ミレニアル世代、2030年の「働き方」はどうなる?:「ポートフォリオワーカー」と、それを支えるテクノロジー

ミレニアル世代以降の働き方は、「いいとこ取り」が主流になるようだ。

トレジャーデータは5月22日、東京・虎ノ門ヒルズでイベント「PLAZMA」を開催。今回のテーマは「VUCA時代の『働き方』をデジタルアップデートする」だ。VUCA(ブーカ)とは、Volatility:変動性・不安定さ、Uncertainty:不確実性・不確定さ、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性・不明確さ の頭文字をつなげた造語で、そんな時代のワークスタイルについての議論が交わされた。

「VUCA時代の働き方を考える際には、ミレニアル世代以降の理解が重要」と、オフィス家具大手のコクヨでワークスタイル研究所の所長を務める若原強氏は、同イベントのセッション「2030年の働き方から考える、デジタルアップデートの必要性」において語る。「彼らより下の世代では、時間や場所に捕らわれない『いいとこ取り』な働き方や暮らし方が主流になるだろう」。

ポートフォリオワーカー

「いいとこ取り」な働き方の具体例として、若原氏は「ポートフォリオワーカー」を挙げる。これは、英・ロンドンビジネススクールのリンダ・グラットン教授が、未来の働き方を描いた自身の著書、『ライフシフト(Life Shift)』で提唱した働き方だ。

ここでいうポートフォリオとは、デザイナーなどのクリエイターが自らの実績をアピールするための作品集ではなく、金融業界における「最小限のリスクで投資目的を達成するための、金融商品の組み合わせ」に近い考え方。

グラットン教授の主張によると、先行きが不透明な現代社会において、キャリアという資産を形成するために、時間や場所の制約に捕らわれず、複数の仕事を同時平行的に進める働き方が主流になるという。

テクノロジーが大きく寄与

「まず、『人生を豊かに過ごしたい』『こんな暮らしがしたい』といった大目標があり、その実現手段として最適な仕事を複数組み合わせていくのが、ポートフォリオワーカーだ」と、若原氏は補足する。「こうした社会では、名刺1枚では自分の多様化するキャリアを紹介するのに不十分。自己紹介として、名刺に代わり自分のキャリア評価を集約したデータをやり取りする時代が来るかもしれない。『Legitifi』等の『ソーシャル・レーティング』のような概念は、その兆しとしても捉えられる」。

ポートフォリオワーカーが増えると、企業内における価値観やバックグラウンドもいまにも増して多様化する。そういった中でもチームワークを発揮するうえ、相互理解をいかに深めるかは一つの課題となるはずだ。そこにもテクノロジーが大きく寄与するのでは、と若原氏は続ける。

「今はエンタメ分野での活用が多いVRが、自分とは異なる視点から物事を理解する手段としても活用され始めていることは、この兆しとしても捉えられる」。例として若原氏は、望まない妊娠・出産を防ぐ活動を行う団体Planned Parenthoodが作成したVRコンテンツ「Across the line」を挙げる。これは、人工妊娠中絶を行おうとしている女性の視点で中絶反対デモに遭遇する、などのVR体験ができるコンテンツ。単に反対の声を上げるだけでは解決し得ないこの問題について、深く考えるきっかけが得られるという。

「このように、ポートフォリオワークをサポートする方向でテクノロジーが応用されていけば、時間や場所に縛られずに複数の仕事を持ち分け、人生をより豊かに充実させられる『いいとこ取り』なワークスタイルがより現実的になるのでは実現する」と、若原氏は締めくくった。

Written by Kan Murakami