ウォルマート が築く、オンライン食料雑貨ビジネスの未来:Amazonへの対抗として

Amazonとの競争に対応するため、ウォルマート(Walmart)は食料雑貨部門のオンライン戦略を強化している。

Googleアシスタントを使って音声で食料雑貨の注文ができるようになる、との発表を先日ウォルマートが行った。「ヘイGoogle、ウォルマートにつないで」と顧客が音声指示を開始すると、食料や雑貨の名前を告げることでウォルマート上のカートに商品を追加することができる。具体的なブランド名を言わずに、「牛乳1本」といった具合に一般的なアイテムの名前を伝えた場合、Googleアシスタントはその顧客が普段購入している牛乳のブランドを購入することになる。今後は時間をかけて、ほかの種類の音声アシスタントにおける食料雑貨の注文に対応させていくとのことだ。

これは、ウォルマートが食料雑貨分野で目指している次のレベルを示唆している。eコマースの注文を完璧にし、注文を実店舗と結びつけることだ。何千もの実店舗を活用した食料雑貨アイテムのピックアップ機能は常に構築されている。これによって顧客のロイヤルティを固めようとしている。Amazonが食料雑貨分野に大きく踏み込もうとしているなかでの動きだ。ここにきて、ウォルマートはAmazonが強みとしている分野に踏み込んでいる。音声コマンドやビジュアル検索、そして自律走行のデリバリー車といった次世代のテクノロジーをテスト中だ。これによって顧客の注文をより素早く達成する。

ウォルマートのデジタル戦略

米国において、オンラインで注文した食料雑貨をピックアップできる実店舗は2000店舗以上になった。5年前にはこれは0であった。食料雑貨をデリバリーする実店舗の数も800から1600へと倍増させる計画を持っている。

コーウェン・アンド・カンパニー(Cowen and Company)が先日発表したアナリシスによると、現在ウォルマートの顧客の11〜13%が食料雑貨ピックアップサービスを活用している。直近の収支報告では、ウォルマートのCEOであるダグ・マクミラン氏は、2年間のスタック・ベースでは、過去9年間で食料雑貨の売り上げは最高に達していると述べた。これはピックアップ機能への投資と時期を同じくしている。ウォルマートは次に優先事項として掲げているのは、食料雑貨のなかでも繰り返し注文を行う品目に関して、注文をより簡単にするためにどのようにテクノロジーを活用するか、という点だ。3月末に開催されたエヴァーコアISIリテール・サミット(the Evercore ISI retail summit)でブレント・ビッグズCFOは語った。

「顧客の生活へ徐々に深く関わっていくことで、ウォルマートでの買い物を考えることすらない時点に達する」と、ビッグズ氏は言った。

ウォルマートは、オンラインの食料雑貨分野において「クリック・アンド・コレクト」を軸とした。これはウォルマートが顧客に食料雑貨をデリバリーするよりも、顧客に実店舗に来てもらう方が安価に済むからだ。また、実店舗を訪れた顧客は、新しい購入を行う可能性が高まる。そのため、実店舗において注文を処理するためのスタッフを増やしてきた。昨年はテック部門の従業員も2000人以上を追加した。その多くがオンラインの食料雑貨注文をより早く実行するための開発をするためのスタッフだと、昨年夏のインタビューで当時CTOであったジェレミー・キング氏は語っている。

「この分野におけるウォルマートの投資は、競合他社と比較して、より効果的かつリーチの幅が広いものとなっている」と、フリードニア・グループ(Freedonia Group)の食料雑貨部門アナリストのカラ・ブローシウス氏は言う。クローガー(Kroger)やジャイアント・イーグル(Giant Eagle)といった競合他社と比べても、米国においてウォルマートの実店舗がリーチできる範囲が広いという事実をもって、彼はそれを裏付けた。食料雑貨ピックアップができるウォルマートの実店舗は2100ほどあり、米国の人口の70%にリーチできる。消費者の自宅までの宅配に関して、もっとも対費用効果が高い方法は何なのかを探るべく、複数の配送パートナーと試験的なプログラムを運用している。ユーデルブ(Udelv)、スパーク・デリバリー(Spark Delivery)に加えて、自動運転車による食料雑貨の宅配を試験的に試すために、フォード(Ford)とのパートナー契約を昨年発表している。

音声コマンドにおける可能性

食料雑貨に関して、購入、注文、そして受け取りの複数の方法が展開されているなか、ウォルマートはさらに競争力のある戦略を構築しようとしている。それが注文を素早く行ってもらうための音声コマンドによる注文だ。

しかし音声アシスタントを経由してプロダクトを購入するアメリカ人の数は非常に少ない。eマーケター(eMarketer)が2月に行った調査によると、食料雑貨の購入に関しては調査対象の家庭のうち5%だけが音声アシスタントを使っていた。音声アシスタントを使ったプロダクトの購入では、他分野よりも食料雑貨の購入は低い数値となっている。それでも、eマーケターのアナリストであるアンドリュー・リップスマン氏は、一度限りの注文をするには音声アシスタントは良いチャンネルであると述べる。たとえば、夕食の準備をしていてオリーヴ油が切れていることに気づいて、注文をするといった具合だ。

アメリカ人は、音声アシスタントを使って定期的にショッピングを行うには、まだ至っていないため、ウォルマートはほかのテクノロジーを使って、注文をより素早く行ってもらう方法を探っている。サムズ・クラブ(Sam’s Club)では、ウォルマートは人工知能を使い、顧客に対して過去の購入履歴をもとに自動で買い物リストを生成するというテストを行っている。オンライン注文ではビジュアル検索も試験運用されている。

「音声による食料雑貨ショッピングは全体としてまだ適応度が低い。そのためウォルマートの今回のローンチは、すぐには影響が現れないかもしれない。宅配や実店舗におけるピックアップサービスの拡大といった、その他の大きな戦略と比べると特にそうだ」と、リサーチ企業ミンテル(Mintel)のフード・リテール部門アソシエイト・ディレクターであるジョン・オーウェン氏は言う。「しかし、将来のオンライン食料雑貨ショッピングを形作るための良いポジションにウォルマートが着くことができると思う。長期的には、ほかの戦略よりもはるかに大きな影響を持つ可能性がある」。

Anna Hensel(原文 / 訳:塚本 紺)