり、マーケットプレイスとウェブサイトがいかに違うかということだ。マーケットプレイスはファネルの底辺に相当し、ここを訪問する人々はほとんどの場合にショッピングを行う。このため、コンバージョンのレベルが高い。Amazon全体の平均コンバージョン率は16%だと思う。当社はAmazonのほぼ2倍を達成している。
――出品者がAmazonで成長できるようにするため、どのように協力しているか?
当社が買収したブランドのなかには、商品の在庫を維持するだけで売上が800万ドル(約9億400万円)から1000万ドル(約11億3000万円)に成長したものがある。
小規模な出品者の多くは、商品を一気に販売してしまい、在庫切れになる。または、単に十分な数量の商品を発注できないか、必要な規模の施設を保有する資金がない。在庫切れになってから、それが30日や60日も続くことがある。
当社は、商品の在庫切れが問題であるなら、商品を適切に在庫し続けるだけでも大きな成長を達成できることを熟知している。このため、当社は特定のブランドが、商品の在庫を確保し続け、マーケティングに回し続けるだけで、そのブランドを有名にできる可能性を見いだし、そのブランドを買収することもある。
場合によっては、業務に必要な在庫を確保するために、そのブランドのビジネスに適切な資金を投資するだけでよい。小規模な出品者には単に資金がないということも多い。このため、資金は重要な要素だ。
資金以外に、人材の要素もある。マーケティング、サプライチェーンとロジスティクス、商品、拡張性、顧客エンゲージメント、顧客サービスなど、次のレベルに到達するために、ブランドの規模に応じて行わなければならないすべてのことが、必要なリソースや時間がないという理由で、小規模な販売者を苦しめることもある。たとえば、顧客サービスのための人材を採用する必要がある場合、それはオーナーが作業を自分で行う場合と物事は異なったものになる。
――Amazonでよく売れているカテゴリーや商品は何か?
Amazonのエコシステムに入ってきた人が驚くことのひとつに、AmazonがSKUレベルのビジネスであるということがある。カテゴリーレベルのビジネスではない。このため、売れ行きのよくないカテゴリー内にも、よく売れているSKUは存在する。
典型的な例は写真だ。この業界は毎年大幅に縮小してきた。しかし、そのなかにも毎日数百回も売れている、非常に興味深い写真関連の製品がある。
当社は、マジックファイバー(MagicFiber)というマイクロファイバーのクリーニングブランドを保有しており、5万件のレビューがある。このブランドは写真分野で高い評価を受けているため、写真カテゴリーのなかでもよく売れ続けている。アルチュラフォト(Altura Photo)は当社が保有するアクセサリーブランドで、カメラの販売台数は日に日に減少しているにもかかわらず、スマートフォンで写真を撮影する人がさらに増えていることから、このブランドは売れ続けている。
同時に、ホームやガーデン、ホビー、ノベルティなど現在トレンドになっているカテゴリーももちろん存在する。
――それらの「トレンドの」カテゴリーで最近買収したブランドはあるか?
当社が最近買収したマットセーフは、Amazonチョイス(Amazon’s Choice)でもおすすめされているマットレス保護袋だ。
人々が引っ越しを行うのは継続的なトレンドだと予測されており、減少はしないだろう。この商品は、マットレスを別の場所に移動するとき便利だ。
我々は、これがトレンドの流れに乗るひとつの方法だと考えている。このトレンドは当社のホームおよびガーデンのカテゴリーに該当する。
[原文:‘We integrate brands more fully’: How Amazon aggregator Goja is helping its acquisitions scale]
Saqib Shah(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)