株式会社TSUTAYA はライフスタイル提案をテーマに「T-SITE」というオウンドメディアを2014 年10 月から運営しており、現在、全体で約1900 万/月のユニークユーザー数を誇るポータルサイトだ。その特筆すべき強みは、Tカードの顧客基盤と連携したレコメンド機能となっている。
エンタテインメントショップ「TSUTAYA」を手掛ける株式会社TSUTAYA はライフスタイル提案をテーマに「T-SITE」というオウンドメディアを2014 年10 月から運営している。現在、全体で約1900 万/月のユニークユーザー数を誇るポータルサイトだ。その特筆すべき強みは、Tカードの顧客基盤と連携したレコメンド機能となっている。
株式会社TSUTAYA のネットカンパニー マーケティング本部サービス基盤推進ユニットのユニット長 大畠崇央氏は、「実店舗である代官山 蔦屋書店にいるコンシェルジュのような役割を、自社オウンドメディアでも果たしたい」と語る。
DVD・CDレンタルサービス最大手であるTSUTAYA は、店舗とWeb サイトの顧客の行動を結びつけるためにどのような取り組みをしているのか、また今後の課題について同氏に聞いた。
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店舗とサイトを繋げるTカード
TSUTAYA のサービスを利用するために、顧客はTカードを使う。10月末現在157 社のパートナーと提携しており、利用できる店舗数は全国で56 万店に達する。10月末現在6082万人のTカードの会員がおり、会員のうち月間利用率は7割以上、週間でも4割を超えるという。ファミリーマートやENEOSなど、多数の大手企業と提携しているため、実店舗での使いやすさがメリットだ。
Webの「T-SITE」はTカードの顧客基盤とも連動しているため、その普及率と利用率の高さは個々の顧客ニーズにより近い情報を届けるための大きな武器となる。また、バラバラであった顧客の購買履歴と店舗の商品情報を、複合的にデータを連動させる仕組みも確立した。
大畠氏は、「かつてバラバラになっていた店舗の検索サイト、e コマースサイト、宅配サービスサイトのドメインとデータを会員基盤とともに統合して、顧客の使いやすさを実現した」と話す。さらに、「そのなかにオウンドメディアを作ることで、情報基盤をもち、One to One マーケティングを強固にしてきた。TSUTAYA はライフスタイルの提案を目的としている」と続けた。「T-SITE」 は映画・音楽などのエンターテイメントの記事や、食やインテリア、ライフトレンドなどを扱う、ライフスタイルを提案するポータルサイトとなっている。

Webサービスでも実店舗のコンシェルジュのようなレコメンドを実現したいと語る大畠氏
レコメンド機能の最適化の取り組み
Webの「T-SITE」は、閲覧する顧客ごとにレコメンド機能を使って、コンテンツをOne to Oneでカスタマイズする。店舗やネットでの購買・レンタル履歴、位置情報などを活用して、誰がいつどこで何を購買したのかをデータベースに蓄積し、社内DMP で情報の出し分けを行っている。
購入と検索のデータが組み合わさることで、過去のデータといま興味をもたれているデータの掛け合わせが「T-SITE」上で可能になり、ユーザーのニーズに近い情報提供を実現できる。部内では、データサイエンティストが所属するデータベース企画チームとコンサルタントが所属するコンサルティングチームに分かれて、2 チームの知見を活かしながらPDCA を回して実験しているという。
さらに、店舗の利用履歴とネットでの閲覧履歴を統合できる仕組みを開発し、店舗でのサービス向上や新サービス提案のため、顧客の行動分析を行っている。その成果はすでに出ている。頻繁に店舗を利用している顧客層は「T-SITE」のどのページを閲覧しているのかを把握することが出来たと大畠氏。具体的にどのページが閲覧されているのかは明かされなかったが、「在庫ページがよく観られていると思っていたが、レンタル利用を頻繁にする顧客ほど、それまで親和性を感じていなかった意外なページを観ていた。そこで、そのページを改善しようという提案をすることができた」と大畠氏は話した。
新サービスの展開も
さらにTSUTAYAで、自社のアルバイト情報を提供していたところ、求人情報を閲覧する顧客はTSUTAYA 以外の職も求めているという知見を得た。そこで、2015 年6 月1 日、ライフスタイル提案の取り組みの一環として、「おしごと発見T-SITE」をローンチ。求人件数や応募者数は急成長しているという。
今後の課題は、レコメンドの精度を上げることだと大畠氏。「過去の履歴と紐付けた提案をするだけでなく、今後は履歴データになっていない新作情報や感情データに関する提案も出来るように、予測に力を入れていきたい」と語った。
Written by 中島未知代
記事中の写真 中島未知代
トップ画像 Hiroaki Sakuma