世界有数のビール醸造会社、ハイネケンがアドベリフィケーションのインハウス化を進めている。エージェンシー任せから自己監視への方針転換だ。同社は現在、どの市場からも直に行使できるアドベリフィケーション技術を世界規模で調査しており、見つけ次第、アドベリフィケーションを事実上インハウス化することになるという。
世界有数のビール醸造会社、ハイネケンがアドベリフィケーションのインハウス化を進めている。エージェンシー任せから自己監視への方針転換だ。
計画を知るふたりの幹部によれば、同社は現在、どの市場からも直に行使できるアドベリフィケーション技術を世界規模で調査しており、見つけ次第、アドベリフィケーションを事実上インハウス化することになるという。
アドベリフィケーション技術をインハウス化するのはハイネケンが最初ではないが、その一方で、複数の理由からそうしない企業もある。投資に見合う持続的成長を見せねばならないというプレッシャーは確かに、広告主にとってかつてないほど大きなものとなっているが、エージェンシーがベンダー1社を介して行なう取引量を考えて価格を抑えていた場合、インハウス化はコスト増につながる恐れがあるからだ。
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インハウス化のメリット
ハイネケンのような広告主にとってはしかし、広告効果測定の自社管理にはコスト増に見合うだけの価値がある。
ベリフィケーションベンダーと直に契約すれば、ブランドセーフティ、アドフラウド、ビューアビリティについて、独自の基準設定が可能になるからだ。換言すれば、ハイネケンはそれまで、エージェンシーに自身のパフォーマンスを好き勝手に評価させていたことになる――要するに、宿題の採点を生徒自身にさせていたのと変わらない。
いまや多くのマーケターが気づいているとおり、いくつかのエージェンシーは特定のアドベリフィケーションベンダーとのあいだに、自身とベンダーにはプラスになるが、当のブランドには必ずしもそうではない「ストラテジック」契約を結んでいると、反フェイクニュースを掲げるスタートアップ企業ファクトマタ(Factmata)の最高売上責任者アナント・ジョシ氏は語る。そうした契約を利用して、エージェンシーはベリフィケーション費を釣り上げ、キャンペーンのパフォーマンスを操作し、自身に都合の良い基準を定めているという。
ハイネケンの動きの背景
ただ、広告効果測定の自社管理化に向かうハイネケンの動きの背景には、そうしたエージェンシーを監視する以外の意図もあるようだ。ある情報筋によると、オンラインエコシステムが自社のニーズに合致しているのか、予算を最大限活用しているのかどうか、自ら把握したいとの強い思いが社内にあるという。
ハイネケンはコメントの求めに応じなかった。
ハイネケンはメディアバイイングエージェンシー2社と提携している――電通イージス(Aegis)とスターコム・メディアベスト(Starcom Media Vest)だ。もし、この両社に同じアドベリフィケーション会社と契約させていたとしたら、なんとも微妙な状況が生じていたことが考えられる。「自社の全バイイング活動およびパフォーマンスを競合他社がチェックできる状態を双方が不本意に思っていることは、想像に難くない」と、ある情報源は言う。「だからこそ、ブランドが集中管理し、全市場を網羅できる究極のフレキシビリティを確保するほうがはるかに望ましい」。
メディアマネジメント会社エビクィティ(Ebiquity)の欧州ビジネス部門技術責任者マット・ガーリング氏は、たとえ広告主がアドベリフィケーション会社と直接契約を結んでも、日々の運営管理業務は「従来どおり、エージェンシーやトレーディングデスクが担える」と指摘する。同氏いわく、この形態を最善の解決策としている広告主もおり、彼らは統制権を取り戻す一方、「メディアバイイング業務におけるエージェンシーの展開力は認めている」という。
Seb Joseph(原文 / 訳:SI Japan)