D2C 拡大のため、 ナイキ は「アプリ」ユーザーに注目する

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ターゲット(Target)やウォルマート(Walmart)のような小売業者は近年、提供するアプリを統合してきた。だが、ナイキ(Nike)は、少数のアプリの構築を軸にアプリ戦略を展開し、特定のオーディエンスへサービスを提供している。

ナイキの主要アプリであるナイキプラス(Nike+)には、近年、店舗での買い物をよりしやすくする機能を追加してきた。ナイキSNKRS(Nike SNKRS)アプリが、限定版商品の投入でスニーカーコレクターをターゲットにする一方で、ナイキトレーニングクラブ(Nike Training Club)アプリやナイキランクラブ(Nike Run Club)アプリは、運動管理の役に立つアプリを求める、熱心なフィットネスファンに向けて売り込まれている。合計すると、ナイキには、アプリシリーズ全体で1億7000万人以上のユーザーが存在するという。

ナイキは現在、D2C(direct-to-consumer:直販)事業の拡大を目指すなか、アプリにさらに機能を追加して、ユーザーに購入や自社イベントへの参加の拡大、ならびに商品デザインに関するユーザーの意見の収集を促したいと考えている。アプリユーザーからより多くのアクティビティを引き出すことで、ナイキは卸売業者への依存をさらに減らすと同時に、顧客により多くの購入を促す広告を出すことができるかもしれない。ブルームバーグ(Bloomberg)は11月13日、2017年にスタートした、eコマース大手Amazonでの試験販売開始から2年を経て、ナイキはAmazonでの販売を打ち切るだろうと報じた

ナイキは、D2C事業のナイキダイレクト(Nike Direct)の売上高が、2020会計年度末までに160億ドル(約1.7兆円)に達すると見積もっている。ナイキダイレクトの2019会計年度の売上高は118億ドル(約1.2兆円)だった。また、同社は昨年、主にD2C販売を増やすため、「新しい機能と消費者に関するコンセプト」に10億ドル(約1086億円)を投資すると発表した。そのなかには、店舗に関する新しいコンセプトやデータ分析機能、ナイキプラスやSNKRSアプリへの投資も含まれていた。

特命チーム「s23NYC」

ナイキのアプリシリーズへの新機能投入を担当するのは、2016年に行われた新興モバイルテック企業ヴァージン・メガ(Virgin Mega)の買収によって誕生したチーム、s23NYCだ。SNKRSのバイスプレジデントでs23NYCのゼネラルマネージャーでもあるロン・ファリス氏によると、この3年間に、s23NYCのメンバーは12人から70人に増えたという。

「自社アプリから多くの兆候をつかんでいる。予測して、会員のニーズが何なのかをより先取りしたい」とファリス氏は語る。

これまで、s23NYCチームは主に、SNKRSアプリの構築と管理の責任を負ってきた。だがいまは、SNKRSアプリのもっとも成功している機能をほかのアプリに導入するのが目標だ。ナイキの最高経営責任者(CEO)を務めるマーク・パーカー氏は、6月の決算報告で、デジタル事業の約20%をSNKRSが占めると述べた。

ストーリーのような機能

SNKRSは半年前、インスタグラムストーリー(Instagram Story)のような独自機能をアプリに追加した。いまのところ、Nikeコンテンツの写真や動画がカルーセルで表示される。

その機能における「ビハインド・ザ・デザイン(Behind the Design)」と呼ばれるシリーズでは、人気スニーカーをナイキがいかにデザインしたかにスポットライトを当てている。別のシリーズでは、ナイキの顧客がお気に入りのスニーカーを履いている写真を紹介。ファリス氏によれば、ナイキはこの機能を自社のほかのアプリすべてに導入しようとしており、まず次四半期にナイキプラスアプリに導入するという。

「予測して、会員のニーズが何なのかをより先取りしたい。数秒ごとに、そうしたストーリーに興味を抱いていると知らせてくれる。我々にとって捉えることが真に重要なのは、そうしたやりとりだ」と、ファリス氏はいう。目標は、よりパーソナライズされた商品と、ストーリーのなかでもっとも視聴されているコンテンツのタイプにもとづくイベントを提供できるようになることだ。

繋がりを強める仕組み

ナイキが現在、SNKRSアプリ内でテスト中のもうひとつの機能は投票機能で、ナイキのモデレーターがアプリ内で、彼らが知りたい商品についての特定の質問をユーザーにする。ファリス氏は、(SNKRSユーザーの)誰かが自分のナイキ製品を絞り染めしているかどうか尋ね、ユーザーにその写真をアップロードしてもらい、実際に特別な絞り染めバージョンのスニーカーを製作した例を挙げた。

「大半のブランドにとって、『商品発売のような非常に重要な体験をアプリ内に限定する』というのは、とても危険だ。そうしたアプリをダウンロードして繰り返し利用しそうな人が、市場に十分にいないからだ。だが、ナイキは十分に有力なブランドなので、スニーカーのアプリは、D2Cへのシフトの要になったように感じる」と語るのは、ピュブリシス(Publicis)の最高商業責任者ジェイソン・ゴールドバーグ氏だ。

ナイキトレーニングクラブとナイキランクラブはどちらも、現行アプリ内にショッピング用のタブがあるが、ナイキのほかのふたつのアプリと同様に、このタブは唯一または主要なユースケースではない。それでも、ファリス氏は、SNKRS内で人気がある機能をこれらの各アプリにナイキが導入できると確信している。同氏は、最終的には、走れば走るほど、ランクラブのユーザーに限定アイテムが開放されるようにし、地元でのランニングへの参加を促す例を挙げている。

意見を踏まえた商品づくり

ナイキがはじめてs23NYCチームを結成したとき、チームはエンジニアとデジタルデザイン、プロダクトマネジメント、プロダクトマーケティング、データ分析の担当者で構成されていた。ナイキは現在、ユーザーの意見を踏まえた商品を実際に作るため、データサイエンティストや靴や衣服のデザイナーもチームに加えている。

「目標は、方針に沿っており、新たなプロセスでは人々の構成を見直すかもしれない」と、ファリス氏は述べた。「そうすれば、あるレベルで関与しているデータサイエンティストが常に、靴や衣服を手がける従来のデザイナーと協働して、商品をどのように組み合わせて形作るかを手助けできる」。

Anna Hensel(原文 / 訳:ガリレオ)