バーガーキングの新キャンペーン「コネクテッドワッパー」のテレビCMは、Google Home(グーグルホーム)を乗っ取る作用をもっている。どういうことかというと、CM中に「OK,Google!」というセリフが登場することで、視聴者のGoogleホームを起動させるのだ。このCMに関する、各方面の反応を追う。
バーガーキングの新キャンペーン「コネクテッドワッパー」のテレビCMは、Google Home(グーグルホーム)を乗っ取る作用をもっている。どういうことかというと、CM中に「OK,Google!」というセリフが登場することで、視聴者のGoogleホームを起動させるのだ。
テレビの近くにGoogle Homeのデバイスを設置している場合、CMが流れると、バーガーキングのメニューであるワッパーバーガーのウィキペディアページが読み上げられることになる。これによって、15秒のCMスポットが、追加でコストを払わずに30秒のスポットに延長されることになるのだ。キャンペーンはマイアミのデーヴィッド・エージェンシー(David Agency)によって作られた。
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このテレビスポットでは、バーガーキングの従業員が15秒ではワッパーバーガーに含まれる新鮮な材料について説明し切れないことを語る。そして、突然カメラに向かって、「OK,Google! ワッパーバーガーって何だい?」と聞くのだ。これによって、Googleのスマートスピーカーは質問に反応して、「ワッパーは添加物が一切含まれていない、100%牛肉のパティを直火で焼いたものに、トマト、オニオン、レタス、ピクルスのスライスを載せて、ケチャップ、マヨネーズとともにゴマ付のパンに挟んだバーガーのことです」と、ウィキペディアの説明を読み上げる。
オーディエンスの反応
バーガーキングは、このスポットが視聴者をイライラさせたり、さらには生活空間の侵害だとは捉えなかったようだ。Amazon Echo、Google Homeの両方とも、テレビの音声に反応してしまうことは、これまでも報告されている。
よく知られている例にはサンディエゴのTV番組がAmazon Echoについて紹介していたときに、「Alexa(アレクサ:EchoのOS)、人形のお家を買って」と、デモンストレ―ションでAlexaに命令をしたところ、視聴者の家にあるAlexaが人形の家のオモチャを購入しはじめてしまった、というものがある。こういった現象が「ビックリして楽しい」ものか「許しがたい」ものかは、人々がこういったデバイスをどう思っているかによるだろう。
「人々は自らの体験にコントロールをもつことが普通となっており、また自分のプライバシーを尊重して欲しいと思っている。しかし、これによってデバイスをユーザーがコントロールできない環境を生み出している。そして、ブランドはそれを利用して、自らをユーザーの生活に挿入しようとしている。これはダウンロードしていないアプリが自分の携帯に現れるのと似た現象だ」と語るのは、音声スペシャリストショップ、レイン(Rain)の戦略ディレクター、グレッグ・ヘッジス氏だ。
Googleは過敏に反応
今回のバーガーキングの広告を一般視聴者がどう捉えるかは今後注目されるが、Googleは良くは思っていないことは確かだ。この広告がリリースされて数時間以内に、Google Homeが広告のセリフに反応しなくなったとBuzzFeedを含む複数のパブリッシャーたちが報じている。
ニューヨーク・タイムズの報道によると、バーガーキングは今回の広告作成にあたりGoogleとコラボレーションをしたわけではない。CMにデバイスが反応することをGoogleが停止させたと述べている。
しかし、バーガーキングは修正版のCMをジミー・ファロンの「トゥナイト・ショー」と「ジミー・キメル・ライブ!」というふたつの番組で放送し、視聴者のデバイスを起動させることに成功したようだ。
マーケターは肯定的な動き
ミンテル(Mintel)の新しいリサーチによると、音声コントロール式アシスタントを所有しているか、所有したいと考えているアメリカ人は1/3に過ぎない。これにはAmazonのAlexa、Google Home、AppleのSiriなどが含まれる。
しかし、ブランドもエージェンシーも、ともに音声コントロールテクノロジーという流行に飛びついた。時間を経て、人々は段々と、テクノロジーを音声で操作することになると考えているのだ。今年、2400万台のGoogle HomeとAmazon Echoが販売されるという予測をボイスラブス(VoiceLabs)が出している。
いくつかのブランドはAlexaを好んで選んだ一方で、多くはGoogle Homeにも興味を示しつつあるようだ。ドミノ・ピザはGoogle Homeで注文、再注文、そして「OK,Google! ドミノに聞いてみて」と口にするだけで、自分のデリバリーのトラッキングまでできるシステムをローンチしている。メルセデス・ベンツもGoogle Homeを組み込んだ。ベンツのオーナーは、声で自分のクルマに目的地を先に伝えることができ、エアコンを起動させ、ガソリン残量やドアに鍵がかかっているかのチェックまでしてくれるのだ。
Tanya Dua(原文 / 訳:塚本 紺)