「店舗の顧客でも、75%は最初の接点がオンライン」:ワービー・パーカーのビッド・ギルボア共同CEO

アイウェア販売のワービー・パーカー(Warby Parker)の快進撃が続いている。

創業8年のワービー・パーカーは、消費者に直接つながるDTC(Direct to Customer:直販)小売りの先駆者といえる企業で、処方箋による手ごろな値段のアイウェアや、自宅での無料試着を提供している。その後、オンラインストアを拡大し、オフラインでは87カ所に展開。いまも急ピッチで開店しており、今後1年間で35~40店増やす見込みだ。顧客とのやり取りや店舗を展開する場所については、テータを活用している。

2億9000万ドル以上(約312億円)を調達し、現在の評価額は10億ドル(約1080億円)以上。小売拠点の展開や若い顧客が共感するオンラインインターフェイスの構築の方法の手がかりを得ようと、新旧のブランドがワービー・パーカーに注目している。そんなワービー・パーカーの共同創業者で共同CEOのデビッド・ギルボア氏に、同ブランドの成長プランや業界を形成している勢力について、米DIGIDAYが話を聞いた。

――ワービー・パーカーの小売モデルは、DTC小売業者の戦術書と見なされている。消費者を相手にするほかの企業もここから着想を得て、オンラインとオフラインが結びついた体験を構築している。このモデルはどう進化させていく計画なのか?

各分野のワービー・パーカーとしてローンチされるビジネスの話を聞くのは総じてうれしい。とはいえ、そうしたビジネスに目を向けるのには時間を使わず、顧客に価値を提供することに集中するようにしている。

いま力を入れているのは、消費者に包括的な体験を提供すること。ここでいう包括的とは、顧客の目のケアに必要なものすべてに貢献するということだ。顧客からのフィードバックでわかった大切なことのひとつが、新しい処方箋の入手にフラストレーションがたまっているということだった。そこで昨年、自宅で20分足らずでできる40ドル(約4300円)の視力検査を導入した。遠隔医療については、視力検査の体験を向上させ、業界全体を拡張するものだと、楽しみにしている。視力検査だけでも60億ドル(約6475億円)の市場だが、この市場は、実はデジタルによるイノベーションがまったく見られず、本当に大きなチャンスだと捉えている。ほかに、眼科保険などもイノベーションのチャンスだと見ている。

――ワービー・パーカーはオフラインの拡大に成功したオンライン企業の見本になっている。新店舗の展開計画にデータはどう影響しているのか?

我々には米国中の顧客の巨大なデータベースがある。住んでいる場所を把握しており、新しく開店する場所をお知らせするのに、このデータを使える。また、データサイエンスのチームがいて、新しい店舗の業績予測に役立つモデルを構築している。モデルは米国のどの住所にも適用が可能で、そこに店を開いた場合の1年目の売り上げの範囲をはじき出す。100個以上の変数を考慮するが、店舗業績の予測に一番重要なのは、その住所の近辺にいる既存顧客の数だ。カスタマージャーニーはほとんどの小売業者が認識しているよりも複雑で、店舗で取引のある顧客の75%はオンラインが最初だった。チャネル間でスムーズにデータを移せるシステムがあることで、よい体験の設計が可能になっている。

――DTCと小売の業界における、AmazonやFacebookのような外部勢力の影響はどのようになっているのか?

(Amazonは)ほとんどの消費者製品カテゴリーで成長を続けているが、そのことよりも、商品などの配送スピードを中心に消費者の期待が変わりつつあることが重要だ。Amazonプライムを使っていて翌日配送や即日配送が当たり前という人が増えており、どの小売業者にも消費者の期待が高まっている。

ほとんどのDTCブランドは、最大のマーケティングチャネルがFacebookだが、Facebookはオーディエンスにアクセスするための料金を上げ続けている。最近の報道や注目が、オーディエンスのターゲティングに使えるデータにどのような影響を与えるのかは、まだ結論が出ていない。消費者に届く別の方法を模索する小売業者は増えていくだろう。

――DTCエコシステムの拡大は、従来型の小売業者にどのような意味をもつのか?

難しくなる貸主がこれからも出るだろう。変革ができない従来の小売業者は閉店や倒産が続くだろう。

最高峰のショッピングモールや一線級のショッピング街に実績のあるブランドや新しいブランドが、ますます集積する「質への逃避」がしばらく見られるだろう。

――タイムズスクエアやオックスフォード・ストリートのようなところにDTC小売が増えると?

その通り。これはひとつには、Facebookでは継続な規模拡大ができず、収益が頭打ちになるという認識の表れだ。Facebookのようなプラットフォームを通じて獲得する顧客を増やすためのコストが上がり、物理的な実店舗の開店が魅力的になる。ダイレクトメール、テレビ、ラジオも、消費者にリーチするチャネルとして魅力を増す。

――ワービー・パーカーは、独自のPOSシステムもいち早く開発した。Amazon Goで実現されたような、「そのまま出ていく」モデルの方向に進むのだろうか?

すべてのテクノロジーを社内で開発した。消費者に提供したい体験のために必要なものを満たすPOSの選択肢がなかったのだ。Apple Storeと似たところがある。足を踏み入れると、レジを待つ列はなく、iPadをもった小売アドバイザーがいて、そのiPadにPOSが入っている。うちではこれを「全時点情報管理」システムと呼んでいる。このPOS上に機能を構築し、顧客体験を拡充することが可能だ。

たとえば、オンラインでお気に入りのリストを作成して来店してもらえれば、アドバイザーには、お気に入りに入っているフレームがわかる。過去にサングラスを買っていればそれがわかり、おすすめの商品を提供できる。支払いにもこのiPadで対処できる。

Amazonがやったことはとても印象的で、バックグランドに溶け込んでいるテクノロジーについては特にそう思う。我々も世界はこの方向に進むと思っているが、一方で、人間味の重要性も理解している。

Suman Bhattacharyya (原文 / 訳:ガリレオ)