ヴィクトリア・ベッカム氏は、自身のビューティブランド、ヴィクトリア・ベッカム・ビューティの新製品をインスタグラムのフォロワー45万6000人ととも開発している。さらにエンゲージの高いファンを集めたテストコミュニティ育成も。
かつて気取り屋と呼ばれていたヴィクトリア・ベッカム氏だが、そのイメージとは裏腹に、自身のビューティブランドの最新作では、彼女はファンと向き合っている。
ヴィクトリア・ベッカム・ビューティ(Victoria Beckham Beauty)のコミュニティは、45万6000人のインスタグラムのフォロワーで構成されている。その大多数がブランドの最新作となるビトゥンリップティント(Bitten Lip Tint)のシェード第3弾、ヌードピーチのアムール(Amour)に投票し、商品名を決定した。ベッカム氏は米Glossyの取材に対し、「友人にものを勧めたり、映画やアートからインスピレーションを得たり、私は常に、美に関することを会話のきっかけにしてきた。これは私にとってそうした会話の延長線上にある」と語った。
2019年10月、同ブランドがビトゥンリップティントの第1弾で深みのあるベリー系ビズー(Bisou)を発売した際は単独のシェードにする予定だった。「私としては、これはグロスじゃないし、実際にはステインでもない、という気持ちだった。色のノリも本当によくて、落ちない。革新的な製品を開発しても、人々に理解されず失敗することもある。でもこの商品は反響があってヒット商品となった。発売から半年後には追加のシェードを求める声が寄せられるようになった」。
Advertisement
2020年2月には、ブランドはインスタグラムでバーチャルラボに顧客を招待、そこで第2弾のシェードであるロージーピンクのシェリ(Cherie)や、最終的には3番めのシェードとなった商品についてコメントで意見交換することを開始した。
コミュニティが商品開発の意見交換の場
ヴィクトリア・ベッカム・ビューティ共同創始者でCEOのサラ・クリアル氏は、「今では、シェリはビズーの3倍売れている」と語る。「ヴィクトリアがよく冗談めいて言うように、まさにこれは人々が本当に求めているもの、本当に欲しいものを提供する、ということだ」。
ブランドのファンが商品開発に参加して自分もそのブランドの一員になったような気分を味わいたいと思う機会はますます増えている。「実際に会ったり、話を聞いたりした顧客から私自身よく刺激を受ける。私がこの仕事を続けられるのはお客様のおかげ。私にとって常に一番重要なのは自分らしい製品を作ることだが、自分のコミュニティを意見交換の場だとも考えている。新しいアイデアを思いついたら、発表して、みんなの意見を聞きたい」とベッカム氏は言う。
「ヴィクトリア・ベッカム・ビューティの全製品のなかで、ビトゥンリップティントはおそらくもっともユニークな製品だと言わざるを得ない。信じられないようなシアーなジェル状のテクスチャーで唇に潤いと栄養を与えるけれども、乾くとセミマットな仕上がりになり、一日中そのままの状態を保つことができる。自然な唇の色を引き立てる繊細な色なので、どのシェードも驚くほど誰にでも似合う」。
ファンの協力のもとテストコミュニティを育成
アムールの発売にあたり、同ブランドはインスタグラムのコメントやDMをもとに、もっともエンゲージメントの高いファン50人を選び、新製品とベッカム氏からのビデオメッセージをプレゼントした。「この50人のファンをVBBコレクティヴと呼び、アムールの舞台裏をより深く知ってもらうことにした。開発を手伝ってくれた50人に、私たちの新しいシェードを最初に試してもらうのは当然のこと」とベッカム氏は語る。
コレクティヴの面々からは感動的な反応があった。クリアル氏はあるファンが書いた手紙を紹介している。「私は子供の頃からヴィクトリア・ベッカムの大ファンだった。ヴィクトリア・ベッカム・ビューティのようなブランドが、こんな私に新作を送ってくれるなんて、とても感激している」 。クリアル氏によると、ブランドはコレクティヴとともに「テストコミュニティを育成している」とのこと。
「今のところ、すぐに決まった計画はないが、この手法をとても気に入っている。みんなにとって楽しいことだから」クリアル氏と語る。ベッカム氏は、ブランドのポッシュリップスティック(Posh Lipstick)をこれまでに発売したものなかで一番パーソナルな製品、リップティントは、彼女にとって簡単で日常的なリップと呼ぶ。アムールを同ブランドのライナーであるリップディファイナー(Lip Definer)のシェード02と一緒に使っているそうだ。「まさに完璧で、それに楽なんです。実際、鏡も見ないで塗ることもできる。マスクをしていても一日中落ちないし、にじんだりもしないのがわかっているから」。
[原文:How Victoria Beckham crowdsourced her new lip tint]
SARA SPRUCH-FEINER(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)