ユニリーバ傘下のブランド、「顧客サービス」で AI 活用へ:20人相当の仕事をこなすアレクサンダー

デオドラントブランドのシュミッツ・ナチュラルズ(Schmidt’s Naturals)が、顧客サービス全般の対処、そしてファーストパーティデータのさらなる収集のため、「アレクサンダー(Alexander)」というAIプラットフォームの利用を進めている。

アレクサンダーの構築と拡大により、シュミッツ・ナチュラルズは独自データの収集と処理を進められるだけでなく、今度はそのデータを使ってアレクサンダーに顧客について学習させ、パーソナライズをさらに進めたメッセージを顧客に届けられる。シュミッツ・ナチュラルズは2017年にユニリーバ(Unilever)に買収されておりCEOのマイケル・カマラータ氏によると、アレクサンダーは現在、試験段階だが、ゆくゆくはユニリーバのほかのブランドにも拡大していくという(ユニリーバ関係者にコメントを求めたが、掲載時までに返事がなかった)。

「しっかりターゲティングされたデータの購入をFacebook、インスタグラム(Instagram)、Googleに依存しているブランドは多い」と、カマラータ氏はいう。「多くの小さなブランドがこれまで頼りにしてきたデータが、これから先も利用できるということには、ブランドの大小を問わずならないと思う。そこで我々が一番力を入れているのは、オンラインとオフラインでデータ主導の強力なマーケティングを維持するのと同時に、対話で消費者を呼び込み、データを運用していくことだ」と、同氏は語る。

そのために、AIプラットフォームが鍵になっている。シュミッツ・ナチュラルズでは、ソーシャルチャネルとメールを通じた消費者への対応にAIを活用している。「メールで返事を書くのに、人間なら2~3分かかるかもしれない。アレクサンダーならおそらく瞬時に可能だ」とカマラータ氏は話す。

「20人」相当の仕事

アレクサンダーは独自のニューラルネットワークを持っており、ボットだと命令する人が必要なのに対し、人間の命令なしで機能する。アレクサンダーはソーシャルメディアを監視して、人間の命令なしで、シュミッツ・ナチュラルズに関して消費者と対話をはじめる。こうした消費者とのやり取りは、ブランドのマーケティングばかりでなく、アレクサンダーのさらなる進化に役立つデータの作成にも使う。一部の返事は送信前に人間による編集が入る。こうした編集も、アレクサンダーの学習に役立つ。シュミッツ・ナチュラルズには、直接的または間接的にアレクサンダーと関わっている人が約20人いる。

「これからは、マーケティングもプロダクトも個人単位のパーソナライズが進む」と、シュミッツ・ナチュラルズの成長の鍵がAIである理由について、カマラータ氏は語る。「テクノロジーで労働を拡張し、世界中の数多くの消費者と複数の言語で瞬時にコミュニケーションを取れるようにしなければ置いていかれる」。

カマラータ氏は、アレクサンダーが1日に送信しているメッセージの数や、アレクサンダーの具体的な成果は明かさなかったが、アレクサンダーが現在「20人」相当の仕事をしているということは教えてくれた。

口コミモデルへの変化

メタフォース(Metaforce)の共同ファウンダーであるブランドコンサルタントのアレン・アダムソン氏によると、消費者とのコミュニケーションにAIを利用するのは、シュミッツ・ナチュラルズのようなブランドでは理にかなっているという。「シュミッツのターゲットは若い消費者であり、ミレニアル世代は即時的なコミュニケーションを好む。そのような迅速な対応を実現するのは簡単なことではない。即座に満足してもらえるAIベースのコミュニケーションを開発できるなら、うまいやり方だ」と、同氏は語る。

シュミッツ・ナチュラルズでは今後、こうしたAIの実践がマーケティング予算の使い方をいっそう左右するようになると、カマラータ氏は考えている。「アレクサンダーは展開されるプラットフォームが増え、やり取りする人間が増えはじめており、これにより、我々は(CPA)モデルから変わろうとしている」と同氏はいう。「(モデルが)対話のようなもの、口コミモデルと言っていいようなものになっている」。

アレクサンダーは、シュミッツ・ナチュラルズというブランドに言及していない消費者にも働きかけるようなものになっていくだろう。具体的には、ネガティブな体験をポジティブな体験に変える。たとえば、シュミッツ・ナチュラルズは、アレクサンダーを使って空港で荷物をなくしたであろう人を探し出し、同ブランドの製品が入ったケアパッケージを送ると伝えることを計画している。このような方法で消費者に働きかけていけば、広告にコストをかける必要性は抑えられる。

メディア購入は効率化

アレクサンダーへの投資額と、シュミッツ・ナチュラルズのマーケティング予算の詳細について、カマラータ氏は明かすことを拒んだ。だが、テクノロジーに投じるマーケティング予算は増えており、メディア購入はアレクサンダーの利用により効率化が進んでいるという。

ブランドコンサルタントのアダムソン氏によると、AIの実践を検証するのに小さなブランドを使うのは、理にかなっている。「うまくいかない場合のリスクが大きいものではなくなる」と、同氏はいう。「小さな企業を買う理由に、新しいことを試すというものがある。予算が膨大なブランドで新しいことを試したくはないものだ。ユニリーバが大きなブランドに適用できるようにするため、小さなブランドでテストして短時間で学習しているのは賢いやり方だ」。

Kristina Monllos (原文 / 訳:ガリレオ)