ドナルド・トランプ米大統領に関連する炎上を起こしたブランドは、これまでも多く存在している。このたびアンダーアーマーも、CEOのケビン・プランク氏がトランプ擁護をしたことで、そのリストに名を連ねることになった。
ドナルド・トランプ米大統領に対する姿勢で炎上を起こしたブランドは、これまでも多く存在している。このたびアンダーアーマーも、CEOのケビン・プランク氏がトランプ擁護をしたことで、そのリストに名を連ねることになった。
プランク氏は、CNBCの「ファースト・マネー・ハーフタイム・ショー」という番組内のインタビューにおいて、トランプ大統領について言及。トランプが大統領であることは、アメリカ国民にとって「本当の資産」であると述べた。
「物事をちゃんと立ち上げたいと彼は考えている。彼は大胆な決断をして、決断力を発揮しようとしている。私はただ『考えて考えて考えて考える』よりも『物事を公表し、(アクションを)繰り返す』という世界で動こうとする人々が大好きだ。なので、その点では、私はとても尊敬している」と、プランク氏は語った。
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ソーシャル上で炎上
彼のコメントは、ソーシャルメディア上で炎上した。「アンダーアーマーの商品を集めて燃やす」ことを促す人々まで現れた。ニューバランスやL.L.ビーンといったブランドもここ数カ月間で、トランプ大統領に関連したバックラッシュを経験している。アンダーアーマーがそこに加わった形だ。
I suggest a mass burning of all #underarmour garments across America. #bonfire. Will never purchase again. @UnderArmour https://t.co/xhfPea8fxV
— nastywomannc (@nastywomannc) February 8, 2017
「全米の#アンダーアーマーの商品を集めて燃やせばいい」
トランプ大統領や彼と関連性のあるビジネスのボイコットを呼びかけているリベラルグループ「グラブ・ユア・ウォレット(自分の財布をつかめ)」もさっそく、アンダーアーマー製品のボイコットを消費者たちに呼びかけた。
What kind of CEO says this after sheer magnitude of @womensmarch? Not one that knows much about % of purchases women drive, apparently. https://t.co/sf582M84Pr
— Shannon Coulter (@shannoncoulter) February 7, 2017
「ウィメンズ・マーチ(女性の行進)が見せた甚大なパワーのあとで、一体どんなCEOがこんな発言をするのか? 女性によるプロダクト購入が何%を占めているか理解していないCEOってことね」
謝罪でなく反論で対応
これに対して、アンダーアーマーは謝罪ではなく反論を公表した。公式な声明において、アンダーアーマーの広報担当者は、米DIGIDAYに「私たちはポリシーに従事するが、政治には従事しない」と答えている。
楽観主義、チームワーク、そして団結が、アンダーアーマーの文化である。我々の消費者、チームメイト、そして株主たちにとって、大事だと思われるビジネスに関する問題について、アンダーアーマーは前政権、現政権どちらともに提言を行ってきた。
ケビン・プランクは、先日アメリカ合衆国大統領に招待され、選ばれたビジネス界におけるリーダーのひとりとして、アメリカ製造業協議会に参加した。ダウ・ケミカル、デル、フォード、GE、そしてテスラといった企業のCEOたちと肩を並べ、アメリカでの雇用創出について重要な対話をはじめた。
アンダーアーマーがこの会話に参加することは、非常に重要であると我々は考えている。アメリカ国民の雇用と製造業を支援し、そこへ投資する革新的な方法を開発することに、私たちは常に専念している。
ネガティブ印象が68%に
2月7日と8日のあいだで、アンダーアーマー関連のツイート数は、5日から6日のあいだの数と比べて、なんと152%の増加を見せている。これはアモビー(Amobee)のデータによるものだ。3700ツイートから9300ツイートにまで数は増え、いまでも増加中だ(原文記事は8日に掲載)。また、この期間に投稿されたツイートの40%は、トランプ大統領に言及したものだ。
ブランドウォッチ(Brandwatch)のデータによるとアンダーアーマーの印象はスーパー・ボウルの週末にはポジティブなものだったが、2月8日の段階で、67.9%ネガティブへと変わってしまった。ブランドウォッチによると「アンダーアーマーのCEOが、ドナルド・トランプを称賛し、支援していることをひどく不快に思っている人々」による言及がその原因だという。さらにプランク氏の発言と大統領擁護の態度に対する批判だけに留まらない。人々はアンダーアーマー商品の購入を止める、と表明しているのだ。
現状の二極化した政治状況で泥沼にはまってしまうブランドはあとを絶たない。ドナルド・トランプの娘イヴァンカ・トランプのファッション・アクセサリーブランドを販売していた百貨店ノードストロームも一般大衆から批判を受け、2月の第1週にイヴァンカ・ブランドの販売を停止した。売上の不調が理由だと公表している。これを受けて大統領はノードストロームをTwitter上で非難、ノードストロームの株価は一時的に下落した。
My daughter Ivanka has been treated so unfairly by @Nordstrom. She is a great person — always pushing me to do the right thing! Terrible!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) February 8, 2017
「私の娘イヴァンカは、ノードストロームによって不当に扱われた。彼女は素晴らしい人間だ。いつも正しいことを行うよう促してくれる! 最悪だ!」
移民政策には反対姿勢
先週、Uberのトラヴィス・カラニックCEOはトランプ大統領の経済諮問グループを脱退した。これはタクシー業界のストライキ中に、利益を追求しているように見えてしまったことに対して、猛烈な批判が集まったことを受けてだ。L.L.ビーンとニューバランスもまた、リンダ・ビーン氏を含めた、彼らの役員たちが表明した、政治的な意見に対して批判を集めた。その一方で、ナイキ、アシックス、そしてアディダスといったアンダーアーマーの競合ブランドたちは、トランプ大統領によるイスラム圏7カ国出身者に対する入国禁止大統領令に反対する声明を公表している。
アンダーアーマーもこのタイミングで、競合他社の「移民受け入れポリシー」に対する同調を表明している。
私たちのチームメイトは異なる宗教をもち、異なる人種、国籍、性別、性的嗜好をもっている。年齢も異なり、人生経験、そして違う意見をもっている。これが我が社のコアである。アンダーアーマーでは、多様性が力である。そして我々の家、ビジネス、チーム、コミュニティを守るポリシーを提唱し続けていく。
Tanya Dua(原文 / 訳:塚本 紺)