酒類の宅配サービスを行うドリズリー(Drizly)の最高マーケティング責任者(CMO)、スコット・ブラウン氏によると、テレビ(従来型のリニアTV)とCTV(コネクティッドTV)はいまや、ドリズリーが広告予算を投資している「最大の単一チャネル」だという。
酒類の宅配サービスを行うドリズリー(Drizly)の最高マーケティング責任者(CMO)、スコット・ブラウン氏によると、テレビ(従来型のリニアTV)とCTV(コネクティッドTV)はいまや、ドリズリーが広告予算を投資している「最大の単一チャネル」だという。ドリズリーは、単にブランドの認知度を高めることに注力するだけではなく、テレビやCTVでの広告に「ブランデッド・レスポンス」というアプローチを取っている。
ブラウン氏は、「有料検索広告のように数日で効果が出るとは考えていないが、テレビを完全に見放しているわけでもない」と、販売指標を注視する同社のテレビ/CTV戦略について語る。「我々は、テレビのROI(投資利益率)を理解しようとしているが、それは単に認知度の観点からだけでなく、何がテレビからの収益を推進するのかを理解しようとしている。(ROIを知るには)28日、あるいは60日かかるかもしれない」。
メディア予算の約70%を占める
ドリズリーの広告はこれまで、測定を念頭に置いた有料検索とペイドソーシャルが中心だった。だが、特に2020年からは、プライバシーに関する状況が変化したことを受け、テレビやポッドキャストなどのほかのチャンネルをテストするようになった。テレビやCTVで有望な結果を見たあと(ドリズリーはその結果を明らかにしていないが)、同社はより多くの広告費をそこに移している。
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ブラウン氏は具体的な数字を明らかにしていないため、ドリズリーが現在、テレビとCTVにどれくらいの予算を投じているかは不明だ。しかし、ブラウン氏によると、テレビ、CTV、ペイドソーシャルを合わせたものが、ドリズリーのメディア予算の約70%を占めているという。ドリズリーのメディア予算の残りの30%は、有料検索広告、アフィリエイトマーケティング、ディスプレイ広告、その他多くのチャネルに割り当てられている。
カンター(Kantar)によると、ドリズリーは2020年、メディアに1180万ドル(約13億3300万円)を費やし、2019年の240万ドル(約2億7100万円)から大幅に増加した。2021年の第1四半期にはメディアに250万ドル(約2億8200万円)を費やし、第2四半期には280万ドル(約3億1600万円)を費やした。カンターはソーシャルへの支出を追跡していないため、これらの数字にはドリズリーがソーシャルチャネルに費やした金額は含まれていない。
テレビ広告へ復帰するブランド
近年、テレビやCTVへの投資を増やしているのはドリズリーだけではない。セブンイレブン(7-Eleven)やモンスター・ドットコム(Monster.com)などのブランドは、テレビに出稿することの価値を再評価した結果、テレビ広告への復帰を果たした。一方、D2C(Direct-to-Consumer)ブランドは、Facebookやインスタグラムといった旧来のD2Cのプレイブックを超えて、テレビに移行し、ブランドの認知度を高め、ブランドに正当性を持たせるためにTVを利用している。
D2Cブランドがよりトラディショナルな広告媒体を利用して正当性を確立することは、よく知られたもうひとつの戦略だ、とパフォーマンスマーケティングエージェンシー、テイク・サム・リスク(Take Some Risk)の創設者デュアン・ブラウン氏は指摘する。「D2Cブランドは、数年前まではビルボードや屋外広告を持ち上げていた。彼らはいま、テレビを好んでいるようだ」とブラウン氏は話す。
この戦略は無数のブランドに採用されているが、ブラウン氏は、ニッチなオーディエンスを持つブランドの成功を測定する能力に疑問を感じている。「マスプロダクトにはアピールするだろう」と、ブラウン氏は語る。「そうでなければ、まるでスナイパーのように、広告が表示されるチャンネルや番組を選ぶ必要がある」。
その大衆性がブランドを支える
ドリズリーのような酒類宅配サービスは、パンデミックでブームになったわけだが、TVやCTVに傾倒していくことを通じて、その大衆性がブランドを支えていくだろう。
テレビやCTVへの依存度を高めるなかで、ドリズリーは、スポット広告のコピーを「ブランデッド・レスポンスの綱渡り」のような形で制作している、とブラウンは説明する。「我々のカテゴリーを考えると、ライフスタイルを特に重視したスポット広告は容易に想像できる。同時に、アプリの利点や機能を紹介するダイレクトレスポンスも簡単にできる。(しかし、どちらか一方だけに集中してしまうと)機会損失につながる」
[原文:TV, CTV now the ‘biggest single channel’ of advertising for alcohol delivery service Drizly]
KRISTINA MONLLOS(翻訳:藤原聡美/ガリレオ、編集:長田真)